日本でFCビジネスが定着しはじめてから半世紀を迎えます。
2000年に入るまでは、日本経済の成長も相まって、店舗数の拡大が追及される時代でした。
しかし、2000年代に入り、FCビジネスを取り巻く環境は激変しています。
今や人口減少が顕著となり、経済成長率も横ばいから微増といった時代です。
しかも、FCシステムが浸透・普及する中、現代ではどの業種においてもFC本部が乱立しており、その競争環境は厳しさを増しています。
加えて、経営環境変化のスピードも以前と比べて驚くほどに加速しています。
当然、FCビジネスのあり方も環境にあわせて変化させていかなければなりません。
そこで今回は、これからの時代に即したFCビジネスの考え方について考えていきたいと思います。
(1)店舗拡大目標は机上の空論になりつつある
コンビニ業界を筆頭に、多くのFC本部が目指すものが“店舗数拡大”です。
店舗数を増やすことよって売り上げを積み上げ、同時に利益も増やすことがFC本部の成長エンジンとなってきました。
さらに、店舗数が増えることで規模の経済が働き、チェーン全体の生産性も向上します。
しかし、2000年代に入り、その概念が曲がり角をむかえているのは間違いありません。
そのことを象徴するように、コンビニの店舗数が国内で初めて純減したニュースは記憶に新しいところです。
世界的に見れば人口は爆増していますが、多くのFC本部は中小企業・中規模企業のカテゴリーに入るものであり、簡単に海外展開できる体力はありません。
そのため草創期の段階から1店舗ごとの質や生産性を確実に高めておく必要があります。
しかも、テクノロジーの進化により時代変化のスピードも年々早まっています。
いまや、朝令暮改が当たり前の市場なのです。
そんな時代に、はたして「3年後に300店出店」や「毎年50店舗出店で50億の売上」等の事業計画が本当に役に立つものでしょうか。
そういった事業計画・出店計画を謳い文句に加盟店を募るFC本部も目に付きます。
加盟店を急募したいがために、「数千万円の投資も3年で回収可能」とアピールしている本部もあります。
今の時代、このような投資効率を高い確率で実現できるものでしょうか。
投資家向けに事業計画を立てるFC本部としてはある意味仕方がないことではあることも理解しますが、どうも時代に合っていないように感じます。
本当に魅力的なビジネスモデルで、加盟店も高収益をあげられるFCビジネスであれば、直ぐに模倣されますし、今後も国内の人口減少は続きます。
更に店舗ビジネスは競合が乱立するマーケットです。
その中で未だに出店数競争が繰り広げられている点に危うさを感じます。
提供するサービスの差別化に自信があるからだと思いますが、「3年後に300店出店」などと謳っているFC本部の検証を3年後にやってみたいものです。多くの場合、机上の空論になっているように感じます。
(2)今のFCはこれからの時代に合っているのか
一方で、FC本部・チェーンとしての成長をどう測るのか、どのように利益を獲得していくのかを考えなければなりません。
生産性やテクノロジー、高品質・高単価など様々な切り口はありますが、先ずやるべきことはFC本部と加盟者の「理念の共有・共感」ではないでしょうか。
本部の考える事業モデルや理念・考え方に共感し、本部と加盟店が共に成長していくスタンスが必要な時代であると思います。
店舗数を追い続けてきたコンビニ業界も、加盟店との「共存・共栄」を旗印に、ビジネスモデルや理念の共有を図ってきました。
しかし、店舗数の拡大、売上至上主義からくる加盟店に対する本部の圧力や、ビジネスモデルを構築したFC本部の加盟店支配構造は否定できないでしょう。
それらの環境があまりにも行き過ぎたために公正取引委員会の介入の騒ぎになっています。
本当の意味での「理念の共有・共感」「共存・共栄」を実現するFCシステムやビジネスモデルが、時代の求めているFCビジネスであろうと思います。
FC本部と加盟店は上下の関係ではなく真のフラットな関係です。
シェアリングエコノミーが主流になりつつありますが、これは「仕組みを作るもの」と「それを利用するもの」の関係性であり、そこに上下関係はありません。
ダイバーシティーの概念も「個」を尊重するという意味が隠されており、ここにも上下関係は存在しません。
そういった意味では今のFCビジネスモデルは時代の要請から遅れているように思えます。
まとめ
FCビジネスは、FC本部と加盟者との対等な関係性で成り立つものです。
企業における上司と部下の関係性、家族内での「個」を重んじる関係性など、働き方も含めて時代は確実に変わりました。
このFC本部と加盟者の真の関係性をより追求できた本部が生き残れる時代となるでしょう。
時には厳しく、時には支え合い、互いに知恵を出し合える関係性が必要です。
そういった関係性の構築が、当社の考えるFC本部構築支援です。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。