加盟店開発に苦労するフランチャイズ本部に足りない要素として、加盟候補者の持つ将来不安を解消する手段を説明できていない点が挙げられます。
年金・老後問題、少子化問題、過剰な貯蓄信仰など、日本経済の成長を鈍化させる発生要因は「将来不安」にあります。
「将来不安」が根底にあるからこそ、投資もできず身動きが取れないと言えます。
この「将来不安」を解消する政策こそが国のやるべきことです。
フランチャイズビジネスにおいても、加盟候補者から「将来不安」を解消する手立てを説けるフランチャイズ本部こそ、人生を預けられる本部と言えます。
その「将来不安」を解消する加盟後のアフターフォローがSVシステムと言えます。
スーパーバイザー(S V)を全面に出した加盟店開発
スーパーバイザーの実態や能力は加盟後でないと確認できないのが一般的です。
加盟時にはあまり表に出てきません。
加盟店開発担当者が、「毎週訪店します」「店舗オペレーションを教えます」「悩みの相談を受けます」「経営の適切なアドバイスをします」などのような事を伝える程度でしょう。
このS Vの実態を掘り下げ、時間をかけて説明できれば加盟候補者は安心できないでしょうか。
家電・パソコン・住宅・車・製造機器・エステ・保険など、比較的高額な商品やサービスを購入する際、消費者はメンテナンスやお客様相談窓口など、購入後のフォロー体制を判断材料にしているはずです。
スーパーバイザーはこの購入後のフォローメンテナンスに当たるのです。
何故、多くのフランチャイズ本部は「ビジネスモデルという高額な商品・サービス」の購入後のメンテナンスを深く語らないのでしょうか。
この点が多くのフランチャイズ本部に欠けている点だと思います。
事業を成長させるには右腕(NO2)の存在が欠かせないものですが、SVが加盟店の右腕になりますと言い切れると加盟店も安心できるのではないでしょうか。
「本部やS Vは使うもの、利用・活用するもの」「加盟店さんはS Vを使い倒してください」と徹底的に説いていくべきだと思います。
メガフランチャイジーや複数店で成功している加盟店は、徹底的に本部とSVを使い倒しています。
これは何も無理難題を本部にぶつけてクレーマーになっている訳ではありません。
関係性はすこぶる良好です。
フランチャイズビジネスは店舗の拡大や他人資本による出店といった、本部が加盟者を利用・活用したビジネスモデルです。
お互い様なのです。
互いの役割を認識して確実に実行する姿勢であれば、加盟店の疑問点を本部にぶつけることが遠慮なくできるものです。
「加盟店は本部やSVを使い倒してなんぼ」それをしっかりと受け止める度量が本部にあることを加盟候補者にアピールすべきです。
成功するかしないか分からないビジネスに挑戦する加盟候補者を少しでも安心させることが加盟店獲得の鍵ではないでしょうか。
スーパーバイザーを語れない本部とは
スーパーバイザーを加盟候補者に語れない理由は2つあると思います。
①スーパーバイザーの育成、体制が確立できていない本部
立ち上げ当初は確立されていないケースも多いでしょう。その時は、創業者(社長)がSVをやるべきでしょう 。自社の理念やビジョン、経営方針を最も正確に熱く語れるのは創業者です。
フランチャイズフランチャイズフランチャイズ1号店から加盟者が無難に営業してくれることなどありません。
社長自らSVとなり、現場に入り検証を続けることが必要です。その中で自社にとっての理想的なSV像、必要なスキルや評価制度をつくりあげていく姿勢が大切ではないでしょうか。
②スーパーバイザーの重要性を認識していない本部
こちらは加盟店へのコンサル業をそれほど必要としていない本部です。
これは食材を供給する事を主な収入源と考えている本部に多いように思えます。
一つのビジネスモデルとして、仕入れの簡素化や食材・原材料の安定供給、物流機能の活用、原価の低減など、加盟者にとって一定の役割とメリットを提供できているため、一つのビジネスモデルとしては問題ありません。
しかし、加盟後のコンサルティング、アフターフォローの面では加盟者の不安は解消され難いでしょう。
例えば、競合が増えて過当競争になり、加盟店の売上が減少すれば、加盟店の急激な離脱が発生することも考えられます。
このような事態に陥る前に、SVが加盟店をサポートし、売上の減少を食い止められれば、チェーンとしての競争力も高まるはずです。
以上から、このようなビジネスモデルであっても、フランチャイズ・システムではSVの存在は大きいのです。
SVの存在は本部が加盟店を向いている証ともいえるでしょう。
まとめ
コロナの影響でSVの指導方法も昔とは大きく変わってきています。
訪店やzoomでの面談など色々と組み合わせて加盟店をフォローしています。
方法論が変わってもSVの重要性は変わっていません。
AIによる加盟店診断は一定程度の数値検証ならできるでしょう。
しかし悩みをAIに打ち明けるでしょうか。
行間や感情の部分まで理解できるAIが登場するにはもう少し時間が掛かるように思えます。
アフターフォローとしてのSVの存在をしっかりと語れる本部が、加盟店獲得の強者になれるのではないでしょうか。