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加盟者の適正判断基準と本部によるフォロー体制とは

加盟者の適正判断は簡単なものではありません。
短期間で全ての適正を把握することなど不可能です。

しかし自社のビジネスモデルに必要な要素は肌感覚で分かっているはずです。
それが直感的に一緒に働きたい人物なのかの判断になります。

これは就職面接と同じです。
企業には入社後に社員研修や上司による教育システムがあります。

フランチャイズ本部にも、適正判断に加えてその後のフォロー体制も必要です。
今回は具体的な加盟者の適正判断基準と本部によるフォロー体制について触れていきたいと思います。
なお、フランチャイズ本部つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部が加盟者に提供するFCパッケージの考え方。6つの基本型とは


フランチャイジーの適格性確認

日本フランチャイズチェーン協会が掲げるJFA倫理綱領の中に、「フランチャイジーの適格性確
認」という項目があります。

具体的には、「フランチャイザー(本部)は、フランチャイジー(加
盟者)を適正に選定するにあたって、能力、性格、資力、意欲などについて、そのフランチャイ
ジーとしての適格性を十分に確認する。」とされています。

フランチャイズは、売上・利益の獲得、本部のサポート体制、解約判断などで度々争われます。
特に加盟時(前)の段階では加盟者側には十分な情報も判断材料も少なく、不利な立場です。

そこにつけ込んで、加盟店欲しさに安易な勧誘をするフランチャイズ本部も少なからず存在するのです。

それを抑制して裁判などのリスクを減らす目的で、団体として自主規制しています。

フランチャイズ本部の意識すべき加盟候補者の適格性判断

次に、この加盟候補者の適格性判断について具体的に見ていきます。

能力

これは店舗運営をしていく上で最低限必要なスキルです。

店舗研修で学ぶオペレーションが確実に習得できるのか、顧客とのコミュニケーションが適切に図られるのか、雇用するスタッフを教育・育成するリーダーシップや店舗運営のマネジメント力の確認も必要です。

店舗オペレーションは、本部の役割として、研修やマニュアルが確立されていて当然です。
一方、コミュニケーション能力は、それまで培った経験が影響するため容易には身に付きません。

オペレーション能力より難しい要素です。
加盟候補者は、店舗スタッフ・本部社員(SV)・家族など全ての人に対し、次のようなコミュニケーションをとることのできる能力が求められます。

顧客      :顧客獲得に必要なコミュニケーション
店舗スタッフ  :店舗運営を円滑に進めるためのマネジメント
本部社員    :本部機能を上手く活用してアイデアを引き出すコミュニケーション
家族      :店舗経営に対する理解を得るためのコミュニケーション

性格

ここでは“継続性”を備えているかが重要な判断基準です。

5年や10年の契約期間は、売上・利益も順調で、夢中になって店舗運営をしていればあっという間ですが、売上が低迷し出すと苦痛でしかありません。

それでも食らいつき、工夫を凝らして、諦めずに上を目指す“継続性”が最も重要となります。

短気・穏やか・優しい・非情・自己中心的・血液型に照らした性格など、決してこれらの要素で判断するものではありません。
これらは人の性格を見る要素ではありますが、経営者はこれら全てを使い分ける場面が出てくるからです。

対人関係では優しさ・穏やかさはプラスに働きます。
しかし経営には自己中心的で非情な判断も必要になります。

素早い意思決定は“短気”であることがプラスに働きます。
T Vで見かける血液型占いとは違うのです。

資力

店舗経営をする上での資金力です。
これは自己資金のみならず資金調達力も含みます。

加盟者は相対的に金融機関からの信用力は乏しいです。
ただ「持ち家」である場合や2親等・3親等レベルの親族から資金調達できるかは判断基準になり得ます。

会社を退職して藁をもすがる思いで加盟を希望される方もいらっしゃいます。
加盟候補者のこのような飛び込みは本部にとっては濡れ手に粟ですが、初期投資や軌道に乗るまでの運転資金、人件費、ランニングコストや突発的なコストなど、調達力も含めた資金力無しに商売はできないのです。

意欲

最後は「加盟して店舗運営を“生業”とする覚悟があるか」を確認しておくことが必要です。
この意欲に欠ける候補者はそもそも論外でしょう。

加盟候補者の適格性の弱さを本部がどこまで補えるのか

大手フランチャイズ本部の加盟店も、上記の適格性判断が全てクリアできている訳ではありません。
以下のような視点で、加盟者の足りない部分を本部が補うのもフランチャイズ本部の支援体制です。

能力

能力を補うためには「研修制度の拡充とマニュアルの整備」が前提となります。
最低限のオペレーションが、誰でも習得できる仕組みを作ることです。

一方で重要なコミュニケーションスキルの養成は、時間を要しますが、本部(SV)が根気よく対話をしながら加盟者を教育していく体制を作っていきます。

性格

人の性格を簡単に変えられる人などいないでしょう。
したがって加盟者の性格を受け入れて、その性格を上手く経営に役立てるよう引き出すのが、SVの指導力と言えます。

ただ“継続力”は、本部が伴走することにより補完することは可能です。
飽きっぽい性格の加盟者には本部(SV)が常に目を配り、伴走型の経営指導をすることで継続できる方向へと導けます。

ここには飽きさせない本部の工夫が必要です。
新商品や新サービスの提案、様々な販促活動や販売手法の提案、新しい技術の導入、複数店経営の提案など様々あります。

例えば店舗ビジネスでは、お客様に継続的に来店いただくために、新商品や新サービスを考案しますが、加盟者への対応も同様で、マーケティング要素が必要だと言えるでしょう。

資力

加盟者は総じて自己資金が豊富ではない場合も多いため、本部の役割は“資金調達力”のフォロー体制を作ることです。

資金調達力で最も必要とされる要素は“信用力”です。
この“信用力“を本部のフォローで補うのです。

取引金融機関・日本政策金融公庫・信用保証協会との融資交渉やリスケ交渉、国や自治体の補助金・助成金申請時の作成フォローができるでしょう。

フランチャイズ本部のビジネスモデルに一定の評価があれば、加盟店の見込み売上が算出しやすく、融資のハードルも下がります。

事業計画・売上利益計画・返済計画などを一緒に作成することで、金融機関からの信用力も増すでしょう。
このようなフランチャイズ本部の信用力やリソースを活用できるのも、加盟者の大きなメリットです。

意欲

加盟当初の“意欲”はあって当然です。
フランチャイズ加盟は就職と同じで、自分の意思で加盟する方々は“意欲”があって当然です。

なので、ここでも重要なのはその“継続性”です。
この“継続性”を維持するためには、加盟者を側で見ている存在が必要なのです。

これが本部(SV)の眼です。
“意欲”は加盟時から下降の一途をたどるものです。

それは、人は飽きる性質も持っているからです。
この“飽きる”性質をどう補うのかが本部(SV)の役割なのです。
従って「意欲の低下」は加盟者の問題ではなく、本部の問題と言えます。

まとめ

上記に加盟候補者の適正判断について記しておきながら乱暴な言い方になりますが、短時間で適正を的確に判断するのは、ほぼ不可能です。

面談を繰り返しても表層的な部分でしか判断はできません。
最終的には加盟候補者と面談する担当者や本部の社長が、この人と「一緒に働きたいか」が最終的な判断基準であり、本部が培った経験値の積み重ねに左右されます。

JFAの掲げる基準は参考として、自社の求める理想の加盟店像や判断基準を作り上げ、事前に十分な情報発信をすることで、理想的な加盟者を集めることが重要です。

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