公正取引委員会が、コンビニフランチャイズ本部が加盟店に対して24時間営業などを強制する行為を、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとの見解を発表しました。
公正取引委員会は2日、コンビニエンスストア本部がフランチャイズチェーン(FC、3面きょうのことば)加盟店に24時間営業などを強制すれば独占禁止法違反になりうるとの見解を示した。FC店に対する本部の優越的地位の乱用をけん制する姿勢を明確に打ち出した。人手不足と人口減少に伴う市場縮小で、コンビニの成長を支えてきた日本のFC経営モデルが転換期を迎えている。(関連記事5面に)
出典: コンビニ営業、24時間強制「独禁法違反」、公取委が改善要請、本部主導FCモデル転機。
2020/09/03 日本経済新聞 朝刊 1ページ
2019年末にコンビニ最大手セブンイレブンで発生した24時間営業を巡るフランチャイズ本部と加盟店間の騒動に対して、ついに公正取引委員会が「本部の行為は違法の可能性がある」との正式な見解を発表したのです。
これは業界関係者にとって衝撃の事態といえるでしょう。
コンビニエンスストアといえば、24時間営業をビジネスモデルの軸として発展してきた歴史があります。
この24時間営業をやめたときに、今と同水準の業績を実現できるかどうか、それはやってみなければなりません。
そもそもフランチャイズシステムとは、本部が開発した成功するビジネスモデルを加盟店に横展開する仕組みです。
フランチャイズ本部としては、24時間営業無しで従来と同等の業績をあげられるかどうかわからないのですから、加盟店には24時間営業を求めるほかありません。
そして、そのことはフランチャイズ契約書に明記されており、加盟者は、24時間営業のリスクを把握したうえで、フランチャイズ加盟しているのです。
にもかかわらず、24時間営業を加盟店に求める行為が、独占禁止法違反の可能性があるというのです。
これは、フランチャイズシステムの根底を揺るがす事態といえるのではないかと感じます。
とはいえ、これが公正取引委員会の判断なわけですから、フランチャイズ本部としては、この事実を受け止め、これからのフランチャイズシステムのあり方を模索していかなければならないでしょう。
例えば、コンビニフランチャイズシステムは、契約期間が10年~15年など、一般的なフランチャイズ契約と比較して契約期間が長い特徴があり、それゆえに、環境変化への対応に限界があったことは事実でしょう。
従来型のフランチャイズのあり方は、危機に瀕しています。
時代の流れを踏まえ、新しいフランチャイズシステムのあり方を模索していかなければなりません。
なお。ポストコロナ時代に選ばれるフランチャイズ本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。