ファミリーマートでは、2021以降に加盟店の契約更新が多く発生します。フランチャイズ契約は加盟店と本部の双方の意思により結ばれるものであり、加盟店が離脱の意思表示を示せばフランチャイズ契約は継続できません。加盟店の離脱はフランチャイズ本部にとって事業の根源を揺るがす事態であるため、契約更新に向けた様々な取り組みが図られようとしています。この課題は他のフランチャイズ本部にとっても早晩やってくる課題です。
2016年に同業のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと統合して業界2位に躍り出たファミリーマート。細見体制にとって、相次ぐM&A(合併・買収)で拡大した約1万6000店の店舗網を維持できるかが喫緊の課題だ。
全体の約3分の1にあたる5千店超のフランチャイズチェーン(FC)加盟店で、21年以降の契約更新が迫る。店舗網を維持するためには、FC加盟店オーナーの離脱を防ぐことが重要となっている。
ユニーとの統合直後の16年に就任したファミマの澤田貴司社長は、大量の契約更新を「ファミマ固有の課題」ととらえ、これまでに加盟店オーナーのつなぎ留め策を打ち出してきた。
20年3月には加盟店オーナーが販売不振に陥って経営を断念した店舗などについて、本部が経営を引き継いで立て直しを図る「店舗再生本部」を新設した。
いったん直営店にするが、立て直しができれば再びFC加盟店化する。新規出店は抑制するが既存の店舗は存続させる。商圏を維持するための道筋をつけた。出典
2021/1/22 日経MJ 1ページ
オーナー離脱防げるか 加盟店の3分の1FC契約更新
コンビニの場合、フランチャイズ契約は10年〜15年で満了を迎えます。満了を迎えるということは、既存の加盟者が継続して運営する場合、「再契約」の形をとります。様々な記事には、フランチャイズ契約の「更新」と表現されますが、本来の意味としては、正確には「再契約」が正しい表現と言えます。しかし一般的には、既存加盟者の継続という意味を含めて、便宜上「更新」と表現されているようです。
「更新」とは前契約を引き継ぎますが、「再契約」は引き継ぎを前提としていません。10年前に締結した契約内容から時代も大きく変わり、提供するビジネスノウハウも変化していきます。そのためフランチャイズ契約を満了させて、全てリセットするといった運用がなされるのです。一旦立ち止まって、互いに考える機会をもうけるのは大事なことです。10年も経てば考え方も変わります。良きビジネスパートナーであり続けられるとは限らないのです。
ファミリーマートの今回の課題は加盟者の大量離脱です。2021年から一定数の加盟者が纏っている理由は、旧サークルKサンクスとの経営都合により、加盟者とも一斉に契約を結び直したことに起因します。加盟者の判断で契約を継続するか否かの判断ができます。本部にとってある程度の引き留め策は必要となるでしょう。
(加盟者の契約継続の主な判断要素)
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初めの段階では経済的な理由が主な判断材料となるでしょう。しかし経済的な側面がクリアできたとしても、最終的に長期の契約締結に至るには、本部との関係性が最も大きな要素となっています。
世間にはフランチャイズのビジネスモデルは数多あります。昔と違って離脱のハードルは大きく下がっていることは間違いなく、加盟者の年齢も高齢化傾向も相まって、一定数の加盟者の離脱は避けられないでしょう。
プロ野球選手のFA宣言や契約更改では、選手と球団の関係が大きな話題となります。
「数字に表れない貢献に報いたい」「君は球団にとって絶対に必要な選手だ」「頑張りを高く評価している」といった球団からのコメントは、選手にとっては大きな判断材料にもなっているようです。
フランチャイズ契約における加盟者と本部の関係も同様ではないでしょうか。日頃のコミュニケーション、加盟店への本部の態度や関係性構築は、契約の「更新」「再契約」時に如実に現れてくると言えます。
加盟店もフランチャイズ契約を継続しなければ、次の生活の糧を探さなければならず、大変大きなリスクです。現在の生活基盤を捨てでも離脱の判断をするとうことは、フィジカルや物理的な理由を除けば余程のことです。
大手にとっても加盟者の離脱は大きな問題ですが、他の多くの加盟者へ店舗を譲ったり、一定数を直営店運営に切り替えたりと経営体力も手段もあります。しかし中小のフランチャイズ本部にとっては加盟店の一斉離脱は本部の破綻を招きます。フランチャイズビジネスは、日頃からの加盟店との関係構築がビジネス継続の鍵であることを改めて感じさせられます。
なお、フランチャイズ契約締結や更新時に加盟店の離脱を防止するためのフランチャイズ本部の加盟店との向き合い方について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。