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加盟者の流動性が高まる時代にFC本部に必要な加盟者との関係性づくりとは

経済の再開と伝染病対策の両輪で、世の中が動き始めています。
同じ業界内でも、新しい取り組み、サービスの提供に舵を切れる企業と、これまでの延長線上でしか事業を継続できない企業とでは、差が開く一方です。

FCビジネスにおいて、新商品の提供、新サービスの提案は本部の重要な役割です。
しかし、本部の強力なリーダーシップによって、FC加盟店へ新商品や新サービスを理解・浸透させることは、店舗数が多くなればなるほど難しくなります。

今回は大手CVS本部の加盟店に対する「新サービス浸透の際の働きかけ」事例をもとに、加盟者の流動性が高まる時代におけるFC本部に必要な加盟店との関係性づくりについて触れていきます。

FCチェーンにおける新サービスの導入は簡単ではない

C V S業界が5万5千店まで拡大できた要因は様々ですが、やはり新しい商品やサービスを消費者に向けて提案し続けてきたことが最も大きい要因と言えます。

メーカーが独自商品を開発すれば、自らマーケティング活動や営業活動を行います。
同様にFCビジネスにおいては、FC本部自らが加盟店に対して営業活動を行わなければなりません。

加盟店が新商品や新サービスの本質を理解できなければ、FC本部の売上に結びつかないからです。
ここで力を発揮するのがSVです。

様々な方法で、加盟店に対する説明や説得を日々繰り返していきます。
大手チェーンであっても、本部の意向が全てスムーズに加盟店へ受け入れられるわけではなく、外部からは見えない加盟店とSVの折衝や苦労、人間模様があります。

加盟店にはそれぞれの思想や考え方があり、社会変化や新サービスへの理解度、テクノロジーのリテラシーも異なります。
そのためSVは、加盟店への説明や説得において苦労するのです。
ここで必要とされるSVのスキルは、メーカーの敏腕営業マンと同じといえるでしょう。

決済手段の統一サービスの導入にも大変な苦労があった

今や決済手段には様々なサービスが乱立しています。
チャージ型の電子マネー、クレジットカード、デビットカード、Q Rコード決裁、公共料金の三連バーコード等様々です。

コンビニへのクレジット決済は20年以上前に導入されました。
その際に問題になったのが、手数料の負担です。
決済用のP O Sレジ導入は本部投資であっても、日々発生する決済手数料は、受益者として加盟店にも一部負担が発生します。

決済手段が増えることで売上アップを直ちに実感できるわけでもなく、手数料の負担感だけが一人歩きし、手数料負担を拒否する加盟店が出てきたのです。

しかし加盟店の拒否を認め、その店舗へのクレジット決済導入を見合わせれば、全国一律の同一サービスを提供できません。
当時のSV は必死で加盟店を説得しました。

まずクレジット決済に対する消費者意識の変化や利用状況の推移等の社会変化を説明し、次にお客様が感じる店舗への信頼感と商品購買につながる点を強調し、結果として売上増による加盟店収益の安定成長につながることを、丁寧に諦めることなく説得し続けました。

新サービス導入は本部に強制力はなく、無理やり導入しようものなら「優越的地位の乱用」に該当する恐れがあるからです。

無事に導入への説得が終われば、次は大事なオペレーション指導です。
お客様の「個人情報」の管理や扱い方、サイン受領や暗証番号入力等における決済事故防止、犯罪に巻き込まれるケースへの注意も必要です。

このように、FCビジネスにおける新商品や新サービスの提供は、FC本部やSVと加盟店との対話により、納得感のある説得を行えるような関係性が保たれてきたからこそ可能だったのです。

加盟店との関係性はSVが鍵を握る

昨今では、大手FCチェーンにおける加盟店大量離脱問題が浮き彫りになっています。
FC契約満了に伴う加盟者の判断によるものですが、加盟店がFC事業を選択する姿勢が鮮明になってきたことの表れです。

一昔前まではFC契約の再契約・延長・更新は、加盟店にとって重要なファクターでした。
強い本部がイニシアティブを握っており、加盟者は本部に更新してもらう意識でした。

しかし時代は変わりました。
今は加盟者がFC事業を選択する時代であり、選択肢の1つとして離脱を検討しやすい環境といえます。

離脱の理由としては、他の業種・業態同様に「高齢による事業継続困難」「後継者不足」もあります。
しかしそれ以外の主な理由は、新商品や新サービスを提供できない、差別化商品がない本部への不満です。

さらに本部が提案したくとも、加盟店との関係性が保てず、新商品や新サービスの提供ができていないケースも増えています。

関係性の悪化で、せっかくの新サービスを提案できないとは、非常にもったいない話です。
新サービスの導入には加盟店との関係性維持が欠かせず、その鍵はやはりSVシステムなのです。

ここに気づき始めた大手本部では、コミュニケーション能力の高いSVをドミナント地域に居を構えるよう配置転換したり、地元の人材をSVとして登用したりと、地元の消費者や加盟店との関係強化を意識した組織編成を始めた企業もあります。

加盟店との関係づくりをマーケティング視点で見直す

テレワーク等、巷では企業内での社員間コミュニケーションについて多く語られるようになっています。
これらの議論は、加盟店と本部との関係にも応用できるでしょう。

加盟店との関係性を強固にする手段として、新しいツールを活用する必要があります。
加盟店とのコミュニケーションの取り方も進化させなければ、加盟店の離脱がますます発生する時代になってくるでしょう。

以下のような視点で、加盟店との関係づくりを見直してはいかがでしょうか。
・ただ闇雲に加盟店への訪店の回数を増やすだけでいいのか
・迅速に加盟店の要望に応えることができるツールはないのか
・加盟店負担を軽減できるテクノロジーはないのか
・加盟店が新サービスを直ぐに導入できる研修システムとは何か
・本当に数百ページに及ぶマニュアルが必要なのか

FC契約の中には、加盟離脱後の「競業避止」「マーク替えの禁止」を明記しているものもあるでしょう。
しかしエリアの変更、他業態への業態変換、加盟者の職業選択の自由等の理由で、全てを縛ることはできません。

環境変化と加盟店の意識変化をきっかけに、加盟店とのコミュニケーションの取り方も変化させていかなければ、加盟者の流動性は、今後ますます高まっていくでしょう。

そしてそのような加盟者の流動性が高まる時代には、FC本部は加盟者との関係性づくりを、お客様づくりのマーケティング視点で行っていくことが必要です。
加盟者の流動性が高まることは、既存加盟者の流出リスクと裏腹に、新規加盟者獲得のチャンスとも言えるからです。

まとめ

新商品や新サービスを提供し続けなければ消費者も加盟店も直ぐに離脱します。
加えて、加盟店は本部との関係性を重視しています。
リアルな店舗ビジネスのみならず、E Cビジネスにおいても発生している現象です。

加盟店と本部の関係性には、リアルやオンラインの区別はありません。
指導力を発揮するには強い本部も必要である一方、FCビジネスを継続するには、加盟店との関係性も、顧客との関係づくりと同様、マーケティング視点で行わなければならない時代になりました。

そしてそれは、やり方しだいではピンチをチャンスに変え、新たな加盟店を獲得できる環境でもあるということです。