コンビニフランチャイズチェーン大手のファミリーマートが、これまで実質的に制限を掛けていた加盟店の値引き販売の自由化に向けて動き出すようです。
ファミリーマートは店舗の値引き販売を自由にする。現在は本部への申請が必要など店の手続きが煩雑だが、2021年度中に新しいレジのシステムを導入するなど、簡単に値引きできるようにする。公正取引委員会がコンビニエンスストア各社に店への値引きの制限や24時間営業の強制などを改善するよう求めており、その対応となる。
2020/11/28 日本経済新聞 朝刊 7ページ
ファミマ、値引き自由に 「独禁法違反の恐れ」指摘受け 食品対象、店舗に裁量
大手コンビニチェーンでは、これまでも加盟店が値引き販売すること自体を規制していたわけではありませんが、値引きに伴う事務手続きを煩雑にすること、本部社員から「値引きをした場合には契約更新しない」などと圧力をかけることなどにより、加盟店が値引き販売することを実質的に制限していました。
ファミリーマートは、新しいレジを導入して値引きに係る事務作業負担を軽減することで、名目的にも、実質的にも、加盟店による値引き販売の自由化を進めるようです。
2020年9月に公正取引委員会がコンビニ大手フランチャイズチェーンが過度に加盟店を統制していることについて独占禁止法違反になりうると指摘をしてから、コンビニフランチャイズシステムは急速に変化をしてきています。
国内最大のフランチャイズチェーンであるコンビニフランチャイズシステムの変化は、業種に限らず、すべてのフランチャイズシステムに影響を及ぼすことになるように思います。
具体的には、これまでのフランチャイズシステムといえば「加盟店に厳しく制約を課し、全店統一的・画一的な店舗運営により高い効率性を実現すること」に主眼が置かれていました。
一方、これからのフランチャイズシステムは「加盟店の裁量を認め、本部と加盟者間の信頼関係を取り戻し、本部・加盟者それぞれが高いモチベーションをもって各自の役割に努めることで、他チェーンとの差別化を実現すること」に主眼が置かれるようになるのではないかと思います。
フランチャイズ業界の発展のためにも、そのような姿勢を持つフランチャイズ本部が増えていくことに期待したいところです。
なお、ポストコロナ時代に選ばれるフランチャイズ本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。