株式会社神戸物産がフランチャイズ展開している「業務スーパー」が好調です。
2月25日には「宮崎大塚店」をオープンし、47都道府県への出店を達成したようです。
店内に100円ショップ同居もOK
業務スーパーの“ゆるゆるFC運営”JR横浜線の鴨居駅で降り、外食店でにぎわう駅前から住宅街へ上り坂を歩くこと10分。2車線の狭い道路沿いに突然緑色の看板が顔を出す。業務スーパー鴨居店だ。
店内の中央には冷凍食品が詰められた業務用冷凍庫が幾つも並ぶ。ここまでは業務スーパーで見慣れた光景なのだが、店内の一角に100円ショップの「キャンドゥ」が入居している。キャンドゥの売り場は特に仕切られておらず、商品を会計するレジは、業務スーパーの商品と同じだ。
鴨居店を運営するのはG-7ホールディングスという東証1部上場企業である。業務スーパーのメガフランチャイジーで、他にもカー用品のオートバックスのフランチャイジーなどを展開している。
鴨居店に100円ショップをテナントとして入居させているのはG-7だ。「業務スーパーの中にキャンドゥがある景色はまだ慣れない」と神戸物産の社員は苦笑する。このように、フランチャイズ(FC)加盟店が自身の裁量で業務スーパー内に100円ショップをテナントとして入居させるケースは増えてきているという。
FCチェーンの場合、店内のレイアウトは本部のフォーマットに従うことが一般的だ。ところが業務スーパーのFCは、加盟店がテナントや仕入れ先を選べる裁量の大きい点が特徴だ。
業務スーパーという看板を掲げ、業務スーパーの商品は置いてあるものの、店の中身は加盟店ごとにバラバラ。この“ゆるゆる運営”が業務スーパーのFC経営の武器である。
出典
2021.2.24 5:15 DIAMOND online
業務スーパーがFCから「ロイヤルティー1%」しか取らなくても業績好調な理由
業務スーパーのフランチャイズシステムの特徴ともいえるのが“ゆるゆるフランチャイズ運営”です。
一般的に、フランチャイズシステムでは加盟者に対して本部が開発したフォーマット通りに店舗を運営することを求めます。これは、そもそもフランチャイズシステムとは、加盟店に対して「成功するための仕組み」を提供するものであり、本部が開発したフォーマットに従って店舗運営することが、加盟店が成功するための前提条件となっていたからです。
しかしながら、経済が成熟化し、人々のニーズが多様化する中で、フランチャイズシステムのあり方にも変化が求められるようになってきています。
具体的には、全店画一的な店舗運営のあり方では、多様化した地域の顧客ニーズに対応することに限界が生じてきているのです。その結果、画一的なフォーマットで大規模展開を進めてきたフランチャイズチェーンは、地域ニーズに特化した個人店やローカルチェーンとの競争で劣勢に立たされています。
この状況を大規模フランチャイズチェーンが乗り越えていくためには、地域のことを知り尽くしている加盟店に裁量を発揮してもらう他ありません。この点、業務スーパーのフランチャイズシステムの特徴である“ゆるゆるフランチャイズ運営”は、加盟店の裁量を店舗運営に反映させていく、新時代に対応したフランチャイズ展開のあり方なのではないかと感じます。
コンビニ本部も、全店画一的な店舗運営のあり方を見直し、加盟店の裁量を品ぞろえや店づくりに活かす方向性にシフトしています。
これからのフランチャイズ展開のキーワードは、“ゆるゆるフランチャイズ運営”となるかもしれません。
なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。