「英国風パブ HUB」をチェーン展開する株式会社ハブが、ITサービス大手のミクシィから約10億円の出資を受けることを発表しました。
英国風パブを運営するハブは22日、ミクシィが筆頭株主になると発表した。スポーツ関連のコンテンツ事業に強みがあるミクシィが約10億円の第三者割当増資を引き受け、集客でも連携する。新型コロナウイルスによる外出自粛で業績が悪化しており、支援を通じて財務基盤を固める。
ミクシィは自社のファンドを通じて約10億円を出資する。現在のハブの筆頭株主のロイヤルホールディングス(HD)から5億5000万円分の株式を譲り受ける。ミクシィの株式保有比率は約20%となり、ロイヤルHDを抜いて筆頭株主になる。
ハブはミクシィと業務提携も結んだ。ミクシィは2020年6月に競輪をアプリ上で楽しめる「TIPSTAR」を運営するなど、スポーツ関連のコンテンツを拡充している。店内でスポーツ番組を配信しているハブはミクシィの顧客基盤を生かし、集客力を高める。
出典
2021年3月23日 日本経済新聞 朝刊 17ページ
英国風パブ運営のハブ、ミクシィが筆頭株主に
英国風パブ HUBといえば、
- 通常の居酒屋がフードメニューを強化して客単価アップを狙うところ、フードメニューはあえて捨ててコストパフォーマンスの高いドリンクメニューで勝負
- 注文ごとに代金を支払うキャッシュオンデリバリーシステムの採用による「ちょい飲み需要」の獲得
など、一般の居酒屋チェーンとは一線を画した独自のビジネスモデルにより、若者のアルコール離れが進む中でも若い客層の獲得に成功し、コロナ禍の直前まで好調な業績を実現していました。
しかし、昨今の新型コロナの影響により店舗の多くが休業や時短営業を余儀なくされた結果、2021年2月期は約27億円の赤字に転落しています。
この例を見ても、昨今の環境変化速度の速さを改めて実感させられます。
新型コロナの影響をそれほど受けていないITサービス大手のミクシィから出資を受けることにより、財務基盤を強化して、長期化が予想される新型コロナ危機の克服を目指す考えのようです。
また、今回注目すべきはハブとミクシィとで業務提携もしていることでしょう。
英国風パブ HUBといえば、店頭にテレビモニターを設置し、常時スポーツ放映をしています。ミクシィは最近スポーツ関連のコンテンツを拡充しているようであり、一定量の顧客基盤を有しているようですので、ミクシィからHUBへの送客が期待できそうです。
今後の動向が注目されます。
新型コロナの影響により、外食事業を手掛ける企業は苦境にあえいでおり、今後も他業種企業と外食企業との資本提携は増加していくことが予想されます。これは、外食企業にとってみれば、財務基盤の強化だけではなく、異業種企業の経営資源活用によるビジネスモデル革新のチャンスになるものともいえます。
外食フランチャイズ本部としても、新型コロナ危機をきっかけに、他業種との連携を模索することも1つの手段といえるのではないでしょうか。
なお、ポストコロナ時代に選ばれる本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。