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企業のめざす規模感によって異なるフランチャイズ展開の手法とは

店舗数を拡大する手法として、フランチャイズ展開が国内で活用され始めてから、早や半世紀が経ちます。
その間に、本部の目指すチェーンの規模感によって、企業が取りうる手法も変わってきました。

今回は企業(本部)の成長エンジンであるフランチャイズ展開手法の違いについて触れていきたいと思います。

なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント


フランチャイズ展開の手法の違い(事例)

代表的なチェーン本部のフランチャイズ展開手法は以下の通りです。

<マクドナルド> 店舗数約 2,900店 売上規模約3,120億
マクドナルドは2004年頃から店舗のフランチャイズ化の速度を早めてきました。
同じ商圏内に直営店とFC店が混在していたり、異なる加盟者のFC店が混在していたため、この集約を図ることが目的だったとされています。

優良加盟店への集約、ベクトルの合わない加盟店オーナーの撤退、1加盟店オーナー当たりの店舗数増、加盟店ごとの地域・エリアの集約など、様々な労力を要した取り組みだったと思われます。

マクドナルドはこれまでもフランチャイズ店を多く抱えてきましたが、殆どの加盟店オーナーはマクドナルドのOBやOGでした。
これは本部の理念や方針を身体で覚えた人材を対象としており、いわば、「のれん分け」に近いフランチャイズ展開と言えます。

2004年頃からのフランチャイズ化は、これまでのやり方を方向転換し、本質的なフランチャイズ化に昇華させた事例と言えるでしょう。

<カレーハウスCoCo壱番屋> 店舗数約1,600店 売上規模約900億
日本一のカレー専門店ですが、ブルームシステムと言われる手法でFC展開してきました。
独立開業を前提として入社し、店舗オペレーションや経営スキルを身につけ、本部より認められた者だけが独立できる独自のシステムです。

ある意味「のれん分け」の方が理解しやすい手法です。
徹底的にブランド力を守る姿勢が伺える店舗展開手法です。

<コンビニ業界> 約56,000店で売上規模約10兆円
元々は酒屋さんの業態転換で始まっていますが、今では大きな法人の流通部門を抱える形で加盟したり、脱サラ開業が主流になっています。

原則、本部との資本関係や雇用関係のない第三者が加盟店となります。
最もポピュラーなFC展開といえます。

これは店舗展開スピードを劇的に上げており、一産業を育てるスピードとしては最も効果的なフランチャイズ手法であったと言えるでしょう。

コンビニ飽和論から考察する本部が統制可能な店舗数とは

コンビニ店舗数の飽和論は定期的に勃発する議論です。
その議論を新サービスや新商品、販売手法、データ分析等のイノベーションにより、打ち破って来ました。

これは経済成長・企業成長の観点からは、高い成功事例と言えるでしょう。
独立起業家や店舗スタッフの雇用を創出するとともに、弁当製造ベンダー等の関連産業を育ててきました。
その他にも、社会インフラとしての役割も果たしています。

ここではちょっと角度を変えて、1〜2万店のチェーン規模におけるガバナンス・統制の限界という視点から、コンビニ飽和論を考えたいと思います。

ここ数年コンビニ業界では、加盟店オーナーからの告発により、24時間営業や食品ロス、労働問題に関して、行政を巻き込んだ動きが盛んになってきました。
これはSNSの普及による個人の情報発信からの影響もあります。

先日、セブンイレブンの店舗において、賞味期限が切れたおでんを意図的に仕込む事例がYouTubeで発信され、本部が事態の収拾に動く事態が発生しました。
本部も事実を認め、加盟店への厳正な対応と保健所への報告も済ませている事象です。

全国に展開するチェーンであり組織も大きいため、各エリアに責任者を置き、各店舗にはSV(セブンイレブンではOFC)も配置しています。

しかもセブンイレブンは、ハイスピードでトップの方針が末端の社員や店舗まで徹底される非常に優れた企業集団と言われています。
実際にそうだと思います。

しかし今回の事例を見る限り、企業のスピード感や徹底力の観点だけでは、もはや1~2万店舗の多店舗展開は、ガバナンスとしては限界の域に達しているのではないでしょうか。

個人が力を持ち始めた今の時代に置いて、個人の発信は止められませんし、対応方法も対処療法に尽きてしまいます。

今回の「おでん賞味期限切れ問題」は、加盟店オーナーの指示で行われていたと報道されています。
つまり1~2万店舗の多店舗展開でのガバナンスとは、本部の指導だけでは徹底できない領域に入り、加盟店オーナーの選別も明確にする必要があるレベルなのかもしれません。

実際に業界として、力のある加盟店に複数店舗を推奨し、比較的大規模なフランチャイジーが生まれてきている動きを見ると、本部としては必然的に加盟店選別への舵取りを行っているように見えます。

スケールから考えるFC手法

そもそも論として、目標とする店舗数や売上高から、フランチャイズの展開手法は異なります。

マーケットシェアを重視して、規模の経済を徹底するためには、第三者を加盟者とするコンビニ業界のような手法になります。

一方、より地域に密着した地域ブランドを重視するならば、「のれん分け」に近い形でフランチャイズ展開することになるでしょう。

これからフランチャイズ展開を始める経営者の皆様は、自身の業種業態や目標とする規模、ブランドに対する考え方から、フランチャイズの展開手法を考えることが大切です。

どれだけ自信があってもコンビニ業界のような規模感は、現実的ではないかもしれません。
しかし短期間である一定の地域でマーケットシェアを一気に獲得する必要があるのであれば有効かもしれません。

逆に会社の理念を確実に継承できる加盟店を望むのであれば、じっくりと加盟者を育成できる体制と手法が有効です。

これらの手法は一旦動き出したら後戻りできない訳でもありません。
規模のステージが変わった段階で方向転換することも可能です。

実際にマクドナルドは、ほぼ「のれん分け」に近い手法から、第三者を入れる手法に変えてきました。

どちらにせよ、やみくもに加盟店を募集するのではなく、自社の理念に沿ったフランチャイズ展開手法を、本部の加盟店開発の軸として持つことが大切でしょう。

まとめ

「のれん分け」に近いフランチャイズ展開の手法から、門戸を広げる手法へ変化させる業種、逆にスケールが巨大過ぎてガバナンスの課題を抱え、「のれん分け」に近い手法へ舵を切り始める業種など、それぞれ手法も変わってきています。

これからフランチャイズによって多店舗展開を考えている本部は、自社のスケールや業種・業態、理念に合ったフランチャイズ展開手法を、加盟店開発を開始する前に、社内でしっかりと議論していただきたいと思います。

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