商品やサービスをお客様に販売する際のマーケティング手法の考え方は数多あります。
その中でも一貫して言えるのは、商品やサービスを購入するお客様の立場に立って考えるということです。
今回は本部にとってユーザーとも言える加盟検討者の立場に立って、加盟したい本部とはどういった本部なのか、さらに加盟店開発に必要な本部の熱意について考えてみたいと思います。
加盟候補者から見た加盟したい本部
ビジネスモデルより
時流に乗っているビジネスモデルであるか
ここにはオペレーションがデジタル化されていることも含まれます。
何もデジタル化されていないオペレーションでは人件費が嵩むばかりです。
小売業やサービス業はどうしても労働集約型で人事生産性の低い業態ですので、人件費を低減させる仕組みづくりは、最優先課題と言えます。
社会課題への意味づけがあるビジネスモデルであるか
最近ご相談も多く、フランチャイズ展開が旺盛な業種がいくつかあります。
フィットネスジム、学習塾、幼児・児童教育関連、飲食店、ハウスクリーニング・家事代行清掃関連、美容です。
これらの業種を見ていると消費者の求めているサービスを反映していることが一目でわかります。
共働き、女性の社会進出、少子化など、社会のトレンドを反映した課題解決型の業種です。
しかし、比較的参入障壁も低く、競合が乱立し始めています。
その中でもわかりやすい意味づけが必要なステージになってきています。
フィットネスであれば総合型ではなく、対象とするペルソナや時間軸を切り分けて差別化を図るサービス。
逆に、家事代行では代行業務の幅を広げて、家事を丸っとお任せのような、ほぼ家政婦(夫)のようなサービスです。
資金調達の側面より
加盟意欲があっても開業資金のハードルが高いケースも散見されます。
ほぼ自己資金がなく本部へ相談にくる方も少なくありません。
そこで本部がどのように資金面をケアできるかも大事な側面です。
資金調達するのは加盟者本人ですが、本部もアドバイスはできるはずです。
金融機関の担当者と同席して、開業するビジネスモデルを一緒に説明するのも一つです。
金融機関は当然にその事業からの回収見込みを見ており、まずは売上が立つか、利益が出るかです。
そういった意味では、コンビニに加盟する際の融資は比較的通りやすくなっています。
大手コンビニ店舗の平均日販も公表され、多くの加盟者事例があるためです。
また本部の信用力も大きく、複数店への拡大も比較的容易に資金準備できます。
つまりフランチャイズ本部に加盟店の事例が増えてくれば信用力も高まってくるのです。
それまでは本部も加盟者と一緒に金融機関と交渉するぐらいの気概は必要かもしれません。
加盟店開発には候補者の心を動かす本部の熱意も必要
人は様々な場面で意思決定をしますが、必ずしも経済合理性だけで意思決定している訳ではありません。
情報を集め、自身や知人の経験を参考に多くの準備をしますが、最終的には自分の好みやフィーリング、最初の直感で決めていることも多いはずです。
食料品や洋服のみならず、車や住宅に至るまで、思考はそれほど変わらないと思います。
事業を開始する経営者が取引先や業務委託先を選定する場合はどうでしょう。
相手の実績に加え、相手の信用力や態度、話し方、熱意・想いで決めているところはないでしょうか。
熟慮を重ねますが最終的には相手の人間性を見ています。
最終的には自分の信じたフィーリング、売り手をリスペクトできる感覚での判断基準が大きいと言えます。
弊社が推奨する加盟店開発は、加盟希望者に本部の経営者の理念や想い、ビジネスモデルの情報を発信し続けて信頼を得る、そして相手が加盟したいといってくれたら、具体的な話をする、といった地道な方法です。
「儲かること」で加盟希望者を集めるのではなく、「本部の理念に共感したビジネスパートナー」足りえる人を加盟店としていきましょう、ということです。
しかし最後のクロージングでは、本部(創業者)の人間性とビジネスモデルの魅力を、本部が熱意を持って加盟候補者へ説くことは必要なのです。
まとめ
フランチャイズ本部としてやるべきことは、先ずは加盟候補者が加盟したいと感じさせ、判断したくなる仕掛けやきっかけを作ることです。
自慢のビジネスモデルをアピールするだけでなく、加盟候補者の目線で考えてほしいと思います。
フランチャイズ加盟募集サイトや雑誌への掲載や、フランチャイズショーなどへの出店だけで、自社がビジネスパートナーとして信頼関係を構築できるような加盟候補者は集まりません。
・経営者の想いを発信して、共感する人を集めること
・共感し、加盟したいといった人に対して、収益性など、具体的な提案をすること
こういった地道な方法と本部が熱意をもって働きかけること、フランチャイズ本部にはこの両輪が必要ではないでしょうか。