外食大手企業の株式会社コロワイドによる、定食チェーン 大戸屋ホールディングスの敵対的TOB(株式公開買い付け)が成立する見通しとなったようです。
外食大手コロワイドは8日、定食チェーンの大戸屋ホールディングスに対するTOB(株式公開買い付け)が成立する見通しになったと発表した。コロワイドが保有する約19%とTOBへの応募株の合計で47%程度となり、40%を下限とする成立条件を上回った。コロワイドは大戸屋HDを連結子会社化し、経営の再建を目指す方針だ。
出典: 大戸屋への敵対的TOB成立 コロワイド、外食で初
2020/09/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ
これまで、コロワイドは大戸屋ホールディングスの大株主として、経営改善の提案をしていましたが、大戸屋ホールディングスの経営陣はこれを拒否していました。
コロワイドは、外食業界で初となる敵対的TOBを成立させ、大戸屋ホールディングスの経営陣を刷新し、オペレーションを効率化して経営改善を目指すようです。
一方、大戸屋ホールディングスの従業員からは、すでにTOBへの反対が表明されており、この点は、今後の経営において重要な課題となる可能性があります。
そもそも、飲食業は人を通じてサービスを提供するビジネスです。
経済が成熟化し、商品・サービスが同質化している現代において、サービスを提供する人こそが競争優位の源泉となっています。
外食企業が今後成長・発展を遂げていくためには、雇用する人材のやる気と能力を引き出していくことが最重要課題となります。
そのことを念頭に、今回の敵対的TOBを考えると、このような進め方で、働き手のやる気と能力を引き出すことができるのか、疑問が残ります。
このTOBが結果として上手くいくのかどうかは、新たな経営陣が、どれだけ働き手の気持ちに寄り添った方針を打ち出せるかがカギとなるのではないでしょうか。
成熟経済下の外食企業の成長・発展のカギは、働き手が活き活きと働ける職場をつくれるかどうかにかかっています。
外食企業の経営者には、このことを念頭に入れた経営を期待したいものです。
なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。