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共感経済の中にあるフランチャイズビジネス

現在、「共感経済」と呼ばれるビジネスモデルが隆盛です。
読んで字のごとく、共感を集めて事業を進めるモデルです。

直接的に関わりのなかった者同士が集まり、共感できるビジネスモデルに投資をするスタイルです。
最もわかりやすい例では、自分の共感できる事業に対し、資金を出資したり、寄付したりする「クラウドファンディング」です。

これらは一見新しいようで、実は昔から行われていたビジネスモデルとも言えます。
今回は、共感を集めるとはどういうことか、フランチャイズビジネスの側面からひもといていきたいと思います。

共感経済とは何か

共感経済に代表されるビジネスモデルはクラウドファンディングです。
まだ完成した製品がなくても、顕在化している課題を解決するために考え抜いたビジネスモデルを公開することで、広く資金が集まります。
想像やイメージの段階で資金が集まってしまうのです。

社会にくすぶっていた課題に対して、コロナの影響で人が考える時間も生まれ、共感経済に対する意識が一層高まったように思えます。
そして共感を生むために必要なのが、事業者がどんな人で、どのような理念で、どんな事業を行いたいのか、を熱く語ることなのです。

これはフランチャイズビジネスにおいても同様ではないでしょうか。
当社が開催する「フランチャイズセミナー」や「のれん分けセミナー」、もしくはご支援させていただいているクライアントの皆様には、「“経営理念・経営ビジョン・経営方針”を相手が理解できるまで説明し尽くしてください、説き続けてください」と何度も申し上げているのは、そのためなのです。

社会課題からみたビジネスモデルの一例

当社のクライアントは、飲食業や小売業も多いですが、最近はサービス業の経営者の方々からの相談が増えています。
さらに世間でも、以下のような多くの新しいサービス業が生まれています。

食事の準備サービス

共働き子育て世帯や一人暮らしの高齢者の食事の準備の問題を解決するための家事代行や時短調理、中食サービスです。

教育サービス

発達障害の児童と向き合う保育・教育施設サービスや、リカレント教育、リスキリングの考え方から、大人の教育ビジネスも生まれています。
また学校教育を先取りしたプログラミングといったテクノロジー教育や体操教室、外国語教育機関や寺子屋事業などです。

健康維持サービス

今、最も活況でフランチャイズ展開が盛り上がっている1つにフィットネス業界があります。
ワークライフバランス、ボディケア、健康寿命、テレワーク・デスクワークの増加、など、健康維持の需要は高まっています。
従来型のフィットネススタジオの進化はもちろん、身体の機能を取り戻すためのフィットネス、女性だけのフィットネスなど、多様なニーズに応え業態が細分化しています。

上記のようなサービス業は、社会生活のベースをお手伝いするビジネスです。
ベーシックインカムならぬベーシックサービスの考え方です。
本来は政府や行政でサービスを提供できればいいのでしょうが、それが追いつかないところには需要がありビジネスが生まれているのです。

フランチャイズ本部の加盟店開発に必要な考え方

フランチャイズ本部を立ち上げ、自社のビジネスモデルを拡大させようとする動機は、共感していただける人々を集める行為と同義です。

フランチャイズ本部の経営者は、自社のビジネスモデルは素晴らしいと思っています。
だからこそ、多くの方々に“共感”してもらえると考えているはずです。

しかし加盟候補者が集まらないということは、多くの方々の胸に刺さっていないということです。
ではなぜ胸に刺さらないのか…。

共感を得て人を動かすには、投資をしてもらうには、つまり加盟してもらうには「何が足りないのか」を突き詰めることではないでしょうか。
これはビジネスモデルそのものとは異なる概念です。

安易に加盟金やロイヤリティの安さをうたって加盟者を集める行為は、持続可能なビジネスとは言えないのではないでしょうか。
理念やビジョン、自社の社会的意義をしっかりと語れることが、とても大事なのです。
この点を掘り下げ続けることが、自社の価値を上げ、加盟者を集める本質だと考えます。

商品やサービスに価格やコストがあるように、フランチャイズビジネスにおける加盟金やロイヤリティにも、設定した金額には本質的な理由があるのです。
ここをしっかり説明できれば“共感”は得られるはずです。

ですから加盟金ゼロのキャンペーンを行うより、「だからこの値段なのね」と納得させられる本部であって欲しいと思います。

まとめ

新しいビジネスは毎日無数に生まれています。
成長し続けている既存ビジネスも、時代の変化に合わせてマイナーチェンジを繰り返しながら進化し続けています。

これからのフランチャイズ展開は、美味しいスープのラーメンを開発できたからフランチャイズシステムで店舗数を拡大できる、といった単純なものでは無くなったということです。
そこに必要なのは、消費者にも個人・法人の経営者からも“共感”を得られるビジネスモデルです。

加盟者集めに苦戦しているフランチャイズ本部は、社会が要請している社会課題に対して向き合えているか、共感を集められているか、といった視点で自社のビジネスモデル、加盟店開発手法を見直してみてはいかがでしょうか。

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