新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でコンビニ加盟店の業績が悪化する中、コンビニ本部がビジネスモデル革新を進めています。
ファミリーマートは、店舗にデジタルサイネージ(電子看板)を設置して、商品CMやニュースなど消費者向け情報を配信するなど、店舗のメディア化を進めていく方針を発表しました。
ファミリーマートが次世代のコンビニ作りを急いでいる。国内約1万6000店に情報発信メディアとしての機能を加え、リアル店舗の価値を高める。さらに大手で初めて無人店も本格展開する。コロナ禍でフランチャイズチェーン(FC)加盟店の経営が悪化する中、その打開策を細見研介社長に聞いた。
「近所で良いものを買えるとの発想を大事にしたい」と語るファミマの細見研介社長
――24日にメディア事業の新会社が発足します。「店舗にデジタルサイネージ(電子看板)を設置して、商品CMやニュースなど消費者向け情報を配信します。まずは22年春までに約3000店に導入し、その後は設置可能な全店に広げる計画です。1日1500万人が来店する店舗網に、メディアとしての機能を加えます。自社のメディアを持つということです」
「米ウォルマートは広告事業を新しい収益の柱として強化しています。店舗のメディア化は世界の潮流で確実にとらえていきます。リアル店舗はモノを売るだけでなく、見せる場所との側面が増しています。店内の電子看板と棚の両方でしっかり商品を見せて、広告効果を高めます。ファミマは同業他社と比べて都市部に店舗が多いため、メディアとしての強みがあります。広告収入は加盟店に還元します」
出典
2021/09/20 日経MJ(流通新聞) 11ページ
ファミマ、次世代コンビニ先手 細見社長に聞く 自社メディア1.6万店で発信
「1日1500万人が来店する店舗網」の強みを活かし、「店舗にデジタルサイネージ(電子看板)を設置して店舗をメディア化し、広告収入を得る」という発想は、コンビニの強みを活かしつつも、従来のコンビニのビジネスモデルとは一線を画した取り組みです。
1500万人の人にアプローチできるメディアは多くないでしょうから、この取り組みが上手くいけば、コンビニの収益源の1つにまで成長していくかもしれません。
本取り組みは、加盟店のオペレーション負担が無いこともポイントでしょう。
デジタルサイネージ(電子看板)の設置費用は加盟店が負担することになるかもしれませんが、オペレーション負担なく投資分+α程度の広告収入が得られるのであれば、加盟店にとっても歓迎できる施策といえるのではないでしょうか。
今後の動向が注目されます。
環境変化に合わせてビジネスモデルを革新し、チェーン全体の収益性を高めていくことは、フランチャイズ本部の務めです。
新型コロナの影響で苦戦するチェーンも多いですが、フランチャイズ本部の創意工夫により、苦境を打開するビジネスモデルの革新が生まれることを期待したいところです。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。