ローソン加盟店の元従業員とローソン本部との間で発生した労働問題の訴訟について、
- 本部が解決金を支払うこと
- 本部が加盟店従業員の労働環境について指導に努めること
などの内容で和解が成立したようです。
本内容は、フランチャイズ本部にとって注意すべき内容でしょう。
コンビニエンスストア本部が、フランチャイズチェーン(FC)加盟店内で起きた労働関連のトラブルなどへの対応を問われている。加盟店とは独立した事業体としてFC契約を結んでいる本部がどこまで関与すべきか。ローソンで起きた労働関連訴訟を検証した。
「加盟店への注意喚起を通じて再発防止に努めていく」――。6月10日、ローソンは加盟店内で起きた労働問題に関わる訴訟で自社の一定の責任を認めコメントを出した。
発端は過去に大阪府内のローソンの加盟店で働いていた元従業員の男性(36)が、元オーナーから長時間勤務を強いられたり、日常的に暴力を振るわれたりしたと訴えた問題だった。男性は加盟店の行為は本部の事業に伴うものだったとし2015年、ローソン本部に計約1300万円の損賠賠償を求めて提訴した。
コンビニ事業では原則、加盟店オーナーと本部がそれぞれ独立した事業者としてFC契約を結び店舗を運営している。店が雇用した従業員の労務管理は店側が責任を持つことになっている。
本部側は当初加盟店の従業員を指導する立場にないと主張してきた。しかし訴訟の中で男性が休みが取れないなどの悩みを本部の社員に相談していたことや、その社員から本部の上司に報告されていたことが明らかになった。FC契約で本部はオーナーに対し店舗経営のほか、労働基準法の順守も指導や助言する立場にある。しかし今回の問題では本部が把握していたにもかかわらず具体的な措置は講じられなかった。これを受け、訴訟では本部が直接の雇用関係にない男性に解決金を支払うことで和解が成立した。
出典
2021/07/05 日経MJ(流通新聞) 9ページ
コンビニ、問われる労務管理、ローソン、訴訟受け本腰、本部、加盟店への指導重要に。
基本的に、加盟店はフランチャイズ本部から独立した事業体であり、加盟店の従業員の管理については、加盟店が責任を負うことが原則です。
しかし、今回のケースでは、以下の2つの点から、ローソン本部にも責任の一端があることを認めることとなったようです。
- フランチャイズ契約書に、加盟店が本部指導のもと、労働基準法や労働安全衛生法などを遵守するよう定められていたこと
- 元従業員は、店舗を巡回する本部社員に長時間労働や休みがないことなどを相談していたにもかかわらず、本部が加盟店に対して指導をしなかったこと
フランチャイズ本部にとって注意すべきは、後者のポイントでしょう。
仮に訴訟に発展した場合に、フランチャイズ本部としては「加盟店はフランチャイズ本部から独立した事業体であり、加盟店の従業員の管理については、加盟店が責任を負うものである」と本部の責任を否定することはできるかもしれません。
しかし、情報化が進んだ現代において、加盟店従業員からの相談を無視するフランチャイズ本部の姿勢は、社会から批判を受ける可能性が高いでしょう。
フランチャイズ本部としては、従業員の管理は加盟店の責任であることを前提としつつも、加盟店従業員から相談を受けた際には、それをフランチャイズ本部内で情報共有して、適切に対応していくことが求められるのではないでしょうか。
フランチャイズ業界健全化のためにも、フランチャイズ本部の責任ある行動に期待したいと思います。
フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。