「これからフランチャイズ展開に向けて準備をはじめる予定です。フランチャイズ本部構築にはどの程度の費用が掛かるものでしょうか」
これは、先日弊社にフランチャイズ本部構築のご相談で訪れた学習塾チェーンを営む経営者からいただいたご質問です。
企業が多店舗展開や環境変化に強い身軽経営の実現を目指すうえで、フランチャイズシステムを活用することは有効な選択肢のひとつです。
しかしながら、フランチャイズ本部構築に必要な費用に見当がつかず、なかなか一歩を踏み出せない企業経営者も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、フランチャイズ本部構築に必要となる代表的な費用について解説をしていきたいと思います。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方やポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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フランチャイズ本部構築に必要な費用①人件費
必要な費用の1つめは、フランチャイズ本部の人件費です。
フランチャイズ本部の立ち上げにあたり、本部は様々な仕組みを整備する必要があります。
例えば、次の内容はフランチャイズ展開には必ず必要となります。
- 加盟店に貸し出すマニュアルの整備
- 加盟店が必要な知識やノウハウを習得するための教育研修プログラムの整備
- 加盟店営業用の資料の作成
- フランチャイズ契約書類の作成
これら仕組みの整備や資料作成には、当然担当するスタッフが必要です。
弊社では、フランチャイズ本部を立ち上げる際、経営者に兼任スタッフ2名を加えた体制で、半年くらいの期間をかけてプロジェクトを進めていくことを推奨しています。
仮に2名の労働時間の1/3(週に1.5日程度)をフランチャイズ本部立ち上げ業務に費やす場合、当該スタッフの人件費を450万円(社会保険料込み)で計算すると、300万円程度の費用がかかることになります。
既存スタッフにフランチャイズ本部立ち上げの業務を兼任させる場合にも、実質的には費用が発生していますので、この分の人件費も初期投資として見込み、これを回収できるよう加盟金やロイヤリティを設計していく必要があるでしょう。
フランチャイズ本部構築に必要な費用②加盟店営業費
必要な費用の2つめは、加盟店を開拓するために必要となる営業経費です。
加盟店開拓には、先にお伝えした人件費に加え、加盟店開発用のツール制作費、情報サイト掲載や展示会出展のための広告宣伝経費が必要となります。
(1)ツール制作
加盟店営業を進めていくためには、最低限、加盟店営業用のWEBサイトやパンフレット等を作成しておく必要があります。展示会に出展する場合には、ポスターやタペストリーなどのツールも必要になるでしょう。この分の経費を見込んでおく必要があります。
特に、インターネットが普及した現代では、加盟店営業用のWEBサイトは必ず準備したいところです。詳しいことを知りたいと考えた加盟希望者は、まず間違いなく、WEBサイトを検索するからです。
会社ホームページ等、既存サイトに情報を掲載することも考えられますが、加盟店営業には様々な情報が必要となるため、後々のことを考えれば、加盟店営業専門のWEBサイトを用意しておいた方がよいでしょう。
現代ではココナラのように比較的低コストでWEBサイトやパンフレット制作を依頼できるサービスもありますので、用途に応じて活用を検討してみるのもありでしょう。
なお、フランチャイズ本部立上げ初期のFC本部が加盟店募集競争に勝つために意識したいことについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
(2)広告宣伝経費
フランチャイズ本部立ち上げ後、早く加盟希望者を集めたいと考えた場合、フランチャイズ本部と加盟希望者をマッチングする情報サイトや展示会を活用することが考えられます。
かかる費用はサービスによってまちまちですが、加盟希望者との接点が作れる分、費用はそれなりにかかります。
立ち上げ後、スピーディーに加盟店を開発していきたいと考えるのであれば、予め使用する媒体を選定し、必要な費用を見積もっておくとよいでしょう。
フランチャイズ本部構築に必要な費用③コンサルタント経費
必要な費用の3つめは、フランチャイズを専門とするコンサルタントに依頼する経費です。
自力で取り組む場合には必要ありませんが、フランチャイズシステムは非常に複雑な仕組みであることもあり、多くの場合、はじめてフランチャイズ本部の立ち上げをする際にはコンサルタントにサポートを依頼しているのではないでしょうか。
コンサルティング費用は、依頼する企業やサービス内容によって異なりますが、ホームページ等でコンサルティング費用を開示しているところの水準をみると、一式でだいたい100~500万円ほどが目安となります。
仕組みが複雑となる分、コンサルティング費用も通常のコンサルティングと比べて高く設定されているケースが多いようです。
コンサルタントに依頼すべきかどうかは本部の状況によるでしょう。
ただし、フランチャイズシステムでは一度加盟者と契約をしてしまうと、後から仕組みを変更するには多大な労力が必要となるため、フランチャイズについての知見やノウハウがない場合には、コンサルタントに相談しながら進めていく方が無難なように思います。
フランチャイズ本部構築に必要な費用④商標登録経費
必要な費用の4つめは、本部が使用している商標を登録する際に必要となる経費です。
フランチャイズシステムでは、基本的にはフランチャイズ本部が使用している商標を加盟店に貸し出すことになります。この場合、フランチャイズ本部は当該商標を特許庁に商標登録しておく必要があります。
なお、フランチャイズシステムにおける商標権の意義や登録方法について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
フランチャイズ展開するブランドについてまだ商標登録をしていない場合には、商標登録に必要な費用が発生します。
ちなみに、弊社が依頼している弁理士事務所では、1区分の申請で12万円程度、2区分の申請で20万円程度(いずれも有効期間10年の場合)となります。
まとめ
以上、フランチャイズ本部構築に必要となる代表的な費用についてご紹介をしました。
「何にどれだけ経費をかけるべきか」という点については、フランチャイズ展開を通じて実現したい姿によっても大きく変わります。
具体的には、スピーディーに多店舗展開を進めていきたい場合にはそれなりの投資を覚悟しなければなりませんが、「まずは小規模に展開したい」と考える場合には、投資対象を絞って、初期投資を極力抑えて展開していく必要があるでしょう。
当社では、これからのフランチャイズ展開のあり方として、はじめは投資を抑えて小規模に展開を開始し、段階的に大きく育てていく方法を推奨しています。
ご興味がある方は、ぜひ一度無料の個別相談にお申込みいただけますと幸いです。
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