コンビニエンスストア大手のファミリーマートが、一部のフランチャイズ加盟店において時短営業を正式に開始することを発表しました。
ファミリーマートは25日、フランチャイズチェーン(FC)加盟店の787店舗が6月1日から営業時間を短縮すると発表した。24時間営業している約1万5000のFC加盟店のうち約5%が正式に時短営業に切り替える。ファミマは今後も時短営業の希望を募る。
出典: ファミマ787店で時短、来月から、人手不足が影響。 2020/05/27 日経MJ(流通新聞) 9ページ
「24時間営業」は、まさにコンビニのビジネスモデルの核の1つともいえるでしょう。
だからこそ、これまで加盟店が深夜の客数が少ないことや働き手が不足していることなどを理由に時短営業を求めてきたにもかかわらず、本部は認めてこなかった経緯があります。
フランチャイズシステムとは、本部が開発した成功するビジネスモデルを加盟者に提供し、その対価として加盟金やロイヤリティを得るモデルです。
24時間営業をしないコンビニで直営店と同様の成果を出せるかどうかがわからない以上、本部が24時間営業にこだわることは、ある種当然のことともいえます。
潮目が変わったのは、関西のあるフランチャイズオーナーが人手不足を理由に時短営業を強行したタイミングです。
当初、本部は契約を盾に24時間営業を行うよう圧力をかけたのですが、その対応に世間からの批判が集まったことは記憶に新しいことでしょう。
この騒動の結果、「コンビニをやりたい」と考える人が激減し、コンビニフランチャイズ業界は深刻な新規加盟者不足に陥っているようです。
今回の時短営業の正式導入は、これら環境変化を踏まえての判断でしょう。
従来のフランチャイズシステムは、本部が加盟者の行動を厳しく制約するものが多く、その代表例がコンビニのフランチャイズシステムでした。
しかしながら、経済の成熟化、情報化といった環境変化が進む中で、従来のフランチャイズシステムは大きくイメージを悪化させています。
多様化が進む現代では、この流れは今後ますます加速していくことでしょう。
これまでのフランチャイズシステムでは、加盟店に裁量を与えることは避けられてきましたが、今後は加盟店に一定の裁量を与える、すなわち加盟店の個性を尊重するフランチャイズシステムが発展していくのではないでしょうか。
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