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コンビニ24時間営業問題をめぐる裁判がはじまる。本事例からFC本部が学ぶべき教訓とは

昨年、世間を騒がせた“コンビニ24時間営業問題”の当事者であるフランチャイズ本部と加盟店の裁判がはじまりました。

時短営業を続けたセブン―イレブン東大阪南上小阪店(大阪府東大阪市)のフランチャイズ契約解除は無効として、元オーナー、松本実敏さん(58)がセブン―イレブン・ジャパンを相手取り、オーナーとしての地位確認などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、大阪地裁で開かれた。セブン本部側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
松本さんは意見陳述で「過労死すると思い、時短営業に踏み切った。妻と苦労して築いた店を取り戻し、全国のオーナーの声なき声を代弁して本部と対等に交渉することを目指す」と話した。
セブン側の代理人弁護士は「(松本さんの)暴言や暴力などの異常な顧客対応がやまず、契約を解除した」と陳述した。

出典:セブン契約解除、初弁論、本部側は争う姿勢、大阪地裁。
2020/08/14 日本経済新聞 夕刊 9ページ

この騒動をきっかけに、コンビニフランチャイズ本部は、「全店24時間営業」というコンビニの核ともいえる方針を見直さざるを得ない状況に追い込まれました。

また、この騒動をきっかけに「コンビニフランチャイズ」の印象も悪化することとなりました。
実際、コンビニフランチャイズに新規で加盟する人は急減してしまったようです。
結果、コンビニ大手チェーンの拡大路線も岐路を迎える結果となりました。

このように、コンビニ業界、フランチャイズ業界に大きな影響を及ぼした本事案がどのように着地するのか、今後の動向が注目されます。

また、フランチャイズ本部としては、この騒動から教訓を学び、今後の事業運営に生かしていく必要があるでしょう。
具体的な内容は以下のとおりです。

①理念やビジョン、方針を共有できる加盟者だけを加盟させる

今回の騒動のきっかけは「本部が加盟店に24時間営業を厳守するよう求めたこと」ですが、そもそも、コンビニとは24時間営業をビジネスモデルの核に発展してきた歴史があります。
実際、コンビニが24時間営業をすることは周知の事実といえるでしょう。

ところが、今回はそのビジネスモデルの核ともいえる内容のことでトラブルが生じているのです。

人材不測の問題など、加盟時とは前提条件が変わったこともあるでしょう。
しかし、コンビニが24時間営業をビジネスモデルの核としている以上、コンビニフランチャイズに加盟するのであれば、そのリスクは覚悟しておくべきともいえます。
実際、このリスクを嫌ってコンビニフランチャイズに加盟しない人も多くいるのです。

問題は、フランチャイズ本部が、このことを加盟者に十分に伝え、かつ、その理念や方針を共有できる人だけを加盟させていたのか、という点です。

もちろん、人の見極めにも限界があることも事実ですが、そもそも見極めようとしていたのか、その点は振り返る必要があるでしょう。
コンビニの店舗拡大のペースを考えると、反省の余地は十分にあるように感じます。

②契約書は絶対的なものではないことを心得る

コンビニ本部は、24時間営業をすることが契約書に明記されていることを根拠に、加盟店に24時間営業を継続するよう求めていたようです。

今回のケースについて個別の事情は分かりませんが、少なくとも、契約書に記載されている事項を遵守するよう加盟店に求めるフランチャイズ本部の姿勢は、筋は通っています。
というのも、契約書に記載のある事項を遵守するよう契約相手に求められないのであれば、何のための契約書なのか、ということになるからです。

ところが、当時のメディアの報道では、「加盟店は被害者」で「フランチャイズ本部は悪」という扱いが多く、結果的に、コンビニ本部は方針の転換を余儀なくされたわけです。

ここに、フランチャイズ契約書の限界がみて取れます。

いかに厳格な契約書を用意しようとも、加盟店がその契約書に従うとは限りませんし、情報化が進んだ現代では、契約書を盾に加盟者を厳しく制約する本部の姿勢は、世間から批判を受ける可能性があるのです。

フランチャイズ本部は、“フランチャイズ契約書の限界”を十分に認識し、「契約による統制」ではなく「本部と加盟者間の信頼関係に基づく統制」を目指す必要があるでしょう