公正取引委員会が2020年9月に公表した「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査」に基づき、大手コンビニ本部に対して加盟店との取引改善を求めたのに対して、業界4位のミニストップは、本部と加盟店との関係を抜本的に改革するため、新たに「ミニストップパートナーシップ契約」を導入することを発表しました。
業界4位のミニストップは、本部と加盟店の関係を抜本的に改革する「ミニストップパートナーシップ契約」という大胆な方策を打ち出している。結論を先に述べれば、“利益を分かち合う、真に対等な関係”の構築を目指すというものである。
通常、コンビニのフランチャイズでは、売上から仕入れ原価を引いた加盟店の粗利益に対して、本部が一定割合をロイヤリティとして徴収する仕組みとなっている。よって、仮に人件費や廃棄ロスなどにより加盟店が赤字であっても、本部は一定の収益を確保している。
しかし、ミニストップの新たなフランチャイズ契約である「ミニストップパートナーシップ契約」においては、加盟店の粗利益から人件費や廃棄ロスなどの店舗営業経費と固定費を差し引いた事業利益を、加盟店と本部で分け合う仕組みになっている。つまり、加盟店が赤字の場合、本部の儲けもなくなるという実にフェアな関係が構築される。
出典
2020年12月19日 Business Journal ミニストップ、フランチャイズ契約が画期的!コンビニオーナー搾取問題を根本的に解決か
大手コンビニ3社の対応が業務改善のレベルにとどまる中、ミニストップパートナーシップ契約は、“本部と加盟店で利益を分けあう”という、従来のフランチャイズシステムとは一線を画す抜本的な改革ということができるでしょう。
ミニストップパートナーシップ契約の導入により、本部と加盟店の信頼関係を深めるとともに、加盟店の経営に対するモチベーションを高めて、結果的としてチェーン全体の業績アップにつなげていくことが同社の狙いと考えられます。
しかし、ミニストップパートナーシップ契約には、本部はもちろんのこと、加盟店にとってもリスクがあるように感じます。
チェーン全体の業績が向上すれば問題ありませんが、仮に想定よりも業績アップにつながらない場合、本部の収益性が低下する可能性があります。
このような事態になると、本部がビジネスモデルのブラッシュアップに投資する余力も減少することになり、結果、大手3社との差がより開いていく可能性もあります。
フランチャイズの将来のあり方を変える可能性がある取り組みです。
同社の狙い通りに業績が向上するのか、今後の動向が注目されます。
なお、ポストコロナ時代に選ばれるフランチャイズ本部について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。