「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」を展開する外食大手のロイヤルホールディングスが、コロナ後の成長を見据え、総合商社の双日から資本を受け入れることを発表しました。
外食業界の名門、ロイヤルホールディングス(HD)が双日から資本を受け入れる。双日と銀行から約240億円を調達して悪化する財務基盤を立て直し、コロナ後を見据えた成長を目指す。外食やアパレル、観光……。コロナ禍で経営が悪化する企業が後を絶たない。異業種から資本を受け入れるロイヤルHDの決断は、業種や業態の垣根を越えた「コロナ再編」の幕開けを予感させる。(関連記事13面に)
「資金繰りが厳しい企業同士が一緒になってもパワーがない」。15日、双日との提携にこぎつけたロイヤルHDの菊地唯夫会長は安堵の表情を浮かべた。黒須康宏社長は3月末の株主総会で最高経営責任者(CEO)の兼務からは外れる。リーマン・ショック後に経営が厳しくなったロイヤルHDを立て直した菊地会長が前面に出て難局を乗り切る。
新型コロナウイルスの感染が再び拡大してきた2020年夏、菊地会長の元に投資ファンドからアポの申し込みがあった。緊急事態宣言が発令された20年4月、主力のファミレス「ロイヤルホスト」の既存店売上高は前年同月比58%も落ち込み、その後も前年割れが続いた。コロナ禍で客数減に苦しむなか、このファンドは外食に食い込むチャンスとみていた。
菊地会長はコロナ禍の外食には3つの段階があるとみていた。第1段階は不採算店の閉鎖。ロイヤルHDも20年5月に70店舗の閉店を決めた。第2段階は、さらなる大量閉店と人員削減による資金流出の止血で時間を稼ぐ。第3段階が提携による資本増強だ。「店舗や人員をこれ以上減らせば、消費回復後に再び稼ぐ“復元力”を失ってしまう」。悩んだ末に第3段階の資本増強を急ぐ決断をする。
出典
2021/02/19 日経MJ(流通新聞) 1ページ
ロイヤルHD、双日が筆頭株主に、「コロナ再編」へ地殻変動、業種の垣根越え触手。
新型コロナの影響により、外食事業を手掛ける企業は苦境にあえいでいます。最近でも、2/17に備長扇屋等を展開する居酒屋チェーンのヴィア・ホールディングスが、2020年12月に事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の利用を申請し、受理されたと発表したばかりです。
外食企業がコロナ禍の影響で大きな影響を受ける一方、他業界の企業でが、今が外食事業に参入するチャンスと見ることもあるようです。
実際、外食店舗の撤退が相次ぎ、これまでは空きがでなかった好立地物件が多く出現し、条件も従来と比べるとずいぶんと借りて有利になってきています。
また、これまでの外食店の悩みのタネであったら働き手の確保も、コロナ禍の今では、比較的確保がしやすくなっていることでしょう。
コロナ禍で大打撃を受けた外食企業は、現状、多くが事業の再構築を進めている段階です。当分、事業の拡大フェーズに進むことはできないかもしれません。そのため、今後は、他業界から外食事業への参入が増えていくことも考えられます。
ただし、外食事業の運営は、小売業やサービス業と比べても難易度が高いものです。未経験の企業が独力で参入し、成功することは簡単なことではないでしょう。
そう考えると、今回のような、他業界から外食市場への参入を目指す企業と、コロナ禍で打撃を受けた外食企業との資本提携は、両者にとってWin-Winの取り組みとなるかもしれません。
今後、外食業界がどのように変動していくのか、今後の動きが注目されます。
なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。