フランチャイズ契約書を専門家と一緒に作り上げることができれば、いよいよ加盟店開発とフランチャイズ契約書の締結です。
ただ、フランチャイズ契約書の中に、フランチャイズ本部が加盟者へ伝えるべき内容をすべて記載することは不可能です。
そこで今回は、フランチャイズ契約書を読み合わせる前提条件として、加盟候補者に理解してもらいたい点について触れま す。
疑問点はその場で質問することを促す
フランチャイズ契約書の内容は多岐に渡ります。
しかも多い時で70以上の条項があり、全てを読み合わせて理解するには互いに、相当の労力と時間を要します。
しかも法律用語も満載で理解困難な場面も多々発生します。
ここでのポイントは、「疑問点は必ずその場で質問すること」を本部は加盟候補者へ促していただきたいということです。
そして本部は、どんな些細な点でも誠心誠意回答する姿勢を見せることです。
なぜなら疑問があった状態で契約を結ぶことが、不幸を招く入り口だからです。
手法としては、相手の疑問・質問点に対する本部担当者の回答を記録していくことも有効です。本部が丁寧に説明し、回答した記録が残ること、「言った、言わなかった」の水掛論をなくすためです。
もう一つの手法は、読み合わせ前に事前にフランチャイズ契約書を手渡し、事前に自力で読み込む時間を与えることです。
事前に疑問点がクリアになっていれば読み合わせ時もスムーズです。
しかしここで注意点があります。
①フランチャイズ契約書の受領書を取り交わす
②情報漏洩、秘密保持の約束事を書面で取り交わす
③フランチャイズ契約書は2者間の契約であり、代理人等の介入は互いにしないことを伝える
加盟候補者が誰と相談するかは自由ですが、契約を交わすのはご自身である自覚を持ってもらってもらいます。
脱サラの個人加盟をする候補者の中には、自己責任の自覚に欠ける方々もいらっしゃいます。
これまで会社に守られ、フランチャイズビジネスも本部の作ったレールに乗る訳ですからある意味いたしかたない現象です。
最後に熟考期間の必要性です。
フランチャイズ契約書は民法上の取引契約であり、消費契約と異なりクーリングオフは対象外となります。
契約を早く締結しないと加盟者の気が変わると考えて、契約締結を急がせる本部もありますが、加盟者が十分に契約内容を理解しないまま契約締結するような行為は、後から不要なトラブルを生む危険性があるため注意が必要です。
なので、契約書の読み合わせを終えてから2週間程度の熟慮期間を設ける旨を加盟候補者に伝えることで安心してもらうとよいでしょう。
時間経過で規定変更や改定があることを理解してもらう
時代の変化が年々激しくなっています。
社会・経済情勢の変化や法律の改定もあり、フランチャイズ契約書の規定が時代にそぐわなくなることも想定されます。
その場合は情勢を十分に考慮し、本部主導で合理的に解釈(互いにとって)をして内容を定め、契約書の改定や規定変更を行うことを理解してもらうことが大切です。
その際は「覚書」等で対応します。
変更内容によっては、加盟者有利(優勢)の変更内容もあります。
この場合は一方的な「通知」のみで変更が可能です。
加えて、フランチャイズ契約書は互いのビジネスにおいて最優先の判断基準であるものの、全ての事が網羅されている訳ではありません。
運営の途中で契約書の規定外で疑義が発生することも発生します。
その際は互いに誠意を持った対応で協議をし、円滑な関係を維持する努力を惜しまないことを刷り合わせておいてください。
まとめ
これらの内容は法定開示書面 で記載して、そこの説明で十分に理解を深めてもらう事でも結構です。
しかし前提条件とは言えフランチャイズ契約書の詳細にも触れる内容であるため、「法定開示書面」の内容が莫大になります。
従って、フランチャイズ契約書の読み合わせをする前段階で、加盟候補者に説明するのがベストではないかと思います。
どの様な方法、タイミングが適切かは、企業ごとの判断でいいと思いますが、丁寧に時間を掛けて説明すること、そのように心がけて対応することが、本部にとって重要なのです。