新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、その影響を強く受けた企業の「ビジネスモデル変革」が進んでいます。
コロナ禍で大きく業績を落としたホテル業界では、経営を軽くするため、所有していた土地や建物を売却し、運営に特化する動きが加速しているようです。
大手ホテルがビジネスモデルの変革を迫られている。コロナ禍で観光やビジネス需要が細り、経営悪化から閉鎖や資産の売却に追い込まれた。土地や建物を所有する「日本式」モデルから転換し、運営に特化する動きが広がる。老舗ホテルも異色の長期滞在プランを打ち出す。ブランド力の高い外資系ホテルが参入するなか、コロナ後を見据えた競争は始まっている。
中略
ホテル各社は新型コロナで客室稼働率が落ち込み、収益が悪化。所有する土地や建物といった資産を外部などに移管することで資産を圧縮し、経営効率の改善につなげる動きが出ている。
資産売却の背景には、金融機関の意向が働いているケースもあるようだ。「業績悪化で財務面が傷み事業の不透明感が続く企業を中心に、資金になりそうな資産売却の圧力が金融機関からきている」(ファンド関係者)。新型コロナの感染拡大で追い込まれたホテルでは「日本式」経営の弱点があぶり出された。
運営に特化する外資系ホテルのビジネスモデルと異なり、日本の有力ホテルの多くは土地と建物を所有して運営する。自社で土地を所有していれば改築などの経営判断がしやすいといった利点もあるが、不動産サービス大手CBREの土屋潔ディレクターは「所有型で固定費が発生し続ける経営はリスクが高いことがコロナ下で浮き彫りになった」と指摘する。
一方、運営特化の場合は仮に稼働率が落ちても所有型に比べてコスト負担が限られるとされる。そのため、所有から運営にビジネスモデルを転換するホテルが相次ぐ。
出典
2021年9月22日 日本経済新聞
ホテル 稼ぎ方大改装 運営特化や滞在型シフト
従来の日本のホテルは、豊富な需要を背景に、土地や建物を自ら所有する経営のあり方が主流でした。しかし、新型コロナの感染拡大が進み、ホテルに対する需要が喪失する中、土地や建物を自ら所有するスタイルは、経営の重荷となっています。
そこで、経営を身軽にして新型コロナ危機を乗り越えるべく、土地や建物を売却し、ホテル運営に特化する動きが加速しているのです。
新型コロナの影響はやがて沈静化していくことでしょう。しかし、不確実性が高まっている現代では、今後も経営環境を一変させる出来事が生じると考えていた方が自然です。
ホテルに限らず、今後の中長期的な経営の持続・発展のためには、経営を身軽にしていくことが不可欠でしょう。
そのため、土地や建物を売却し、ホテル運営に特化する動きは、今後も進んでいくことが予想されます。
この観点で考えると、店舗ビジネスが身軽経営を実現する上で有効な選択肢となるフランチャイズシステムも、今後導入する企業が増えていくことは間違いありません。
例えば、現在経営している直営店舗を資金的な余力のある加盟希望者に売却し、その後はフランチャイズ加盟店として経営してもらうことができれば、本部は売却資金を手にすることができる上、売却後もロイヤリティ等の対価を継続的に得ることが可能です。
直営店と比べれば利益額は減るでしょうが、資産を持たなくなることで経営が身軽になる分、環境変化への対応力は向上することになります。
これまでのフランチャイズシステムは、主に「スピーディーに店舗を増やし、事業拡大するため」に用いられてきました。
しかし、これからは「経営を身軽にし、環境への適応力を高めるため」にフランチャイズシステムが用いられる時代になるのではないでしょうか。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。