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ミニストップパートナーシップ契約始動。FCシステムに求められるフランチャイズ本部と加盟者間の対等な関係性

ミニストップの新フランチャイズ契約の運用が2021年9月1日よりスタートしました。
従来のフランチャイズ本部と加盟店と契約内容を抜本的に見直した「ミニストップパートナーシップ契約」は、今後のフランチャイズシステムのあり方に一石を投じそうです。

ミニストップは、これまでの加盟店と本部のフランチャイズ(FC)契約の内容を抜本的に見直した「ミニストップパートナーシップ契約」の運用を1日から開始した。19年4月に方針を明らかにしたもので、20年9月には新たな契約の枠組みを策定。この間に加盟店オーナーへの説明を重ね、新契約への移行準備を進めてきた。切り替えは各加盟店の契約更改年に合わせて行う。今年度中に全体の約7%に当たる140店舗を予定。今月は80店舗でスタートする。

現在のコンビニ業界で主流の契約方式であるロイヤリティモデルでは、加盟店の売上から実際に販売した商品原価を引いた金額を「収入」とみなし、そこから本部に支払うロイヤリティ、廃棄ロスや人件費などの店舗営業経費を差し引いた額が加盟店の最終利益となる。売れ残り廃棄した商品の仕入原価をはじめとした経費の大半を、オーナー側が一方的に負担する構図の「コンビニ会計」には批判が付きまとっていた。

新契約では経費負担構造・利益配分構造を変革し、現行のロイヤリティモデルから事業利益分配モデルに転換。店舗運営のために必要であると契約上定められた経費を「事業経費」として計上し、売上総利益高からそれを差し引いた「事業利益」を加盟店と本部で分け合う形とする。従業員が長く安心して働けるよう、法定福利費も事業経費化するという。

昨年9月の会見で「今回われわれが考えているのは、いわゆるコンビニ会計からの脱却だ」と明言した藤本明裕社長。「コンビニのFCシステムは優れた仕組みで、当社も業界も大いに発展してきた。しかし昨今の環境変化に適応できず、不都合が目立ってきた。その最たるものが人件費で、近年増加の一途だ。だが店舗経費の増加リスクを加盟店が一方的に負うのが今のシステム。経営者自らシフトに入るなど営業努力を続けてきたが、それも限界に至っている」との認識を示していた。

ただ新契約における成長モデルは、日販の向上が加盟店・本部にとって大前提。同社の試算によれば、日販40万円の場合には加盟店の純利益はこれまでと変わらないが、50万円の店では約15%アップ。さらに日販が増えるにしたがって、加盟店純利益は現行契約よりも増えるという。

逆に、日販を改善できない限り移行の意義も見いだせない。同社ではこれまで、おにぎり全品を100円にするなど躍起のテコ入れ策を実施。ローコストオペレーションを徹底するとともに、昨夏には大量閉店を行うなど、思い切ったリストラも進めた。

「残念ながら日販が他社よりも低いことは事実。加盟店の経費が増えたら本部の取り分が減る構造となり、一緒に投資していこうという形になるので、商品への投資を増やして日販を上げていきたい」と、1年前に藤本社長は語っていた。

ただ前期の既存店日販は5.2%減となり、全店売上高、営業総収入とも7%あまりの減少。利益も各段階で赤字に。感染症の影響が長期化し、客数低迷から脱却できなかった。客数回復を最重点に取り組む今期は昨年の反動でやや持ち直しているものの、コロナ前には届かない状況だ。

いまだコロナ禍の出口が見えず、業績立て直しも道半ばの状況で、予定通り新契約の導入に踏み切ったミニストップ。業界の在り方に投じられた一石が、いまだ静観を決め込む同業他社の間にも波紋を広げそうだ。

出典
2021年9月6日 食品新聞
ミニストップが新契約方式スタート 利益分配モデルに転換、コンビニ会計脱却へ

従来のコンビニフランチャイズシステムにおけるロイヤリティの考え方では、店舗で生じた廃棄ロス(期限切れどで販売できなくなった商品)や棚卸しロス(帳簿上の在庫と実際の在庫の差額)にもロイヤリティがかかることになっていました。

フランチャイズ本部は、店舗の売上アップのために、加盟店に対して在庫を多く持つことを求める一方、その結果生じる廃棄ロスなどの負担はすべて加盟店に求める仕組みは、批判の対象とされてきました。

フランチャイズ本部の主張としては、そうすることが「本部と加盟店双方にとっての利益最大化につながる」と考えてのことだったのでしょうが、本部ほど情報を持たない者の立場からすれば、疑問や不信感を感じることもやむを得ない仕組みであったといえます。

「ミニストップパートナーシップ契約」ではその点を改め、「フランチャイズ事業から生じた利益を加盟店と本部で分け合う形」を明確化しています。加盟店の利益増のためには、加盟店舗の売上が増加する必要性があり、「ミニストップパートナーシップ契約」の導入がただちに加盟店の利益増につながるものではありませんが、第三者から見て納得性のある仕組みを採用した点は評価されるべきものなのではないかと感じます。

フランチャイズ本部に対する世間の見方が厳しくなる中、フランチャイズ本部と加盟者間の対等な関係性、Win-Winの関係性を実現することが求められています。
フランチャイズ本部としては、今後、この点を真剣に考え、自社のフランチャイズシステムをブラッシュアップしていかなければならないでしょう。

なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント

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