fbpx

fc newsFCニュース

佰食屋の取り組みから読み解く、加盟希望者が集まるフランチャイズ展開のあり方

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、懸命に生き残り策を模索している外食産業の記事です。
それぞれの取り組みの中から、独自性を守りつつも環境の変化に対応していくアイデアは、フランチャイズシステムそのものを進化させていく可能性を秘めています。

不況に耐性、地方も視野 佰食屋 中村朱美氏

この1年は会社をどう守るのか必死だった。京都ではインバウンド(訪日外国人)など観光客が減り、店の売上高が急減した。2020年春以降、繁華街の河原町と錦小路にある店の売上高は5分の1になり、家賃の高さもあって4月には閉店の決断をした。事業規模で言えば、コロナ前の3割になってしまった。従業員を解雇することになったが、半年後には周辺の店も相次ぎ消えた。

だが5月には黒字に転じた。味もさることながら、3分に1度は空気がすべて入れ替わるなど衛生面の良さをSNS(交流サイト)で発信すると、客足は安定してきた。

起業したのは12年で、当時の外食企業は拡大志向が強く、ブラック職場のイメージが強かった。「忙しいのに給料が上がらないのはなんで?」って感じで。

そこでステーキ丼など1日100食だけの売り切りモデルにして、従業員のモチベーションが上がる店を目指した。創業時、売り切れはNGという風潮だったけど「終わり」が決まっている店を世の中に問いたかった。結果的にランチタイムに需要が集中し、時短営業も関係なかった。自治体から時短協力の支援金がもらえないのは残念だが。

こうした働き方のスタイルは増えていくと思う。日本は成長の転換期にある。年収も右肩上がりではないけど、生活が潤うぐらいの水準があればいい。イノベーションを起こすことより、豊かに、穏やかに幸福を追求するのが新しいあり方ではないか。売り上げアップを目指すより、生産性を高め、もっと休みを増やす働き方を進めたい。

一方で、お金を稼がないと困るという人もいる。みんなが同じ考えである必要はない。若い世代でコミュニケーションが苦手な人もいる。そういう人を評価する会社があっていい。決められた仕事を丁寧に、毎日継続する姿勢を評価している。それがダイバーシティ(多様性)だし、そういう会社が増えれば、国力にもつながるのではないか。

今の規模を守ることはできるが、葛藤もある。実は佰食屋を地方でやりたいという要望が多い。メニュー力はあるし、フードロスも少ない。少ない経費で集客でき、不況に強い飲食店の事業モデルで完璧だと自負している。

例えば50食限定なら夫婦2人、1日6時間で年収500万~600万円は見込める。フランチャイズを始めることがあるかもしれない。今は厳しくても25年の大阪・関西万博を控え、再び飲食バブルが起きると肌感覚では思っている。コロナ後のライフスタイルにも合っているし。

地域との連携も大事だ。インバウンド需要は減ったが、地域のお客様が支えてくれた。例えば防災訓練は大事だが、あまり行きたがらない。そこで人気メニューを生かした握り飯を無料提供するなど、わくわくするような訓練を当社で主催し、地域に貢献しながら佰食屋をアピールすることを検討している。明日100食が売り切れるかどうかも分からない。好調なときこそ、次の一手を打っていく。

出典:
2021/04/22 日本経済新聞 電子版
外食企業、危機しのげるか 渡辺美樹氏/倉橋節也氏/中村朱美氏

よくメディアに取り上げられる、佰食屋 中村朱美氏の取り組み記事です。
こちらは外食産業における課題解決を図る試みですが、佰食屋のコンセプトはフランチャイズシステムを構築する経営者にも必要な考え方が詰まった取り組みではないでしょうか。

店主・従業員の無理のない働き方と収入の両立を、バランスを取りながら実現していく仕組みです。
佰食屋はフランチャイズ展開も視野に入れ始めたようです。佰食屋のコンセプトや取り組み、商品自体の魅力に共感するファンが増えているからです。京都以外の地方でも営業したいという声が上がっているようです。

佰食屋のビジネスモデルとフランチャイズビジネスとの親和性としては、次の5つのポイントがあげられます。

ポイント1:加盟者1世帯あたりの収入が明確である

コンビニを代表する個人を対象としたフランチャイズシステムの課題は、労働時間と収入のアンバランスからくる加盟者の疲弊です。コンビニの場合、終わりのない24時間営業でありながら、それに見合った収入も見込めないことも少なくありません。
これが、個人加盟者が契約を更新(再契約)せず、新規加盟者も増えない原因です。一方で佰食屋はゴールも大方の収入も明確です。

ポイント2:売上は追わずに利益を追う

1日100食限定の商売とは、通常の感覚ではイメージし難いかもしれません。
しかし、売上高を追ったところで利益が出なければ意味がありません。大事なのは最終的に店主や従業員が実際に手にする収入であり、佰食屋はその点に重点を置いているのです。

ポイント3:徹底して生産性を追及する

生産性の向上は日本の飲食業界全体の課題です。製造・提供方法・販促活動などから無駄を排除していくことが求められています。この点についても、佰食屋は生産性・効率性から外れるオペレーションを徹底的に排除することに尽力しています。

ポイント4:事業コンセプトに「社会の課題解決」が含まれている

働き方改革進めつつ安定した世帯収入を実現することは、社会的な課題であり、企業としてここにメスを入れる取り組みは多くの共感を生みます。佰食屋はこの点にこだわったビジネスモデルを築き上げており、加盟希望者からみても「加盟したい!」と感じられる構造になっています。

ポイント5:提供する商品・サービスの質が高い

ビジネスモデルやコンセプトが全面に紹介された記事ですが、佰食屋は提供する商品が「美味しい」からこそお客様が後を経たないのです。美味しくなければ逆に100人のお客様も確保できないため商売が成り立ちません。商品の日々の改良は欠かせないのです。


製造業には生産性を向上させるための原則として、ECRSという考え方があります。

  • E:(エリミネート) 無くせないか
  • C:(コンバイン)   一緒にできないか
  • R:(リアレンジ)  順序の変更はできないか
  • S:(シンプリファイ)簡素化できないか

フランチャイズビジネスは定型化、マニュアル化できるからこそ多店舗展開できる方法です。
まさに製造業のECRSの取り組みが求められるビジネスでしょう。
佰食屋の試みも通ずるところがあり、こういった点を徹底的に取り組んでいるのでしょう。
フランチャイズの仕組みで、佰食屋に共感できる加盟者が増えていくことに大いに期待したいと思います。

フランチャイズ展開する上での最大の課題は加盟者を募ることです。本部のビジネスモデルや理念・コンセプトに共感できなければ加盟候補者は集まりません。逆に提供する商品も含めて共感できることが多ければ、加盟者募集活動に労力と時間、莫大な投資をかけなくても、加盟候補者は勝手に寄ってくるということです。

これらのような企業が地方で生まれ、加盟して幸せになれる加盟者が増えていくことが、当社の目指すスマートフランチャイズです。
佰食屋には、フランチャイズでもぜひ成功してもらいたいものです。

なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント

無料資料ダウンロード

FC本部立ち上げを進めていく際の手順やポイントをまとめた資料を無料進呈しています。宜しければ、下記よりダウンロードください。

最新書籍のご案内

21世紀型「のれん分け」ビジネスの教科書

セミナーのご案内

店舗ビジネスの多店舗展開やのれん分け・FCシステム構築を進めていくため、具体的にどう取り組んでいけばいいのか、どのような点に留意すべきか等を分かりやすく解説する実務セミナーを開催しています。

セミナー一覧ページへ

無料個別相談のご案内

FC展開に関するお悩みやご相談について、無料でご相談をお受けしています。

個別相談に申し込む