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小規模FC加盟者と長期的なパートナーであり続けるために、FC本部が取るべき施策

比較的企業規模の小さいFC加盟者の中には、オペレーションレベルで見ると非常に優れている事業者であっても、「経営」といった視点で見ると、不安のある経営者も多いようです。

今回のコロナ禍は、企業の資金繰りに大きな影響を与えました。
突然、事業活動停止を余儀なくされ、資金繰りがひっ迫し、事業継続の資金確保のために、国や自治体の助成や融資制度といったセーフティネットを、多くの企業が利用しました。

しかしそういった企業の中には、コロナ禍はきっかけに過ぎず、それ以前から経営が厳しかった企業もあったようです。
今回の事業活動停止でクローズアップされたのは、経営者が持つべき「経営視点」の重要さです。

例えば経営の中で最も重要といえる「資金繰り」で言えば、金融機関や税理士、経理担当者に任せきるのではなく経営者自身も点検できるといった、一定のスキルやリテラシーが必要だということです。

今回は、このような経営視点に不安のある加盟者と長期的なパートナーであり続けるために、FC本部として必要な取り組みを考えていきたいと思います。

中小企業事業者・小規模事業者の悩みの大半は「経営」についての課題

国内企業の9割以上が、中小企業と言われる規模です。
さらに従業員5人以下の小規模企業が、全体の約8割を占めます。
国内の中小企業・小規模企業には、非常に高度な技術を持った企業や、地域で高いブランド力を持った飲食店等、個性的で収益力のある企業も多数存在します。
その中には、高いオペレーション力を誇るFC加盟者もいることでしょう。

しかし、事業そのもののレベルは高いけれど、いざ「経営」と言う視点に立つと、非常に脆弱・人任せの経営者が多いのも事実です。
各自治体には、中小事業者・小規模事業者向けの相談窓口がありますが、相談内容は「資金繰りのための融資相談」「売上向上のための販路開拓」が大半です。
また開業資金や運転資金の調達方法、国・自治体の融資制度や保証制度を知らないために、金融機関で担保や個人保証を求められ、借入れに苦労している経営者が多いのも実情です。

大手の弁護士事務所が倒産するといったニュースも流れました。
法律に詳しいはずの経営者が倒産するとは、素人目からすると摩訶不思議な現象ですが、それだけ「経営」と言うのは、事業とは異なるセンスが必要なのだと、改めて考えさせられます。

「経営」が重要なことは、FC加盟者にとっても同じです。
事業そのものはFC本部のパッケージを活用するため、事業戦略の具体的な展開方法を考える必要はなく、本来は自社の資金繰りや人の雇用等「経営」を盤石にしておけばいいはずです。
しかしそれでも毎年、資金繰りに窮する加盟者が発生するのです。

FC本部としては、商品やサービスといったFCパッケージ以外の「経営」部分も、しっかりとアドバイス・指導しながら、加盟者を正しい方向へ導くことが、長期的にFC本部と加盟者が良好な関係を継続する上で重要となります。
経営に直結する比較的高度な経営指導ができるFC本部とSVは、加盟者から信頼され、加盟店の業績アップやFC契約の継続につながり、結果的に長期的な本部の収益性向上に繋がることでしょう。

加盟者の事業承継に備える

それ以外にも、長期的なパートナーであり続けるために、FC本部として必要な取り組みがあります。
それは加盟者の事業承継に備える、と言う点です。
FC加盟者も一定の年齢に達すれば引退を考えます。
長期的な関係構築という点において、「事業継続・承継のシナリオ」をFC本部は準備しておかなければならないでしょう。

ビジネスモデルが確立されているとしても、店舗経営を担う加盟者が存続しなければFCビジネスは成り立ちません。
FCビジネスは、長期に渡って加盟者に経営し続けて貰うことで、FC本部も存続できます。

FCビジネスにおいて先行している大手CVS本部では、加盟者の高齢化、特に小規模FC加盟者の高齢化が始まっており、「事業承継」は課題の一つになっているようです。
FC契約とは事業の「経営権」を与えることなので、この「経営権」をどう繋げていくのかが重要なのです。

一般的に「経営権」を獲得するには対価が必要です。
FCビジネスでは、加盟金により経営権を与えます。
経営権は、原則契約者本人または共同契約履行者(連帯保証人)だけに与えられます。
そして夫婦加盟の場合、契約者(夫)が亡くなったら、共同契約履行者(妻)が契約を引き継ぎます。

しかし、夫婦揃って高齢であると「事業承継」を考えなければなりません。
2親等・3親等内であれば無償で「事業承継」を認めるケースもあるようですが、必ずしも親族内で引き継ぐ方がいる訳でもありません。

大手CVS本部では、この親族内承継の規定を緩和しながら、加盟者の「事業承継」(経営権の引き継ぎ)について、制度改定に動いているようです。
「事業承継」の制度によっては、制度内で引き継げる場合は「加盟金」が不要となり、制度外となると後継者は新たに「加盟金」が必要となります。
加盟者の「事業承継」に有利・不利が発生しているのです。

加盟者の高齢化は今そこにある危機である一方、規制緩和をすることによって、いわゆる「無形資産」とも言える「経営権」を無償で簡単に引き継がせていいのか、大手CVS本部は難しい選択を迫られているようです。

このような大手CVS本部の先行事例を参考にしながら、中小FC本部もいつかはやってくる加盟者の高齢化に備え、自社の「事業継続・承継のシナリオ」はどうあるべきか、を考えておくとよいでしょう。

まとめ

事業規模や事業形態により経営手法に違いはありますが、特に小規模FC加盟者に対しては、経営視点での支援が必要となっていると言えます。
そのためには、FC本部はSVに「経営とは何か」を教育し、「経営的な視点で事業を見る」「経営面でのアドバイスを行う」といったサービスレベルの向上を図らなくてはならないでしょう。

同時に、長期に渡ってロイヤリティを確保し続けるために、加盟者側の「事業承継」がスムーズに行われる仕組みを準備しておくことが、今後の重要な本部施策であると言えます。

FCビジネスとは、サービスレベルをアップデートしながら加盟者の顧客満足を高めつつ、長期に渡りサービスの対価としてロイヤリティを獲得し続ける仕組みです。
FC本部にとって今後重要となるキーワードは、“長期間継続モデル”であり、そのために何ができるのかを考えていくとよいでしょう。