コロナ禍において苦戦を強いられている外食業界において、唐揚げ専門店の出店が加速しています。
ワタミ株式会社、から揚げ専門店「から揚げの天才」が100店舗を達成したことを発表しました。
ワタミは7月8日、から揚げ専門店「から揚げの天才」が100店舗になったと発表した。1号店のオープンから2年7カ月というスピード出店を実現。ステーキ専門店「いきなり!ステーキ」が100店舗を達成したのとほぼ同じペースだ。
コロナ禍で影響を受けた居酒屋経営者が参入
から揚げの天才は、2018年11月に1号店を東京都内に出店。10坪程度の小規模な物件でも出店可能で、メニューを玉子焼きとから揚げに絞っているのが特徴。コロナ禍でテークアウト需要が増加したことから、フランチャイズ(FC)加盟店が一気に増加した。ワタミによると、全100店舗のうち60店舗がコロナ禍で影響を受けた居酒屋経営者によって運営されているという。
出店を加速させるため、ワタミは20年9月に初期費用を従来の半額に抑えて設計した「999万円出店モデル」を開発。1号店を埼玉県上尾市に出店した。郊外型店舗にある駐車場の空きスペースなどを有効活用する狙いがあった。
200店舗実現のため新たな出店モデルを提案
ワタミはFC加盟のハードルを下げるため、初期投資をさらに抑えた「380万円出店モデル」を新たに投入する。脱サラや定年退職した人への提供を見込んでいるという。
また、顧客満足を向上させるため、主力メニューのから揚げ「デカから」のバリエーションを増やす。8月1日から、レギュラーメニューを既存の3品から6品にするとともに、期間限定限定メニューも1品から2品にする。常時8品を提供する体制とする。平均的な顧客は1カ月のうち4回来店していることが分かっており、選ぶ楽しさを提供する狙いがある。
出店スピードを落とす条件
かなり早いペースで100店舗を達成したが、店舗の質に問題はないのだろうか。ワタミの渡邉美樹会長は「立地に徹底的にこだわっているだけでなく、従業員の教育にもチカラを入れているので、チェーン崩壊は起きない」という見解を示した。もし、従業員の教育が追い付かないといった事態になれば、出店スピードは落としていくという。
また、渡邉会長はから揚げ店がコロナ禍で急増している状況について「もともとレッドオーシャンで勝負することは分かっていた」と説明。から揚げの天才は低コストで出店できるフォーマットになっているため、「レッドオーシャンでも勝ち抜くことができる」と自信を示した。
出典
2021年07月08日 13時57分 ITmedia ビジネスオンライン
ワタミの「から揚げの天才」100店舗達成 「いきなり!ステーキ」とほぼ同じ出店ペース
ワタミが手掛ける「から揚げの天才」は、1号店がオープンしてから2年7カ月で100店舗展開に到達しています。
数年前に一世を風靡したステーキ専門店「いきなり!ステーキ」と同程度の出店速度ということです。
また、今後は初期投資を抑制した「380万円出店モデル」を導入して、脱サラや定年退職した人のフランチャイズ加盟獲得を強化していく方針のようです。
コロナ禍の影響で仕事を失い、新しい道としてフランチャイズ加盟を検討している人も増えているため、今後ますます出店が加速していくことが予想されます。
一方、唐揚げ事業で気になるのは、「市場の飽和」です。
実際、ワタミの渡邉会長もはじめから唐揚げ市場をレッドオーシャン(競争が厳しい市場)と捉えたうえで店舗展開を進めているようです。
大手ファミレス等でも唐揚げに力を入れており、あっという間に品質の高い唐揚げをどこでも購入できる環境が整いました。
もはや美味しい唐揚げを提供するだけでは、競合他社と差別化することは難しいように思います。
今後は、唐揚げ専門店同士での競争が激化していくことは間違いありません。
市場が飽和し、競争環境が厳しくなったときに、競合の唐揚げ専門店とどのように差別化していくのか。
フランチャイズ本部としては、この問いに対して明確な答えを出せるようにしておく必要があるでしょう。
また、唐揚げフランチャイズへの加盟を検討されている方も、この点を念頭に加盟するフランチャイズ本部を選ぶべきです。
筆者の感覚では、いまのところ、他の唐揚げ店と一線を画す業態は登場していないように思います。
例えば、本記事では、から揚げの天才が「低コストで出店できるフォーマットであること」が競合他社に勝てるポイントとして挙げられていますが、このこと自体は、顧客から見ると本質的な差別化要素にはならないように感じます。
利用者から見て、競合店舗とは明確に差別化された唐揚げ専門店の登場を期待したいところです。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。