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社会環境の変化に備える!フランチャイズ本部経営に求められる意識とは

公正取引委員会が、コンビニエンスストアの24時間営業の強制は「独占禁止法違反」になり得るとの見解を示し、フランチャイズ本部に対して改善要請をしました。

人手不足が深刻化していることによる労働環境の悪化が背景にありますが、本部と加盟店の関係においては他にも課題があり、加盟店の持続的経営を維持するために、コンビニ大手フランチャイズ本部に対して「事業モデル転換」を迫る姿勢を打ち出したものです。

今回はコンビニ業界の過去の事例を踏まえながら、社会環境の変化に備えたフランチャイズ本部経営に求められる意識について、確認したいと思います。

なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント

1.過去にもあったフランチャイズ本部への行政指導

過去にも公正取引委員会は、大手コンビニフランチャイズ本部に対して、加盟店の経営環境、労働環境、フランチャイズ契約の運用等について、是正を促してきました。

例えば以下のようなことです。
・24時間営業の強制
・同一地域出店
・発注の強制、無断発注・自動送り込み
・売れ残り商品の値引き販売
・加盟時の説明不足   等

そして上記のような課題の顕在化や行政指導を受けるつど、フランチャイズ本部はフランチャイズ契約書をアップデートし、加盟店への指導を法的根拠に基づいたものへと変更してきました。
今回も自主改善策をまとめて、報告書で提出することになっています。

今回、様々な点においてルール変更が発生する事態となり、事業モデルそのものについての考え方も変えなければならず、コンビニ大手フランチャイズ本部は大変な混乱となっていることでしょう。
フランチャイズ契約書の改定も検討しはじめていると思われます。

2.フランチャイズ本部のこれまでの姿勢

上記のような課題の発生要因は、決して本部が加盟店と対立したかった訳ではなく、フランチャイズ本部として「社会インフラとしての役割」「加盟店の売上確保」を実現するために、強いリーダーシップのもと、加盟店を指導してきたからです。

本部の提供するビジネスモデル、商品・サービスが消費者に支持され、売上も上がり、加盟店の利益も確保できていたからこそ、強い指導ができました。

またその強い指導の後ろ盾として、フランチャイズ契約書の各条項も整備されています。
もちろん加盟者とのフランチャイズ契約をめぐる裁判等のトラブルもありますが、本部が一方的に敗訴となるケースは稀なのです。

そして本部社員は、社会インフラとしての使命感と、本部と加盟店の互いの成長を信じて、一点の曇りもなく活動しています。
しかし、それが行き過ぎであったことは否めないでしょう。

今回の公正取引委員会の見解は、加盟店の声を大きく拾い判断されたものであるため、コンビニ大手フランチャイズ本部も、考え方を加盟店寄りに大きく舵を切ることでしょう。

3.「環境変化への対応」の思想は、今も昔も変わらない

近年、労働人口の減少や、年々上がる最低賃金の負担、働き方改革による深夜営業への懐疑的な考え方、過剰な品揃え投資によるフードロス問題等、加盟店の収益に影響がある問題が増えてきました。

社会課題とコンビニ市場の成熟化による業績停滞が同時進行で発生している点は、大手コンビニフランチャイズ本部にとって大変悩ましいところです。

しかし、コンビニ業界全体の成長を促してきた各社共通の思想が「環境変化への対応」です。
現在は、今一度、真の「変化への対応」が問われていると言えます。

これまでは、サービスや商品のイノベーションを「変化への対応」の柱としてきましたが、これからは「成熟期市場」への対応に加え、「成熟社会」となった社会全体の環境も含めた「変化への対応」を考えなければならない時代なのです。

これからは、「加盟店から支持される本部であるのか」が問われます。
加盟店から支持されず、離脱が増えれば本部の存続も危ぶまれます。
今回の出来事は、フランチャイズビジネスが新たなステージへと変わった瞬間と言えるでしょう。

4.加盟店の立場を本気で考えられる本部であるのか

コンビニ業界全体として、加盟店への行き過ぎた指導もあり、業界として転換期を迎えていますが、「加盟店の利益、生活を守る」といった思想は、全社員に常々教育され続けています。
そのポリシーは全く揺らいでいません。
だからこそフランチャイズビジネスとして長く続いているのです。

他のフランチャイズ本部経営者の皆様も、果たして同じ気持ちを強く持ち続け、社員に教育できているのか、自身の胸に問うていただききたいと思います。

本気で加盟店の利益や生活を守る気概があるのか、社会の要請に応えられる企業であり続けられるのか、これがフランチャイズ本部に求められている使命です。
一定のロイヤリティ収入が入ることで満足しているだけでは、フランチャイズビジネスは成り立たないのです。

なお、フランチャイズ本部に求められる加盟者との信頼関係のつくり方について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

加盟者の流動性が高まる時代のフランチャイズ本部に求められる加盟者との信頼関係のつくり方

まとめ

国内において、フランチャイズ契約そのものを直接的に対象にした法律はありません。
その為、「優越的地位の乱用」や「独占禁止法違反にあたる可能性がある」といった、一般的には分かりにくい曖昧な行政指導となっています。

なお、フランチャイズを規制する法律について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部を規制する法律「独占禁止法 フランチャイズガイドライン」

フランチャイズ本部を規制する法律「独占禁止法 フランチャイズガイドライン」

フランチャイズ本部を規制する法律「中小小売商業振興法」

フランチャイズ本部を規制する法律「中小小売商業振興法」

社会の機運が高まれば、近い将来に「フランチャイズ規制法(仮称)」のような議論が本格化するかもしれません。
既に法整備を要請している団体もあります。

そういった環境下でも成長し続けられる企業であること、本気で加盟店の利益や生活を守る気概を持ち、社会の要請に応えられる企業であろうとすること、これらの意識がこれからのフランチャイズ本部の経営に求められているのです。

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