フランチャイズ展開を成功させるためには、加盟店を積極的にサポートしていく必要があります。
特に、開業時のサポートは重要です。
フランチャイズ本部は、自社が展開するビジネスについてのプロフェッショナルですが、加盟者は当該ビジネスの素人であることが大半だからです。
仮にフランチャイズ本部による開業時のサポートが不十分で、はじめから加盟者に不満を持たれてしまったとしたら、その先、明るい未来が待っていないことは明らかでしょう。
そのため、フランチャイズ本部は加盟店の開業に際して、全身全霊をかけてサポートをしていかなければならないのです。
未経験の加盟者でも早期に一定レベルで開業まで導くことができるサポート体制を備えることができれば、フランチャイズ展開の成功可能性は飛躍的に高まります。
そこで、この記事では、加盟店の開業に際してフランチャイズ本部が行うべき開業サポートの内容について解説をしていきたいと思います。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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フランチャイズ本部が行うべき開業サポートの内容と留意点
フランチャイズ本部が行うべき開業サポートの内容は、フランチャイズ化する事業のビジネスモデルによって千差万別です。
「加盟者が成功するために本部がサポートすべきことは何か?」という視点から、開業サポートの内容を整理し、必要な仕組みを整えておきましょう。
ここでは、一般的に必要と考えられる開業サポートの内容を紹介していきます。
①開業工程表の提示&工程管理
フランチャイズシステムでは、フランチャイズ事業未経験の加盟者でも漏れなく効率的に開業準備を進めていけるようサポートしていくことが求められます。
そこで、フランチャイズ事業に精通した本部が、フランチャイズ事業の開業に必要な業務や手続きを漏れなく落とし込んだ開業工程表を作成し、加盟者に提示してあげるとよいでしょう。
イメージは次のようなものです。
また、開業工程表を示すだけでは不十分です。加盟者にとってみれば、開業工程表にまとめられているとはいえ、はじめて経験することだらけなわけですから、フランチャイズ本部が率先して工程管理をしてあげることが望まれます。
②商圏分析・立地診断
多くの店舗ビジネスにおいて、出店する商圏や立地はフランチャイズ事業の成否を左右する重要なポイントとなるはずです。
そのため、出店する商圏や立地の探索は加盟店に任せるにしても、加盟店が出店を希望する商圏の分析や立地の診断については、必ずフランチャイズ本部が実施をしてあげるべきでしょう。
このためには、フランチャイズ本部が展開している直営店舗を分析し、どのような商圏や立地であれば事業が成立するのか、出店を認める商圏や立地の基準を明らかにしておかなければなりません。
フランチャイズ展開の初期段階においては、無料で使える商圏分析ソフト「jSTAT MAP」を活用して商圏分析を行うことがおすすめです。
jSTAT MAPについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
【2019年度版】無料でできる商圏分析!~jSTAT MAPの利用方法
③加盟店舗の設計・施工等
店舗ビジネスを開業するためには、店舗の設計や施工はもちろんのこと、店舗運営に必要となる設備や備品、商材の手配など、多種多様な手続きが発生します。
これをフランチャイズ事業未経験の加盟者にまかせてしまっていては、たとえ開業工程表に必要な業務が漏れなく盛り込まれていたとしても、抜け漏れが生じる可能性は高いでしょう。
ですから、店舗の設計や施工、及び店舗運営に必要な設備・備品・商材などの手配は、原則本部が実施するものとしましょう。
なお、本部には相応の手間とコストが生じますので、このサポート分については、加盟金や開業支援費として加盟者から徴収するとよいでしょう。
④開業前の教育研修
フランチャイズの加盟者は、フランチャイズ事業についてはもちろんのこと、当該業種についても未経験であることが大半です。
そのため、フランチャイズ展開をスムーズに進めていくためには、当該業種の未経験者であっても、早期に一定水準の運営や管理が可能な水準まで育成できる教育研修プログラムを整備しておかなければなりません。
フランチャイズ展開のよくある失敗事例は、「教育研修やスーパーバイザーシステムのレベルが低いことが原因で、加盟店の運営品質レベルも低くなってしまう」というものです。
加盟店とはいえ、顧客から見れば同じチェーンです。加盟店の運営品質の悪さは、チェーン全体のイメージ悪化につながってしまいます。
このような事態を避けるためにも、教育研修システムは特に念入りに、しっかりとした仕組みを整備しておくことが求められるのです。
なお、フランチャイズ展開に必要な教育研修プログラムのつくり方について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
⑤事業計画の策定
フランチャイズに加盟するにあたり、多くの加盟者は金融機関からの借り入れを行うことでしょう。その場合、金融機関からはフランチャイズ事業についての事業計画書の提出を求められることになります。
また、たとえ自己資金でフランチャイズ加盟にするにしても、新規事業にチャレンジする訳ですから、事業計画書は作成しておくべきです。
とはいえ、未経験の事業について事業計画書をつくることは簡単ではありません。
そこで、フランチャイズ本部としては加盟者の事業計画作成を積極的にサポートしてあげるとよいでしょう。
フランチャイズ本部であれば、これまでの直営店舗の運営実績から、開業後、どれくらいの売上が見込めるのか、どの程度の経費が発生するのか、どの程度の運転資金を確保しておくべきかなど、ある程度事業の先行きを想像することができるはずです。
⑥オープン時の販促活動
加盟者の成功を目指すうえで、開業直後の集客は非常に重要なポイントとなります。
開業直後の集客が上手くいけば、加盟者の不安もなくなり、かつモチベーションも高まることでしょう。一方、開業直後の集客が上手くいかないと、加盟者の不安は深まり、人によってはモチベーションが低下してしまうこともあるかもしれません。
そのため、オープン時の販促活動については、本部が主導で準備をしてあげるとよいでしょう。
もちろん、そのためのノウハウも蓄積しておかなければなりません。
オープン時の販促活動について一定の費用が掛かる場合には、予めその金額を開業時必要資金に盛り込んでおくとよいでしょう。
⑦オープン日前後の実地指導
開業前に十分に準備を行い、開業前の教育研修で十分な知識やスキルを身に着けたとしても、オープン前の加盟者の不安をゼロにすることはできません。
ですから、フランチャイズ本部としては、オープン前の数日は経験豊富なスタッフを店舗に派遣し、開業準備状況の最終確認やオペレーション指導など、現場で実地指導を行うべきでしょう。
また、オープン日から数日は何が起きるかわかりません。予期せぬトラブルが生じたときにも対応できるよう、オープン日から数日の間は経験豊富なスタッフを加盟店に常駐させて実地サポートをしてあげるとよいでしょう。
このような姿勢は、フランチャイズ本部と加盟店との信頼関係構築につながっていくはずです。
まとめ
以上、加盟店の開業に際してフランチャイズ本部が行うべき開業サポートの内容について紹介をしました。
フランチャイズ本部が加盟者の開業に際して全身全霊のサポートを行えば、加盟者の成功確率は高まるでしょうし、なによりフランチャイズ本部と加盟者との信頼関係の構築にもつながっていくはずです。
はじめの段階から加盟者に不満を持たれてしまっては、フランチャイズ展開が上手くいくことなどありません。
加盟者を成功させるためにも、またフランチャイズ本部と加盟者間の信頼関係を盤石なものにするためにも、加盟者が成功するために本部がサポートすべきことを突き詰めて考え、必要な仕組みを整えておくべきでしょう。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。