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フランチャイズ契約を不平等契約としない為の本部の取り組みとは

裁判や日常のビジネス活動において、フランチャイズ契約は不平等契約であると、加盟者側から主張されるケースがあります。

しかし本部と加盟者は独立した事業者であり、互いに納得の上でフランチャイズ契約書を締結するわけですから、それらの主張が全て受け入れられるものでもありません。

ビジネスモデルを作る側の本部と、それを利用する加盟者は立場が異なるため、全てが平等であるはずもありません。
今回は「なぜフランチャイズ契約が不平等契約と言われてしまうのか」、その主な2つの論点について触れていきたいと思います。

なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築の極意。5つの手順と成功する3つのポイント


対価としてのロイヤリティ

最も論点になりやすいのが、“ロイヤリティ”です。

徴収される加盟店の立場からは、加盟しつづける限り支払いが毎月続くこともあり、高額・高率と感じられやすい性質があります。

そこで、このロイヤリティの金額や料率を加盟店に納得してもらう説明方法は、算出方法と対価の合理性を丁寧に説明することです。

一般的に、算出する基礎額は売上高や売上総利益です。
そこから定率・逓増・逓減などの算出方法があります。

運用上のポイントとしては、なぜその算出方法を採用しているのか、本部としてのポリシーを明確にしておくことでしょう。

最近のフランチャイズ本部からいただく相談で最も多いのが、自社の決めたロイヤリティの額や率が適正であるかどうか、についてです。
その額の根拠を伺うと、皆さん業界の“相場感”と回答されます。

安全パイではありますが、それだけで決めてしまうのは、つまり競合他社とは明確に差別化はできていませんと公言しているようなものです。
ちょっと不安が残ります。

ロイヤリティは継続して本部が投資を続け、チェーン全体が成長し続けるための原資です。
その恩恵はロイヤリティを払っている既存加盟店にも及ぶはずです。

従って、適切な根拠を持ってロイヤリティを算出しているのであれば、ロイヤリティが高額と主張されようが、本来は何の問題はありません。

大事なのはその算出根拠なのです。
設定根拠を明確にし、提供する価値とのバランスからロイヤリティを高く設定できることが、事業活動としては健全です。

実際にロイヤリティが最も高額になる業種はコンビニ業界ではないでしょうか。
他の飲食店やサービス業と比べても圧倒的な差があります。

そのためコンビニ加盟を敬遠する加盟者が多いのも事実です。
しかし事実として、フランチャイズの仕組みを使って、最も成長してきたフランチャイズビジネスはコンビニ業界です。

ロイヤリティを原資に惜しみなく投資をし、高度な経営を実現してきたことは見逃せません。
フランチャイズビジネスを営む事業活動として、最も本質的な活動を、高いレベルで実施している業界といえるでしょう。

オープンアカウントシステム

次にしばしば批判の対象とされるのが、「オープンアカウントシステム」です。

これは日々の売上高を本部が毎日回収して、商品等の仕入れの支払いやロイヤリティ等を本部が算出し、本部と加盟店間の相殺勘定により差額決済するものです。

帳簿作成から加盟店利益の送金まで本部が請け負うため、加盟店の事務作業軽減に大きなメリットがあります。

逆に本部にとっては毎日の売上(キャッシュ)が手元に残り、その原資から取引先へ支払いをすれば良いわけです。

キャッシュインは毎日でありながら、取引先への支払いは翌月末になったりしますので、本部のキャッシュフローは潤います。

オープンアカウントシステムが批判の対象となるのは以下の理由からです。

①店舗の売上高(売上金)は、加盟店の営業活動によって生み出されたものと解釈すれば、一時的とは言え本部が全額吸い上げるシステムに違和感を持つ加盟者も多いためです。

②個人商店の場合、日々の売上高(日銭)を上手く運用して必要経費の支払いに充てる経営者もいます。

例えば、急に在庫が無くなった原材料や備品の購入、光熱費の支払いなどに充てるといったこ
ですが、このシステムではそういった経営者の自由な裁量が制限されてしまうのです。

③取引業者との接点は本部にあり、取引先業者と交渉するのも本部です。
この交渉で勝ち取ったリベートや仕入れ価格引き下げの恩恵を、本部のみが享受しているケー
もあります。

加盟店の仕入原価低減に反映されるケースが大半ですが、本部が公表しなければ言わばブラック
ボックスとなります。

上記のことから、フランチャイズチェーンのオープンアカウントの場合、加盟店は売上高(売上
金・日銭)を自由に運用することができません。

一方で本部は吸い上げた日々の売上高から業者への支払いや事務所の賃料、従業員への給与など
に運用することが可能です。
ここに不満を持つ加盟者も一定数存在します。

しかし個人商店の場合、売上高と経費の境が曖昧で、どんぶり勘定となっているケースも多いこ
と、またオープンアカウントシステムの場合は、多くは会計システム代行も含まれているため、
正確な帳簿作成のためにも、売上金を本部が管理しなければならない仕組みにせざるを得ないで
しょう。

帳票作成や決済業務が多く、システム構築が必要なため採用していない本部も多いですが、自社のチェーン(経済圏)が潤うオープンアカウントシステムは、結果として加盟店も恩恵を受けると言えます。

まとめ

本部として大事なことは、全ての経済的要素について明確に根拠を示せることです。
「加盟金」「ロイヤリティ」「仕入れ等の指定業者選定」「仕入れ価格」「設備費用」「研修費」「販促費」など全てです。

根拠がないところ、加盟店に対して曖昧な説明しかできない体制が、トラブルを招くのです。
高い・安い、高額・高率という問題ではないのです。

チェーン全体の成長のためにも、本部に資金は必要です。
これからフランチャイズシステムを構築し、ロイヤリティの設定を検討されている企業は、他社の決めた率や額を真似るのではなく、自社が受け取る対価としての根拠をしっかり説明できる体制にしていただきたいと思います。

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