フランチャイズ本部として加盟店とどのような関係を築いていけば良いのか、悩まれている経営者も多いでしょう。
・加盟店を統制するためにどこまでフランチャイズ契約書で縛ることができるのか、
・強い本部がいいのか、
・加盟店の自主性を尊重する本部がいいのか、
立ち位置が難しいところです。
そこで今回は、その揺れ動く立ち位置について考察していきたいと思います。
「強い本部」「統制力のある本部」とはどのような本部なのか
本部はチェーンのリーダーシップをとる存在です。
フランチャイズ契約書上は加盟者と対等な関係ですが、実際には親子関係とも言えます。
リアルな親子関係にも、それぞれに人権があるのと同じです。
しかし親は子をリードして、正しい方向性を示し、チャンスを掴める活躍の場を提供する役割があります。
子育てと同じだと言えます。
今の時代、鉄拳制裁で暴力をも厭わない教育などあり得ません。
機会を与えながら、それが何故大切なのか、必要なのか、社会原理と社会のルールを説明しなければなりません。
フランチャイズビジネスにおいても同じことが言えます。
昔のフランチャイズシステムは本部が絶対権力を持ち、加盟者を押さえ込むことができる本部が「強い本部」であり、本部の理論で論破できるスーパーバイザーが優秀だとされてきました。
商品発注の押し付けなどは典型的な事例です。
しかし本当の意味での「強い本部」は全く違います。
前提として圧倒的な実績を引っ提げて、その理論を元に説得力を持ち、加盟店を納得させられる実力のある本部が「強い本部」なのです。
更に社会的環境の変化に対応して、課題や問題点に目を背けず、正面から加盟店と向き合える本部が求められている時代です。
「強い本部」には前提条件がある
強く・統制力のある本部になるためには前提条件があります。
圧倒的な実績です。言わば、加盟店を儲けさせる本部です。
そして圧倒的な実績とその実績に裏打ちされた「仕組み・理論」です。
加えて「変化への対応」です。これらを常に仮説・検証を繰り返すことのできる本部が強い本部と言えます。
実績が伴う組織や人は、実績をあげていない他社と比較して視座が違います。
ステージによって見える世界が違ってくるとも言えるでしょう。
したがって強い本部とは、圧倒的な実績を出し続けるしかないのです。
ただ頭が抜きん出るのではなく“圧倒的”です。
直営店にしろフランチャイズ店1号店にしろ、圧倒的な実績があれば加盟候補者は勝手に集まります。
どの加盟者も本部の背中を追いかけながら活躍できます。
裏を返せば、実績の出せない本部の言うことを聞く加盟店などいないということです。
まだ実績が乏しいフランチャイズ本部はどうするべきか
とはいえアーリーステージの本部は実績が出ているものの、「圧倒的」という域には至っていないケースも多いでしょう。
環境変化の激しい現在は、ビジネスモデルの可能性を評価し、圧倒的な実績が出る前に加盟希望者が現れることもあるからです。
そこで、このステージに立つ本部のやるべきことは、“理念や経営方針、経営ビジョン”を明確化することです。
自社のビジネスモデルが、いかに社会的意義が高いか、社会に提供したい価値は何なのか、説明し続ける根気を持つことです。
そして自社のファンを発掘し続けることです。
これはベンチャー企業が投資家や融資を依頼する金融機関に対して、自社の「事業計画書」を、熱意をもってプレゼンするのと同じです。
プレゼンする相手が投資家から加盟候補者に変わっただけです。
加盟候補者も自己資金や銀行融資を頼ることを考えれば、投資家も加盟候補者も言わば同じです。
統制力を持った「強い本部」を目指すのはその後のステージで考えればいいでしょう。
実績が伴えば自然とその力が本部に備わるのです。
まとめ
フランチャイズ本部にとって難しい時代となりました。
これまで「強い本部」として当たり前の行動が、社会問題として取り上げられたり、批判されたりして、本部が加盟者の主張を一部認めるようになってきたことは、記憶に新しいでしょう。
しかしそれでも、フランチャイズシステムは「強い本部」のもと、加盟者を統制していくビジネスモデルであることは変わっていません。
例えば、最も加盟店への締め付けが厳しいと言われるセブンイレブンは、競合と比べて圧倒的な実績を叩き出すことで、フランチャイズの雄であり続けているのです。