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中小FC本部がFCビジネスにおける物流機能を考える上で持つべき視点とは

コロナ禍において、私たちが日々の生活を送るためには「物流機能」は止めることのできない重要な機能であることが、クローズアップされました。
宅配、デリバリー、郵便、店舗や倉庫への納品、全てが物流です。

一般消費者が目にする物流は、ラストワンマイルと言われる店舗や自宅への納品部分であり、物流機能全般で見れば、ほんの一部分に過ぎません。
企業の強さは物流機能の強さとも比例します。

今回は、大手CVS本部の物流事例を見ながら、中小FC本部においても、今後の自社の物流機能を考える上で必要な視点にふれていきます。

物流は出店戦略の屋台骨を支える機能

コンビニエンスストア店舗は、国内だけでも既に約55,000店ありますが、それでも新規出店に際しては、まず物流機能の整備が前提となります。
新規出店候補エリアのマーケットを把握して、出店可能店舗数を導き、実際の出店エリアへと絞っていきます。

そして新規店舗には、どこの物流センターから納品するのか、お弁当はどこの工場で製造するのか、物流センターやお弁当の製造工場をどこに新設するのかを先に考えます。
店舗が必要とする商品を、必要なタイミングで必要とする量を届けることを、常に意識しています。

いわば、お客様視点に立ち品揃えを考える、店舗オペレーションと同じ思考なのです。
「どの店舗に何時にどの商品を届けるか」ありきで考え、「物流」をマーケティング機能の一部と捉えています。
「物流」はFC本部の出店戦略の屋台骨を支える機能なのです。

これまではお客様に来店いただくことを前提として、店舗までの物流を意識していればよかったのですが、最近では御用聞きやネット予約による宅配機能も加わりました。
店舗ビジネスにおける物流機能は、さらに重要性が増しています。

今後の「物流機能」は、今まで以上にコストが掛かることを前提にビジネスモデルを考える必要があります。
そしてそれは、必然的に店舗オペレーションの生産性向上が急がれるということにもつながっています。

このように大手CVS本部は、物流と店舗オペレーション、更にその先のお客様の手に商品が届くまでを、全て繋げてビジネスモデルを成立させることを考え始めています。
「物流」に注力してきたコンビニ業界ですら、常に新たな物流のあり方を模索しているのです。

物流システムに潜む企業リスク

大手FC本部が構築している一連の「物流システム」は、その本部の商流、店舗オペレーション、事業の生産性向上、人員配置、出店計画など、全てに繋がっている影の立役者です。
逆に考えると、事業活動の中で最もリスクが隠れている要素であるとも言えます。

最も顕著な課題が「ドライバー不足」と「大規模災害」です。
これからの時代、物流コストが確実に上昇することを前提に、ビジネスモデルを構築したり、変更したりする必要があります。

「ドライバー不足」の解消は、国内のどの業種・業態にも言えることです。
逆にタクシードライバーは溢れているなど、労働力のミスマッチが市場を歪めているのも事実ですが、解決には時間がかかりそうです。
CVS各社は企業間の共同配送等、対策に乗り出していますが、解決策は見出せていません。

一方の「大規模災害対策」の想定はすぐに取り組めるでしょう。
大規模災害発生時に、必要な物資が被災地域の住民に届かない根本原因は、物流機能の遮断です。
そして営業再開のスピードを決めるのも、物流機能の再開です。
企業としてBCP(事業継続計画)を策定し、その中で物流機能の安定と早期再開を常に考えておくことでしょう。

また大規模震災発生時のS Vの動きも、あらかじめ想定しておくことが必要です。
阪神淡路大震災、東日本大震災、西日本豪雨災害等、CVS各社ではS Vが大活躍しました。
必要物資の配送に臨機応変に対応することで、物流が正常に機能するまでのつなぎ役を担うとともに、被災現場のリアルな情報を集めることができたからです。

SV業務の災害時モードへの瞬時の切り替えが、災害からの復旧を早め、収益回復を早めるのです。
これらのSVの行動は、加盟店からの支持にもつながります。
どのS Vがどういった機能を果たす必要があるのか、安否確認後の次に起こすべき行動は何なのかを、平時にこそ想定しておくべきでしょう。

店舗人件費削減のためにFC本部ができること

店舗運営を担う加盟者の立場から物流を見ると、納品時間によって店舗オペレーションに大きな影響を与えます。
ピーク時間や仕込み時間とのバッティング、シフト入れ換え時間での納品など、人件費の増加にも影響するのが物流の納品時間です。

大手CVS本部において、「納品時間の変更」は、加盟店からの要望で最も多い部類の一つです。
同一地域に新規出店や閉店が発生する度に、納品ルートを組み直すため、各店の納品時間は微妙に変化していきます。
最短ルートの全体最適を考えると、どうしても遠方の店舗が影響を受けたりします。

しかし、全ての要望に答えることが物理的に難しいのが物流です。
「納品時間の短縮」や「配車数の削減」、「積載効率の向上」は、会社の経費に直接的に大きく影響しますので、全体最適での納品ルート設定は欠かせません。

そこで大手FC本部とって、残された店舗人件費削減のための手段は、納品時の検品オペレーションの削減です。
テクノロジーを活用した「ノー検品体制」は欠かせない仕組みとなっており、店舗の負担を下げる工夫なのです。

まとめ

コロナ禍で物流機能の重要性が浮き彫りになりました。
セブンイレブンもAmazonも事業拡大時に、先ずは物流機能の構築から着手しています。

ネットビジネスにとってもリアル店舗ビジネスにとっても重要性は同じです。
もはや「物流機能」は、影の立役者ではなく、ビジネスモデルの主流として表舞台に出る時代になったと言えるのです。

環境面、収益面、人材確保面のどの角度から見ても、物流機能の改善はこれからも急加速します。
これから事業の拡大展開を進める上では、「物流機能」を疎かにできないのです。

「消費者ニーズから考えられる物流機能に、自社のビジネスモデルを近づけていく作業」は、事業の存続を大きく左右する非常に重要な要素であり、中小FC本部としても、今後はそういった視点で自社の物流を構築、見直していくことが必要と言えるでしょう。