全国でビジネスホテルをチェーン展開する「スーパーホテル」の元支配人が、未払いの残業代などの支払いを求めて本部を提訴する事案が発生しました。
個人向けのフランチャイズやのれん分け、業務委託などを実施しているフランチャイズ本部にとって注意すべき内容です。
全国で130店舗以上を展開するビジネスホテルチェーン「スーパーホテル」(本社:大阪府大阪市)の支配人だった男女が、未払いの残業代など計約6200万円を求め、5月28日、東京地裁に提訴した。
同ホテルの「支配人」「副支配人」の多くが業務委託契約で働いているが、その実態は「裁量の全くない24時間365日働かせ放題の奴隷労働」だと主張する。
出典:「24H労働、手取り月10万円」住み込みの“名ばかり支配人”、スーパーホテルを提訴 5/28(木) 18:04配信 弁護士ドットコム
月の手取りが10万円というのが本当だとすると、なかなか厳しい条件です。
この事案、「実態は労働契約だ」という主張がポイントでしょう。
仮に、契約名がフランチャイズ契約や業務委託契約であったとしても、働き方などの実態として加盟者に労働者性が認められる場合、本部は残業代支払い等を求められるリスクがあります。
これは、以前から指摘されていることですが、フランチャイズやのれん分け、委託契約を導入している企業でもこの点に無頓着な例が散見されます。
この点は十分に注意する必要があるでしょう。
労働者性が認められやすくなる要件としては
- 勤務時間に応じて報酬が決まる
- 自ら現場で働くことが必須となる
- 勤務時間や仕事の仕方に裁量がない
などが考えられます。
逆に、労働者性を弱める=経営者性を強める要件としては
- 事業に必要な初期投資を負担させる
- 人を雇用させる
- 勤務時間や仕事の仕方に一定の裁量を与える
等が考えられます。
フランチャイズやのれん分け、委託契約を導入する際には、働き手が経営者として認められるよう十分な配慮をして制度設計を行うべきでしょう。
なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。