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フランチャイズ契約書の作成方法を解説!作成の手順から注意すべきポイントまで

「これからフランチャイズ展開をしていこう!」と考えたときに避けて通れない問題が「どうやってフランチャイズ契約書をつくるのか?」というものです。

質の高いフランチャイズ契約書を用意することは、フランチャイズ展開に不可欠です。
フランチャイズ契約書が穴だらけでは、フランチャイズ本部と加盟店との間にトラブルが生じた際に、フランチャイズ本部に大きな損害が発生し、結果としてチェーンの競争力が失われてしまう、といった事態が起きかねないからです。

とはいえ、質の高いフランチャイズ契約書を作成するのは法律の専門家であっても容易なことではありません。というのも、質の高いフランチャイズ契約書を作成するためには、フランチャイズシステムに関連する法規制や過去の判例などについての知識はもちろんのこと、フランチャイズ展開する事業のビジネスモデルやフランチャイズパッケージについての深い理解も必要だからです。

そのため、仮に専門家にフランチャイズ契約書の作成を依頼する場合にも、フランチャイズ本部は主体的に契約書作成に参画する必要があります。

そこで、本記事では、フランチャイズ契約書作成の手順やポイントについて解説をしたいと思います。

なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント

1.フランチャイズ契約書が果たす役割

フランチャイズシステムとは、フランチャイズ本部と加盟店がフランチャイズ契約を結び、加盟店がフランチャイズ本部から提供されたノウハウを用いて、サポートを受けながら店舗運営を行う仕組みです。
加盟店はその対価として、フランチャイズ本部へ加盟金やロイヤリティを支払います。

そして、フランチャイズ本部と加盟店それぞれの権利と義務を明らかにするものがフランチャイズ契約書となります。

一般的にフランチャイズ契約書はフランチャイズ本部有利の契約書になっているケースが大半です。これは、フランチャイズ契約書が、全ての加盟店の利益を保護することを目的として作成されているためです。

例えば、フランチャイズ契約書にはよく「○○に違反した加盟店は違約金として○○円を支払うものとする」という違約金の定めがあります。
これは「○○」という行為が行われることによって、フランチャイズチェーン全体に損失が出ること、すなわち、同じブランドを掲げている加盟店に損失が生じることを予防するためのものです。

フランチャイズ本部がこのような予防策を講じておくことで、しっかりと運営を行っている加盟店を保護することができるのです。
逆に、このような予防策が講じられていない場合、一部の加盟店の問題行動により、フランチャイズ本部はもちろんのこと、加盟店全店にも損失が発生する恐れがあります。

これからフランチャイズ展開をはじめるにあたっては、フランチャイズ契約書が果たす役割をしっかりと認識し、必要な条項を漏れなく盛り込んでおくことが大切でしょう。

中にはほとんど制限が無く、経営の自由度が高いフランチャイズ契約も存在します。
一見、加盟店に寄り添ったものである様にも感じますが、その契約内容で全加盟店の利益を守れるのかどうかは、十分に注意する必要があります。

2.フランチャイズ契約書作成の流れ

フランチャイズ契約書の作成は、次の3つのステップで進めていきます。

①ビジネスモデルを分析して、加盟店に守ってもらうルールを決める

フランチャイズ展開する事業のビジネスモデルを分析し、加盟店の成功のために守ってもらうべきルールを明らかにします。例えば、「接客方法は本部のマニュアル通りにする」や「店舗イメージは本部の指示に従う」等のイメージです。

先にお伝えした通り、一部の加盟店が独自の取り組みをはじめ、それが顧客の不満を生んだ場合、チェーン全体に損失が生じる恐れがあります。

チェーンとしてのブランドイメージを維持するためにも、加盟店が守るべきルールを明確化し、契約書に落とし込まなければなりません。

②加盟店の成功のためにフランチャイズ本部が提供するサービスとその対価を決める

続いて、加盟店の成功のために、フランチャイズ本部が提供するサービス=フランチャイズパッケージを検討します。

代表的な例としては、
・加盟店が必要な知識やスキルを身に着けるための開業前研修の内容や期間
・加盟店の経営面や運営面を継続的にサポートするスーパーバイザーの訪問頻度や支援内・容加盟店に貸与するマニュアルの種類や内容
などがあげられます。

「加盟店の成功」を最優先に、フランチャイズ本部がサポートすべき内容を決定するのがポイントです。

なお、フランチャイズパッケージの考え方について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部が加盟者に提供するFCパッケージの考え方。6つの基本型とは

また、フランチャイズパッケージが決まったら、その対価となる加盟金やロイヤリティを決定します。

なお、加盟金やロイヤリティの考え方について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

【FC大全:第4回】本部が受け取る加盟金やロイヤリティを設定する

③フランチャイズ関連法規や過去の判例を踏まえ、①②の内容をFC契約書に落とし込む

ここまできてはじめて、ようやくフランチャイズ契約書の作成に取りかかります。
先に検討した「加盟店に守ってもらうべきルール」「フランチャイズ本部が提供するサービスとその対価」を、フランチャイズ関連法規や過去の判例を踏まえて、フランチャイズ契約書に落とし込んでいきます。

なお、フランチャイズ契約書作成のよくある失敗パターンは、いきなりフランチャイズ契約書の作成にとりかかるケースです。

事前に「加盟店に守ってもらうべきルール」や「フランチャイズ本部が提供するサービスとその対価」を十分に検討していなければ、どの企業にも当てはまるような抽象的な記述の契約書になってしまいます。
これでは、フランチャイズ契約書に期待される機能を十分に果たせない可能性があるのです。

そして、フランチャイズ契約書の作成を外部に依頼する場合にも、①②については、フランチャイズ本部経営者の積極的な関与が不可欠です。フランチャイズの専門家も、①②についてサポートはできても、代行することはできないのです。

ですから、弊社がフランチャイズ契約書作成のご依頼を受ける場合にも、「①②にフランチャイズ本部の経営者または責任者が積極的に関与してくださること」をお引き受けする際の条件としています。

フランチャイズ展開を開始することではなく、成功することを目指して、十分な準備を経て、フランチャイズ契約書の作成に取り掛かっていただきたいと思います。

なお、フランチャイズ契約書の作成の前に、フランチャイズに関連する法律についても確認しておくことをおすすめします。
以下コラムも併せてご覧ください。

フランチャイズ本部を規制する法律「独占禁止法 フランチャイズガイドライン」

フランチャイズ本部を規制する法律「独占禁止法 フランチャイズガイドライン」

>フランチャイズ本部を規制する法律「中小小売商業振興法」

フランチャイズ本部を規制する法律「中小小売商業振興法」

3.フランチャイズ契約書はコピペNG?

「同業のフランチャイズ本部が使用しているフランチャイズ契約書を流用する」というのもよくある失敗パターンです。

というのも、「加盟店に守ってもらうべきルール」や「フランチャイズ本部が提供するサービスとその対価」は、フランチャイズ本部の経営方針やビジネスモデルの性質によって大きく変動するからです。

例えば、本部による指導一つをとっても、フランチャイズ本部によって千差万別です。
加盟店の運営品質を高い水準で維持したいと考える本部は、週に1回訪問するかもしれません。しかし、そのためにはそれなりの本部体制を整えておかなければなりません。

そのような体制がない本部が、「他社は週に1回訪問だから、うちも同じにしよう」等と考えて契約書に定めてしまったとしたらどうなるでしょう。
実際に訪問できなかったり、訪問はできても形だけとなったりで、やがてトラブルに発展する可能性が高いでしょう。

また、そもそも流用したフランチャイズ契約書に本来盛り込むべき重要事項が含まれていないことも十分に考えられます。他社のものを流用してしまうと、盛り込むべき条項の漏れが生じるリスクもあるのです。

以上、よく考えずに他社のフランチャイズ契約書を流用するという行為は、フランチャイズ本部に大きなリスクを生む可能性があります。
ですから、安易な流用やコピペは避けるべきです。

4.フランチャイズ契約書作成の6つのポイント

では実際にフランチャイズ契約書を作成していくにあたり、どのような内容を盛り込んでおくべきか、代表的な6つのポイントをご紹介いたします。

①商標の取り扱いについてのルール

これからフランチャイズ展開しようとするチェーンでは、そのチェーン自体にファンや顧客がついているというケースも多く、商標自体に非常に大きな価値があります。

集客力のあるフランチャイズ本部の商標を使用できるからこそ開業初期段階から一定の売上も確保しやすいという点は、加盟者の大きなメリットの1つです。

つまり商標はフランチャイズ展開においてキモであり核でもあります。

なお、加盟者に商標を貸し出す際には、当該商標を特許庁に申請し、商標登録をしておく必要があります。
商標登録することによって、当該商標を独占的に利用することができるようになります。

フランチャイズ展開における商標権の意義や果たす役割について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部は商標登録が必須!FC展開における商標権の意義と登録方法

またトラブル回避のため使用にあたり下記のようなルールも定めましょう。

  • 契約終了際に商標の使用を禁止すること
  • 修正などを含めた類似した商標の登録を禁止すること
  • 契約した店舗以外での商標の使用を禁止すること
    ※例えばオーナーが複数店舗所有していて、うち1店舗のみ契約して、もう1店舗での無断使用を防ぐ為です。

このようにちょっとしたルールや規則の盲点をつかれるというケースもあるので穴は最初から潰していくような仕組みづくりが必要です。

②店舗内外装や備品を本部の指定とするかどうか

一般的に、店舗の内外装はブランドイメージを左右する重要なポイントとなります。
フランチャイズシステムでは、チェーン全体で統一的なイメージを保つことが重要ですから、加盟店にもフランチャイズ本部の定める基準に従って設計や施工をしてもらうことが多いです。

フランチャイズ本部が設計や施工業者を指定することも可能です。ただし、フランチャイズ本部の利益のためなど、不当な理由で加盟者の取引先を制限することは、独占禁止法違反となる可能性がありますので注意が必要です。

また、ビジネスモデル上、本部が指定する機械設備や備品の設置が不可欠な場合には、その機械設備や備品の種類、購入先についてもフランチャイズ契約書に定めておくとよいでしょう。

③本部からの商材購入を義務付けるかどうか

フランチャイズシステムでは、フランチャイズチェーンのイメージを維持するために、本部から商材を購入する必要がある場合、当該商材を本部から購入することを加盟者に対して義務付けることもできます。

本部にとっては、ブランドイメージを守ることに加え、商材を販売することによって利益を得られるなどのメリットもあります。

ただし、「フランチャイズチェーンのイメージを維持するため」という目的を超える制約は独占禁止法違反となる可能性がありますので注意が必要です。

なお、加盟者にフランチャイズ本部からの商材購入を義務付ける際の注意点について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

加盟者にフランチャイズ本部からの商材購入を義務付けるのはあり?注意すべき点は?

④ノウハウの提供、またはノウハウ内容の方法を決めること

フランチャイズシステムのいて欠かせないのが、フランチャイズ本部から加盟者に対しての「ノウハウの提供」です。

商標も重要なポイントのひとつですが、スムーズな店舗運営を実現するためのノウハウの提供という要因は、加盟者側にとって非常に重要です。

例えば、

  • 作業、業務など各種マニュアルを交付すること
  • 開店前に本部、直営店などでの研修がある
  • 本部社員による開店後のフォロー体制がある
  • 集客について本部のサポートがある

などがあげられます。

こうしたことにより加盟者は安心した店舗運営が可能になります。
提供されるノウハウが充実していれば、加盟者も「加盟金やロイヤリティを支払う価値がある」と感じることができるはずです。

このポイントがしっかり構築されていないと加盟者との信頼関係が築きにくくなったり、結果トラブルが生じたり、最悪の場合解約となるといったことも起こり得ます。
なので、蓄積したノウハウを明文化させ、開示するとともに、積極的に指導やサポートを行っていくことが重要です。

なお、フランチャイズ本部が加盟者に提供するノウハウについて詳しく知りたい方は以下のコラムも併せてご覧いただければと思います。

>マニュアル

フランチャイズ展開にはどんなマニュアルが必要?マニュアルの意義から用意すべき内容までを解説

>開業サポート

フランチャイズ本部が加盟者に実施すべき開業サポートの内容とは?

>スーパーバイザー

フランチャイズ展開の成功に不可欠なSVとは。果たすべき役割と求められる資質

⑤テリトリー制を導入するかどうかを決めること

テリトリー制とは、フランチャイズ本部が加盟店に対して、特定の地域において独占的な販売権(テリトリー権)を認める制度をいいます。

加盟店にとってテリトリー権が認められるかどうかは重要なポイントとなるため、テリトリー権を認めるのかどうか、認めるとしたらどの程度の権利を与えるのかをフランチャイズ契約書に定めていたほうがよいでしょう。

テリトリー権が認められた方が加盟者側は安心感を持つことができますが、一方で、テリトリー権を認めることで生じるデメリットもあります。
例えば、フランチャイズ展開がある程度進んでから本部が出店方針を変更しようとしたときに、テリトリー権が障害となることが考えられます。

テリトリー権を定めることは本部にとってのデメリットが大きいため、最近ではテリトリー権を認めないケースが多いようです。

⑥ノウハウや顧客基盤の流出を防止すること

フランチャイズ本部が開発したノウハウやチェーン内の店舗を利用してくださる顧客基盤の存在は、本部にとっては財産といえるものです。

これらが流出するような事態になれば、フランチャイズ本部にとっては大きな損失となります。
ですから、ノウハウや顧客基盤の流出を防止する定めをフランチャイズ契約書に盛り込んでおかなければなりません。

代表的なものとしては、「競業避止義務」があげられます。
これは、加盟者に対して、フランチャイズ契約期間中または契約期間終了後の一定期間、フランチャイズ事業と同種又は類似の事業を行うことを禁止することで、ノウハウや顧客基盤が流出するのを防止する規定です。

そのほかにも、秘密保持義務規定、顧客情報の帰属・取り扱い規定など、本部のノウハウや顧客基盤を保護する規定を盛り込んでおくべきでしょう。

まとめ

以上、フランチャイズ契約書作成の手順やポイントをご紹介しました。

質の高いフランチャイズ契約書を用意することは、フランチャイズ展開の成功に不可欠です。
今回ご紹介したフランチャイズ契約書作成の流れや作成時のポイントを踏まえ、自社の経営方針やビジネスモデルを集約したフランチャイズ契約書を作成していただければ幸いです。

なお、フランチャイズ契約書の作成の前に、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントも確認することをおすすめします。
以下コラムも併せてご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント

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