「丸亀製麺」等を展開するトリドールホールディングスの2021年4~6月期の連結営業損益が50億円弱の黒字(前年同期は35億円の赤字)になったと発表されました。
コロナ禍の中でも健闘している要因には、2021年4月に販売を開始した「丸亀うどん弁当」の好調があるようです。
うどんチェーンの丸亀製麺が今年4月に出した「丸亀うどん弁当」の販売が900万食を突破した。うどんを弁当化するという独自の発想で消費者のニーズをつかんでいる。新型コロナウイルス禍で持ち帰り需要の取り込みが求められるなか、今や丸亀製麺の主力商品になりつつある。
実は、このうどん弁当は山口寛社長自ら企画した商品だ。「店舗のオペレーションの負荷を抑えつつ、持ち帰りのニーズも拾っていきたい」。そんな思いがうどん弁当の開発につながった。
丸亀製麺では新型コロナの感染拡大が国内でも深刻化した2020年5月にうどんの持ち帰りを始めた。ただ、持ち帰り商品への対応は店舗への負担が大きい。下層にはつゆを、上層にはうどんや具材をのせる2層の容器で提供するとともに、温かいつゆや冷たいつゆなど要望にも対応しなければならなかった。
そこで開発したのがうどん弁当。弁当箱のような容器に、うどんやつゆ、天ぷらをのせて出来上がり。現在は冷たいうどんのみに対応し、種類は4つと従業員が作りやすくなった。「消費者側から種類がある程度決められているという分かりやすさ、弁当という持ち運びやすさも受け入れられた」(山口社長)
全国の丸亀製麺約850店舗の大半でうどん弁当を販売する。特に住宅街の駅前やロードサイドの店舗で販売が好調だ。新規での利用者が増えているという。
価格は390円から。冷たいぶっかけうどんに、「ちくわ磯辺天」や「きんぴらごぼう」、「玉子焼き」を盛り込む。えび天も入る490円の弁当など、4種類を用意する。2種類を定番化し、残りの2種類を季節に応じて変更させていく方針だ。
価格帯や入れる具材などはうどん弁当の発売のために出店した店舗で度重なる実験をしてきた。消費者の声を聞きつつ試行錯誤し、「コロナ下だけでなくコロナ収束後も成長をけん引する商品にしたい」(山口社長)と思いがあった。
うどん弁当が新たな消費者を取り入れ、丸亀製麺の売り上げに占める持ち帰り比率は、新型コロナ前の2%から足元では約25%に上昇したという。今後は冬でもおいしく食べれるうどん弁当の開発を計画している。
出典
2021年8月9日 日経MJ
(着眼着想) 「丸亀うどん弁当」 持ち帰りやすく分かりやすく 丸亀製麺 山口寛さん
持ち帰り需要を対象とした新商品「丸亀うどん弁当」は、2021年4月の販売開始から半年も経たないうちに900万食以上を販売されているとのことです。
「丸亀うどん弁当」が大ヒットした結果、「丸亀製麺」の売上高に占める持ち帰り比率はコロナ前の2%弱から、直近では25%まで伸びています。
着目すべきは、「コロナ下だけでなくコロナ収束後も成長をけん引する商品にしたい」という山口社長の基本方針でしょう。
「丸亀製麺」では、コロナ発生直後の2020年5月にうどんの持ち帰りを開始していますが、ただ既存商品を持ち帰り対応するだけではオペレーションが煩雑で、現場に負担を掛ける結果となりました。
この状態では、一時的な売上アップにはなろうとも、コロナ収束後に事業として継続することは難しいでしょう。
そこで、その反省を生かし、「コロナ収束後にも事業として継続できる=オペレーション負担と顧客満足を両立する商品」として「丸亀うどん弁当」が開発されたのです。
コロナ発生以降、多くの飲食店において、店内飲食の落ち込みをカバーするため、宅配や持ち帰りへの対応が強化されましたが、大半が「コロナ禍における一時的な対応」であったのではないかと感じます。
もちろん何もしないよりはましなのかもしれませんが、加盟店に成功するビジネスモデルを提供するフランチャイズ本部としては、「丸亀うどん弁当」のように、コロナ収束後にも事業として継続できるレベルの商品・サービスを開発する姿勢を持つことが求められているのではないでしょうか。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。