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外食業界で余剰人材を他業業界に派遣する動きが進む。フランチャイズ本部が進めるべき次の危機への備え

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で業績が落ち込んでいる外食業界において、余剰人材を他業種に派遣または出向させる動きが進んでいます。

新型コロナウイルスの感染で深刻な打撃を受けている外食産業で、余剰になった人材を異業種に振り向ける取り組みが相次いでいる。ラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングス(HD)は人材派遣業に参入する。三光マーケティングフーズは正社員を農家に出向させる。コロナ禍でも介護業などの人手不足は変わらない。業種を越えた労働力の移動で失業を抑制する。

出典: 外食、異業種に人材派遣 幸楽苑やワタミが参入 コロナで雇用調整 農業・介護に需要
2020年8月8日 日本経済新聞朝刊 2ページ

新型コロナウイルス感染症拡大に対する有効な打ち手が存在しない中、今回の余剰人材を他業種に派遣または出向させる動きは、一時しのぎの「苦肉の策」のようにも感じられます。
ただし、今後、外食業界での事業展開を考えたときに、外食事業とは異なる収入源を確保することは、重要な経営課題になるものと感じます。

新型コロナウイルス感染症問題により、「人が接触できない」というこれまでにない事業リスクが顕在化し、外食業界に限らず、人との接触を前提とする事業が多くの影響を受けました。

かといって、今後永久に「人との接触」が制限されるかというと、それもまた非現実的な印象があります。
新型コロナウイルス感染症のワクチンや特効薬が開発されれば、これらの事業の売上も業種業態によって多少のばらつきはあるでしょうが、一定程度の水準までは回復することでしょう。

ただし、またいつ同様の事象が発生するかわかりません。
過去の歴史を振り返れば、10年単位で歴史に残る大事件が発生しており、同様の事象が再び訪れる可能性は十分にあります。

これからの企業は、再び「人が接触できない」事態が生じることを前提に、事業のあり方を見直すこと、具体的には、「人が接触できない」事態が生じても、一定程度の売上を確保できる事業構造をつくることが求められるものといえるでしょう。

この観点で見たときに、大手外食企業が他の業界への人材派遣事業に取り組むことは、事業リスクの分散化という意味では有効な方策であるように感じます。
ただ、外食産業は常に人手不足問題に悩まされ続けていることを考えると、平常時にこの事業が成立するかどうかは疑問が残ります。

平常時にも、危機時にも、一定程度の売上を確保でき、かつ既存事業との相乗効果を発揮できる新規事業を確立することが、フランチャイズ本部に限らず、すべての企業にとって重要な経営課題になるのではないでしょうか。

なお、ポストコロナ時代に選ばれる本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご覧ください。

ポストコロナ時代に加盟希望者から選ばれるフランチャイズ本部となるために必要なこと

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