2019年末に24時間営業を巡りフランチャイズ本部と加盟店間で騒動が起きた東大阪市のセブン-イレブン店舗について、セブン-イレブン本部が、同店舗駐車場の敷地に仮設店舗を設置し、5月4日から営業を開始しました。
東大阪市のセブン-イレブンの店舗のフランチャイズ契約をめぐり、元オーナーとセブン-イレブンの本部が裁判で争っていますが、閉鎖されている「東大阪南上小阪店」の駐車場だった場所に本部側が5月4日、仮設店舗を開業しました。
前にあった店舗のオーナーは、人手不足を理由に、本部の了承なく時短営業を行っていました。一方で、本部は“客からのクレームが多いこと”を理由に2019年に元オーナーとのフランチャイズ契約を解除しましたが、元オーナーは店舗の明け渡しに応じていません。
本部側は「近隣住民から営業再開の要望が多い」として、5月4日に仮設店舗を開業しました。仮設店舗は24時間営業だということです。
(元オーナー 松本実敏さん)
「ここまで本部はやるんですよ。一人のオーナーをつぶすために、もの言うオーナーをつぶすために」出典
2021/05/04 Mainichi Broadcasting System
セブン係争中 店舗の駐車場だった場所に本部側が「仮設店舗」開業 近隣からの要望
同店舗は、セブン-イレブン本部からの契約解除に対して、加盟店は解除の無効を主張して店舗の引き渡しを拒否しており、現在も裁判での争いが続いている状況です。
仮設店舗による営業再開の理由は「土地自体はフランチャイズ本部が地主から借りているものであること」に加え、「周辺の住民から営業再開を希望する声が多く上がっていること」ということです。
フランチャイズ本部として、消費者の声を最優先して行動するのはある種当然のことかもしれません。
しかし、加盟店はセブン-イレブン本部の対応を「違法」と主張しており、両者の争いがより深刻化していくことは間違いありません。
フランチャイズに係る立場として心配なのは、フランチャイズ本部と加盟店の争いが深刻化することにより、フランチャイズ全体のイメージが悪化することです。
セブン-イレブン店舗が同敷地内に2店舗を並んでいる姿は、異常というほかありません。仮にセブン-イレブン本部の対応が違法ではなかったとしても、フランチャイズに対するイメージの悪化は避けられないのではないかと感じます。
この例からも、フランチャイズシステムにおいて、フランチャイズ本部と加盟者の信頼関係がいかに重要なものであるかを再認識させられます。
フランチャイズ本部と加盟者の信頼関係が崩れ、争いが生じれば、契約書で問題を解決することはできません。
何か問題が起きた際にも、フランチャイズ本部と加盟者の信頼関係をベースに話し合いで問題解決ができるよう、フランチャイズ本部と加盟者の信頼関係を維持・深化させていくための仕組みを整備していくことが、フランチャイズ本部に求められているといえるでしょう。
なお、フランチャイズ本部と加盟者の信頼関係構築という観点では、「加盟店審査」と「スーパーバイザー制度」の2点がより重要と考えます。
こちらについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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