新型コロナウイルス感染症拡大の影響で売上が落ち込み、苦境に立たされている外食チェーン各社が、コロナ禍でも比較的好調な郊外型店舗の展開に力を入れているようです。
外食各社が郊外への出店攻勢を強めている。ロイヤルホールディングス(HD)は神奈川県のロードサイドに天ぷら専門店を開いたほか、串カツ田中ホールディングスも駐車場を備えた大型店舗を都内に出店した。コロナ下で駅前や繁華街の需要が冷え込むなか、比較的好調な郊外で家族客などの需要を取り込みたい考えだ。
ロイヤルHDは神奈川県平塚市で天ぷら専門店「天ぷらてんや」をこのほど開業した。店内の広さは107平方メートルで、34席を備える。同社は都内の駅前に天丼店「てんや」を展開し、会社員の需要を中心に取り込んでいたが、「天ぷらてんや」では家族客の需要を開拓する。
メニューにてんやの看板商品である天丼に加え、そばやうどん、天ぷら、総菜などの小鉢料理を添えた「天ぷら御膳」などを用意し、子供から高齢者まで幅広い世代の需要に応える。
価格は800円台以上が中心で客単価は従来より100円以上高く見込む。今後の具体的な出店数は未定だが、既存の直営店の業態転換やフランチャイズチェーン(FC)方式で郊外での多店舗化を目指す。
串カツ田中HDはファミレス型の店舗も2020年10月に東京都東大和市に開業した。
カウンター席や座敷に加え、家族連れが使いやすいようソファ席を多く備えた。メニューもつまみのほかに、串カツの卵とじやナポリタンといった食事用のメニューも充実させている。出典
2021/02/01 日経MJ(流通新聞) 13ページ
外食各社、郊外に活路、広い土地「密」避けやすく、ロイヤルHD、家族向けてんや、串カツ田中、ソファ席設ける。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や休業・時短営業要請などの影響を受け、飲食店の売上は苦戦が続いています。
日本フードサービス協会が公表している「外食産業市場動向調査 令和2年年間結果報告」によると、外食産業全体の2020年度の売上高は、前年比84.9%と、本調査開始以来、最大の下げ幅となっています。
外出自粛や休業・時短営業要請などによる売上減少は、コロナ禍の一時的なものと考えられますが、コロナ禍に伴い普及したテレワークや地方への人口移動は、今後も一定程度根付いていくものと考えられます。
その場合、都心や繁華街の飲食店は、コロナ禍が過ぎ去った後にも、従来と同水準の売り上げまでは回復しない可能性が高いでしょう。
今回の記事にある外食チェーン各社の郊外店舗を強化する取り組みは、コロナ禍に対する一時的な対応ではなく、中長期的な環境変化を見据えて、それに対応するためのビジネスモデル革新を目指す取り組みであると考えられます。
新型コロナウイルス感染症は、世の中に大きな環境変化をもたらしましたが、その環境変化には、コロナ禍だけの一時的な変化と、コロナ禍が過ぎ去った後にも続く恒久的な変化の2パターンがあるように感じます。
中長期的に事業を発展させていくためには、一時的な環境変化だけに目を向けるのではなく、恒久的な変化にも目を向けて、ビジネスモデルを革新していく必要があるのではないでしょうか。
なお、ポストコロナ時代に選ばれるフランチャイズ本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。