公正取引委員会が、コンビニフランチャイズ本部が加盟店に対して24時間営業などを強制する行為を、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとの見解を発表した問題について、同委員会の調査の結果、コンビニフランチャイズに加盟している個人オーナーの約2割が債務超過に陥っている事実が判明しました。
公正取引委員会がコンビニ業界の「パンドラの箱」を開けた。コンビニオーナーの実態を調べ上げ、24時間営業を強制すれば独占禁止法違反になりうるとの見解を示した。24時間営業、定価販売、ドミナント出店……。いずれも鉄壁の強さを誇ったコンビニビジネスの根幹なだけに、加盟店が本部に不満を言えない状況が長年続いていた。いまや社会インフラとなったコンビニ。自らの手でビジネスモデルを変革できるかが問われている。
※中略※
ATMや公共料金の支払い、宅配物の受け渡し……。コンビニの社会インフラ化は進む。一方で、公取委の調査では個人オーナーの約2割が債務超過に陥っていた。オーナーが疲弊したままでは、日本社会を支えるコンビニの存続も危うい。
出典: コンビニ疲弊、本部にクギ、公取委が「独禁法違反」、24時間営業の強制、個人オーナー、債務超過2割。
2020/09/07 日経MJ 1ページ
債務超過とは、事業者の負債の総額が資産の総額を超える状態を意味します。
すべての資産を売却したとしても、負債を返済しきれない状態で、事業継続に黄色信号がともっている状態ともいえます。
債務超過の状態に陥る理由は一つしかありません。
「資本金以上に赤字を出してしまった」ということです。
対象が個人加盟店に限定されているとはいえ、その2割が債務超過に陥っているという事実は、ここ数年、コンビニフランチャイズ加盟店の収益が厳しい状況に置かれていることを物語っているものといえます。
このような状況下でも、これまで出店を優先し続けてきたコンビニ本部の姿勢は、フランチャイズ本部としてあってはならない行為のように感じます。
24時間営業問題や値引き販売の禁止などがクローズアップされがちですが、本質的な問題は、フランチャイズ加盟店が儲からない状況の中でも出店を優先してきた経営姿勢にあるのではないでしょうか。
フランチャイズシステムで成功するためには、本部はもちろん、加盟店も十分な収益を確保できることが不可欠です。
加盟店が十分な収益をあげられていないのであれば、出店よりも加盟店の収益性を高めることを優先すべきであったのです。
コンビニ騒動により、フランチャイズシステムに対する世間の目は厳しさを増しています。
加盟店が十分な収益をあげられないフランチャイズシステムは、今後淘汰されていくことは間違いありません。
フランチャイズ展開を進める以上、本部は加盟店の収益性を最優先する姿勢を持ち、そのために必要な取り組み、具体的には、加盟店の収益状況の把握やスーパーバイジングシステムの整備などに注力していく必要があるでしょう。
なお、ポストコロナ時代に選ばれるフランチャイズ本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。