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フランチャイズ本部を規制する法律「独占禁止法 フランチャイズガイドライン」

「フランチャイズシステムはどのような法律の規制を受けるのですか?」

これは、フランチャイズ展開を目指す経営者からよくいただく質問です。

実は、フランチャイズシステムを直接的に規制することを目的とした法律は存在しません。
それでは、フランチャイズシステムを規制する法律がないのかというと、そういうわけでもありません。

フランチャイズシステムに関連する法律の代表例としては、中小小売商業振興法、独占禁止法、商標法、不正競争防止法などが挙げられますが、この中でも特に重要な法律が、中小小売商業振興法と独占禁止法です。
中小小売商業振興法と独占禁止法には、フランチャイズ本部を運営していくうえで重要な規定が設けられています。

これからフランチャイズ展開を目指す、または既にフランチャイズ展開を進めている経営者、フランチャイズ担当スタッフは、最低限、この2つの法律については正しい理解をしておくべきでしょう。

そこで、本記事では、独占禁止法とフランチャイズシステムとの関係性について解説をしていきます。

独占禁止法とは

独占禁止法は、企業間の公正、自由な競争を確保することにより、市場経済の健全な発達を促進することを目的とした法律です。
このことを実現するために、独占禁止法は、次の3つの柱によって構成されています。

①私的独占の禁止

私的独占とは、特定の事業者が、他の事業者の事業活動を排除または支配することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます。

②不当な取引の制限

不当な取引とは、事業者が他の事業者と共同して、その事業活動を相互に拘束しまたは遂行することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます。

③不公正な取引方法の禁止

不公正な取引方法とは、不当な競争手段を用いる行為や取引上の優越的地位を不当に利用して相手方の競争機能を制限する行為をいいます。

独占禁止法とフランチャイズシステムの関係性

フランチャイズシステムでは、チェーン全体のイメージの統一性が重要となることから、本部から加盟店に対して、販売する商品や原材料、販売価格、販売方法などに対して様々な制約が課されることが一般的です。

この制約が、フランチャイズチェーンのイメージの統一性を守るために必要不可欠な範囲であれば問題はありませんが、その制約が過度になりすぎると、独占禁止法で禁止されている「不公正な取引方法」に該当する恐れが生じます。

フランチャイズシステムの特性上、本部は加盟店よりも優越的な地位に立つケースが多いこともあり、独占禁止法上の問題が指摘されることも少なくありません。
そこで、公正取引委員会は「フランチャイズシステムに関する独占禁止法上の考え方について(フランチャイズガイドライン)」を策定・公表しています。

これは、本部と加盟者の取引において、どのような行為が独占禁止法上問題となるかについて具体的事項を明らかにし、本部の独占禁止法違反行為の未然防止とその適切な事業活動の展開に役立てることを目的としたものです。

フランチャイズ本部としては独占禁止法に抵触しないよう、フランチャイズガイドラインの内容を十分に理解しておく必要があるでしょう。
なお、中小小売商業振興法は、飲食業、小売業が対象となり、サービス業は対象外となりますが、フランチャイズガイドラインは全業種が対象となります。

フランチャイズガイドラインのポイント

フランチャイズガイドラインでは、「契約締結前」と「契約締結後」の2つのフェーズに分けて、フランチャイズシステムにおける独占禁止法の適用について説明をしています。
それぞれ確認していきましょう。

[契約締結前]本部の加盟者募集について

フランチャイズガイドラインでは、本部が加盟希望者を募集するにあたり注意すべき点として、以下の3つをあげています。

①事前情報開示事項

フランチャイズガイドラインでは、独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、加盟希望者が適正な加盟判断を行うことができるよう、本部が加盟者を募集するに当たり開示することが望ましい事項が明示されています。
この情報をまとめた書面が、いわゆる「法定開示書面」と呼ばれるものです。

法定開示書面を交付・説明していない本部もありますが、これは本部にとって大きなリスクを抱えることにつながります。
具体的には、本部と加盟者間でトラブルが発生し、訴訟まで発展した場合に、法定開示書面を交付・説明していないことは、本部にとって不利に働く可能性があります。
逆に、法定開示書面を交付・説明していることは、本部にとって有利に働く可能性があります。

フランチャイズ展開をするのであれば、最低でも法定開示書面の交付・説明は行うべきでしょう。

<フランチャイズガイドラインで明示されている事前情報開示事項>

  • 加盟後の商品等の供給条件に関する事項(仕入先の推奨制度等)
  • 加盟者に対する事業活動上の指導の内容、方法、回数、費用負担に関する事項
  • 加盟に際して徴収する金銭の性質、金額、その返還の有無及び返還の条件
  • 加盟後、本部の商標、商号等の使用、経営指導等の対価として加盟者が本部に定期的に支払う金銭(以下「ロイヤルティ」という。)の額、算定方法、徴収の時期、徴収の方法
  • 本部と加盟者の間の決済方法の仕組み・条件、本部による加盟者への融資の利率等に関する事項
  • 事業活動上の損失に対する補償の有無及びその内容並びに経営不振となった場合の本部による経営支援の有無及びその内容
  • 契約の期間並びに契約の更新、解除及び中途解約の条件・手続に関する事項
  • 加盟後、加盟者の店舗の周辺の地域に、同一又はそれに類似した業種を営む店舗を本部が自ら営業すること又は他の加盟者に営業させることができるか否かに関する契約上の条項の有無及びその内容並びにこのような営業が実施される計画の有無及びその内容

②予想売上げ又は予想収益

加盟者募集に際して、予想売上げ又は予想収益を提示する本部もありますが、この場合、本部が提示した予測値と実績値のギャップがしばしば問題となります。

そこで、フランチャイズガイドラインでは、本部が売上や収益の予測値を加盟希望者に対して提示する場合には、類似した環境にある既存店舗の実績などの根拠ある事実、合理的な算定方法等に基づいて算出する必要があり、また、本部は、加盟希望者に対して、これらの根拠となる事実、算定方法等を示す必要があるものと定めています。
すなわち、予想売上げや予想収益を加盟希望者に示す場合には、根拠のある数値を示すことに加え、算定の基礎情報や算定方法まで示さなければならないのです。

予想売上や予想収益を示す場合には、その数値が、上記要件を満たすものであるか、十分に確認しておく必要があるでしょう。

③ぎまん的顧客誘引

ぎまん的顧客誘引とは、自己の供給する商品やサービスの内容または取引条件、その他これらの取引に関する事項について、実際の物または競争先のものよりも著しく有利であると顧客に誤認させることで、競争先の顧客を自己と取引するように不当に誘引することをいいます。

加盟者の募集に当たり、本部がフランチャイズガイドラインに掲げられた情報開示事項について十分な開示を行わない、または虚偽もしくは誇大な開示を行い、加盟希望者に実際のフランチャイズシステムよりも著しく優良または有利であると誤認させて不当に誘引し、加盟をさせた場合には、ぎまん的顧客誘引に該当します。

本部の行為がぎまん的顧客誘引に該当するかどうかは、以下事項を総合勘案して判断されます。

<ぎまん的顧客誘引に該当するか否かについての考慮事項の例>

  • 予想売上げ又は予想収益の額を提示する場合、その額の算定根拠又は算定方法が合理性を欠くものでないか。また、実際には達成できない額又は達成困難である額を予想額として示していないか。
  • ロイヤルティの算定方法に関し、必要な説明を行わないことにより、ロイヤルティが実際よりも低い金額であるかのように開示していないか。例えば、売上総利益には廃棄ロス原価が含まれると定義した上で、当該売上総利益に一定率を乗じた額をロイヤルティとする場合、売上総利益の定義について十分な開示を行っているか、又は定義と異なる説明をしていないか。
  • 自らのフランチャイズ・システムの内容と他本部のシステムの内容を、客観的でない基準により比較することにより、自らのシステムが競争者に比べて優良又は有利であるかのように開示をしていないか。例えば、実質的に本部が加盟者から徴収する金額は同水準であるにもかかわらず、比較対象本部のロイヤルティの算定方法との差異について説明をせず、比較対象本部よりも自己のロイヤルティの率が低いことを強調していないか。
  • フランチャイズ契約を中途解約する場合、実際には高額な違約金を本部に徴収されることについて十分な開示を行っているか、又はそのような違約金は徴収されないかのように開示していないか

フランチャイズ本部としては、加盟希望者の募集にあたり、フランチャイズガイドラインへの記載事項は最低限抑えたうえで取り組むべきでしょう。

[契約締結後]本部と加盟者との取引について

つづいて、フランチャイズガイドラインでは、フランチャイズ契約締結後の本部と加盟者の取引において注意すべき点として、以下の3つをあげています。

①優越的地位の濫用

優越的地位の濫用とは、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、取引先に対して正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える行為をいいます。

加盟者に対して取引上優越した地位にある本部が、加盟者に対して、フランチャイズシステムによる営業を的確に実施する限度を超えて、正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益となるように取引の条件を求める場合には、独占禁止法で定められた優越的地位の濫用に該当します。

フランチャイズガイドラインでは、優越的地位の濫用に該当する例として以下の5例を挙げていますので、少なくとも、以下の内容には抵触しないよう注意をするべきです。

 

<優越的地位の濫用に該当する事例>

取引先の制限

本部が加盟者に対して、商品、原材料等の注文先や加盟者の店舗の清掃、内外装工事等の依頼先について、正当な理由がないのに、本部又は本部の指定する事業者とのみ取引させることにより、良質廉価で商品又はサービスを提供する他の事業者と取引させないようにすること。

仕入数量の強制

本部が加盟者に対して、加盟者の販売する商品又は使用する原材料について、返品が認められないにもかかわらず、実際の販売に必要な範囲を超えて、本部が仕入数量を指示し、当該数量を仕入れることを余儀なくさせること。

見切り販売の制限

廃棄ロス原価を含む売上総利益がロイヤルティの算定の基準となる場合において、本部が加盟者に対して、正当な理由がないのに、品質が急速に低下する商品等の見切り販売を制限し、売れ残りとして廃棄することを余儀なくさせること。

フランチャイズ契約締結後の契約内容の変更

当初のフランチャイズ契約に規定されていない新規事業の導入によって、加盟者が得られる利益の範囲を超える費用を負担することとなるにもかかわらず、本部が、新規事業を導入しなければ不利益な取扱いをすること等を示唆し、加盟者に対して新規事業の導入を余儀なくさせること。

契約終了後の競業禁止

本部が加盟者に対して、特定地域で成立している本部の商権の維持、本部が加盟者に対して供与したノウハウの保護等に必要な範囲を超えるような地域、期間又は内容の競業禁止義務を課すこと。

②抱合せ販売等・拘束条件付取引

抱き合わせ販売等とは、ある商品やサービスを販売する際に、その購入者らに対し、不当に他の商品やサービスを一緒に購入等させる行為をいいます。

拘束条件付取引とは、取引に際して、取引の相手方と第三者との関係を拘束する条件 (例えば、購入先、販売価格などの指定)を付して、当該相手方と取引することをいいます。

フランチャイズ契約において、本部が加盟者に対し、本部もしくは本部の指定する事業者から商品、原材料等を購入させるようにすることが、抱き合わせ販売等や拘束条件付取引に該当するかどうかについては、本部と加盟者の関係性、条件の内容、拘束の程度などを総合勘案して判断されることになります。

明確な根拠がないのにもかかわらず本部との取引を強制するような行為は、違反行為に該当するものと考えたほうがよいでしょう。

③再販売価格の拘束

再販売価格の拘束とは、本部が指定した価格で販売しない加盟者に対して、商材やロイヤリティを高くしたり、商材販売を停止するなどして、強制的に加盟者に指定した価格を守らせることいいます。

フランチャイズシステムでは、チェーン全体のイメージの統一性が重要な要素となります。
そのため、販売価格については、本部が必要に応じて希望価格を提示することは許容されるものと考えられます。

しかしながら、加盟者が地域市場の実情に応じて販売価格を設定しなければならない場合や、売れ残り商品等について値下げして販売しなければならない場合などもあります。

そのため、本部が加盟者に商品を供給している場合に加盟者の販売価格を拘束することは、原則として独占禁止法で禁止されている再販売価格の拘束に該当するものとされています。

また、本部が加盟者に商品を直接供給していない場合であっても、加盟者が供給する商品またはサービスの価格を不当に拘束する場合は、拘束条件付取引に該当する可能性がありますので注意が必要です。

まとめ

以上、フランチャイズ本部を規制する法律「独占禁止法 フランチャイズガイドライン」をご紹介しました。

仮に、本部の行為が独占禁止法に抵触するようこととなれば、本部の信用失墜は免れません。
そうなれば、加盟者の維持・獲得が難しくなることはもちろんのこと、ビジネス自体が苦境に陥る可能性さえあります。

フランチャイズ展開で成功を目指すのであれば、独占禁止法やフランチャイズガイドラインの内容を十分に確認し、これらの定めを順守した展開を行うべきでしょう。