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判例から読み解く、フランチャイズ・システムにおける競業避止義務の考え方とは

フランチャイズ契約には契約期間が定められており、必ずフランチャイズ契約満了の時期が訪れます。

その際に、契約終了後の加盟者の営業活動に一定の制限を設けることがあります。
これが契約終了後の「競業避止条項」です。

これは本部のノウハウが契約終了後に流出することを防ぐとともに、一定の商圏でフランチャイズ本部のブランドを守り、競合を安易に作らないフランチャイズ本部の防衛策です。

しかしこの規定の解釈をめぐって、裁判で争われることもしばしば発生します。
今回はこの競業避止条項の判例をもとに、競業避止義務の考え方について解説していきます。

なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント

競業避止条項とは

そもそも競業避止義務とは、主に以下の4つの目的をもって定められます。
・フランチャイズ本部の持つブランドの保護
・自社のフランチャイズ・システムのノウハウや秘匿情報の保護
・本部が自社ブランドで戦う商圏の維持

つまりフランチャイズ契約が終了した後も本部が自社のリソースを守り、その商圏で競合と戦う体制を維持することが目的です。

商圏を継続して守らなければマーケットシェアを奪われ、自社のノウハウも流出する恐れがあるため、そのリスクヘッジで設けられている条項です。

しかし過度な制限を加盟者へ課すことは認められません。
加盟者側も「職業選択の自由」が憲法で守られており、社会通念上必要と認められるケースのみが有効となります。

マーケットは自由競争であるべきであり、不公正な取引、公共の福祉の阻害する取り組みは排除されることを前提としているためです。

競業避止条項が無効となった判例

判例を解説すると、認められないケースは、以下のように整理できます。
①過度な競業避止期間、広範囲な地域と営業の種類の設定
②加盟店側にとって、とうてい支払いが困難な多額の違約金の設定
③本部の利益が著しく損なわれるとは言えない競業避止条項の設定
④本部の提供ノウハウが、独自ノウハウとまでは言えない程度の内容である場合
⑤該当商圏に既存店もなく、今後も出店する予定のない場合

つまり、ただ自社ブランドを守りたいだけ、他者との競合を避けたいだけ、提供する経営(運営)ノウハウの独自性がなく、一般的に流布しているシステムレベルであれば、競業避止に当たらないとされているのです。

競業避止条項を生かすためにフランチャイズ本部のやるべきこと

これらの判例からフランチャイズ本部としては、「過去の判例から競業避止が認められないケース」を学ぶとともに、認められる競業避止義条項を入れたフランチャイズ契約書を作成し、さらにフランチャイズ本部としての役割や体制を進化し続けていなければならないということでしょう。

見直しのポイントは以下の通りです。
①競業避止期間は概ね2年〜3年で設定
②違約金等は、本部が不利益を被る範囲で適正に設定する。相場としてはロイヤリティの30~36ヵ月分程度
③本部が提供するノウハウに独自性があり、加盟店利益に寄与する内容のレベルであること
④時代の変化とともに自社ノウハウもブラッシュアップしていくこと
⑤加盟店に対して経営(運営)等の指導やアドバイスを確実に実施していること
⑥商圏を守るべく店舗網の拡大、マーケットシェア獲得の計画を持っていること

①や②は過去の判例からフランチャイズ契約書に反映させることができます。
一方で③〜⑥は、本部の持つノウハウが本当にフランチャイズ・システムとして確立できているのか、フランチャイズ本部として加盟店に対して役割を果たせているかどうかです。

厳しい表現をすれば、③〜⑥フランチャイズ本部としてノウハウを売って、加盟店の売り上げを伸ばすための指導を行える本部であるかを問われているのです。

まとめ

フランチャイズ本部に求められる「自社のノウハウを提供する役割」とは、競合との差別化により、加盟店の利益をもたらす事ができて初めて成り立ちます。

立地や商圏によって売上高が異なることはあっても、その前提として本部のノウハウの価値そのものや実効性・再現性が常に問われていることを、改めてフランチャイズ本部は認識する必要があるでしょう。

競争を避けて自社を守るだけの競業避止条項は、裁判になれば認められないということです。

常日頃から自社のノウハウを進化させ、加盟店と密にコミュニケーションを取りながら、一緒に経営努力を続ける姿勢が本部には求められていると言えます。

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