自社のビジネスモデルを拡大させる手法としてフランチャイズ・システムがあります。
本部と加盟店が対等な立場で互いに認め合うビジネスパートナーの仕組みです。
ご存じの通り、本部と加盟店はフランチャイズ契約書で結ばれた関係です。
契約書上で合意した内容で粛々とビジネスを進めていきます。
今回はフランチャイズ本部が準備することになるフランチャイズ契約書の中身について触れていきたいと思います。
フランチャイズ契約書とは
契約は、大きく分けて典型契約と非典型契約に分けることができます。
売買契約や賃貸借契約等は、民法の条文ではモデルとなる契約が定められており、これを典型契約といいます。
それに対して、フランチャイズ契約、リース契約、出版契約等は、民法で定められていない非典型契約といいます。
民法でモデル契約が定められていないということは、フランチャイズ契約などの非典型契約は契約を締結する双方の合意があれば、合意する内容はいわば自由に決めることができるということです。
フランチャイズ契約書は、ビジネスモデルを構築した本部が概ね準備をします。
契約する双方が甲・乙である場合の甲が本部であることが一般的です。
契約書の中身は業種・業態、サービス提供内容によって異なります。
自社のビジネスモデルによって自由にカスタマイズできるのです。
しかし、いくら自由だからと言って、なんでも本部の優位性が際立った契約書は有効となりません。
優越的地位の乱用にならないか、社会通念用容認される規定であるのか、公序良俗に反しないのかなど、配慮すべきところは沢山あります。
フランチャイズ契約書の構築手順
当社にも様々なフランチャイズ本部の経営層の方々からご相談が寄せられます。
ビジネスモデルを伺った上でフランチャイズ契約書を作り上げていきます。
ご相談される前に契約書を作成する手順をイメージして頂ければと思います。
①ビジネスモデルを整理して、フランチャイズ本部の構築したいもの、守るべきもの、目指すものを決める。
②フランチャイズを専門とする中小企業診断士等の専門家へ相談する。
③専門家とヒアリング形式で大枠を作り上げていく。
④自社の顧問弁護士によるリーガルチェックを図る。若くは外部の弁護士事務所でリーガルチェックを依頼する。
上記の中で最も時間がかかるのが③のヒアリング形式で大枠を作り上げている作業です。
ビジネスモデルから類推できる事象を想定して、契約書に盛り込むべき内容を整理していく段階です。
専門家を上手く活用するメリット
フランチャイズ契約は決められたフォーマットがある訳ではなく、自由に構築できます。
それが故に盛り込むべき内容が多岐に渡り、自社であらゆることを想定しなければなりません。これは大変な作業であると同時に、必ず漏れが発生します。
この段階で専門家にご相談されることをお勧めします。その理由は・・・・
①専門家自身がフランチャイズビジネスを手掛けてきた経験値がある
②様々な業種・業態の契約書を作成してきている
③想定されるケースの引き出しがある
④フランチャイズビジネスにおけるトラブル事例やその判例について知識がある
④組織づくり、マニュアル作りなどの本部構築にも役立つ
ビジネスモデルだけでフランチャイズ契約書が出来上がる訳ではありません。
加盟店にサービスを提供するのがフランチャイズ本部の役割ですから、サービスを提供する体制になっていることが前提です。
フランチャイズビジネスで発生するトラブルの大半は、売上利益の伸び悩みに加え、加盟者の想定よりも低いフランチャイズ本部のサービスレベルです。
契約後に加盟店へ業務を任せきりの本部には、ほぼ例外なく加盟店とのトラブルが発生します。
これらを回避するために必要なフランチャイズ本部の体制やマニュアル作りにも、ぜひ専門家を活用していただきたいと思います。
フランチャイズ契約書とフランチャイズ本部の組織やサービスの提供体制は、表裏一体であるからです。
まとめ
フランチャイズビジネスは、フランチャイズ契約書を中心に稼働します。
契約を交わすと互いにその内容を守り抜かなければなりません。
社内だけでは気づけないことも多々あります。
専門家の第三者目線でビジネスモデルを確認してもらい、様々なケースを想定してフランチャイズ契約書を作り上げていただきたいと思います。