イタリアでの独占禁止当局である競争・市場保護委員会(AGCM)は、契約条件をめぐり、加盟者から複数の苦情を受けたことを踏まえ、マクドナルド本部の調査に着手するようです。
[ブリュッセル 9日 ロイター] – イタリアの独占禁止当局である競争・市場保護委員会(AGCM)が、米ファストフード大手マクドナルドの調査に着手する。フランチャイズ経営者との契約条件をめぐり、複数の苦情を受けたため。ロイターが閲覧したAGCMの文書で9日、明らかになった。
マクドナルドがイタリアの独占禁止の規則に違反した場合、世界の売上高の最大10%が罰金として科せられる恐れがある。
AGCMはコメントを控えた。マクドナルドのイタリア法人は「事業内容の正当性を確信している」と述べ、当局の調査に協力する考えを示した。同社の2020年売上高は192億ドル。
AGCMは4日付の文書で、入手可能な情報を基にすると、店舗経営者とマクドナルドの間には経済的な依存関係が存在するようだと指摘。フランチャイズの取り決めに関するマクドナルドの条項の一部は、経済的依存の乱用にあたるとして調査に着手すると述べた。
AGCMは、価格や販促、株式、供給と購入、財務管理といった一般的で拘束力のある一連の条項が、違反行為を構成しているとみなされる可能性があるとの見解を示した。
独占禁止法では、不当な負担を強いる、もしくは差別的な契約条件を通じて、企業が契約相手の企業による経済的依存を悪用することが禁じられている。
マクドナルドにとって、フランチャイズは重要なビジネスモデル。イタリア国内で展開する615店舗のうち、85%はフランチャイズが運営している。
文書によると、マクドナルドのフランチャイズを運営する3社が3月、家賃やロイヤルティー、投資規模と販売政策に関してAGCMに苦情を寄せた。
出典
2021年8月10日 11時20分 REUTERS
イタリア独禁当局がマクドナルド調査へ、フランチャイズ契約巡り
ここ数年、世界的にフランチャイズ本部に対する政府の規制が強まってきている印象です。
そして、この流れは日本国内においても同様です。
実際、今年の4月には、公正取引委員会が、コンビニ加盟店の大規模実態調査を行った結果から、
- 本部の加盟店募集時の予想収益等の説明
- 本部による無断発注
- 年中無休・24 時間営業の強制
- ドミナント出店
- 見切り販売の禁止
などについて、フランチャイズ本部の問題行為が明らかになったとして、これらの行為について未然防止をすることを目的に、「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方(フランチャイズガイドライン)」を改正しています。
また、小売業、飲食業のフランチャイズ本部を規制する中小小売商業振興法についても、今年4月に改正省令が交付されており、2022年4月1日に施行される予定です。
なお、フランチャイズガイドラインや中小小売商業振興法の改正について詳しく知りたい方は以下のご覧ください。
これまでは、フランチャイズ本部に一方的に有利な契約を結び、その契約を根拠に、加盟店を統制する考えが主流でした。
しかし、時代が変わり、従来のようなあり方では通用しない時代になってきています。
これからのフランチャイズ本部は、加盟者の信頼関係を軸に加盟店統制を進めていかなければなりません。
フランチャイズ本部には、加盟店との信頼関係を構築・深化させていくための姿勢が強く求められるでしょう。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。