新型コロナの影響により外食店舗の苦戦が続く一方、宅配に特化した「ゴーストレストラン」や、厨房施設を複数の事業者で共同利用する「クラウドキッチン」など、新しいスタイルの飲食サービスが好調です。
それに伴い、これら事業のフランチャイズ化を目指す企業も増加傾向にあるようです。
コロナ禍で飲食店が相次いで閉店する一方で、宅配専門の「ゴーストレストラン」や、レンタルスペースの厨房を複数の料理人が利用する「クラウドキッチン」「シェアキッチン」が増えている。今夏には韓国からクラウドキッチン最大手ウィークック(ソウル)が、ガイアックスと組み、日本市場に参入する。海外勢や異業種の参入で、業界の勢力図が変わる可能性がある。
中略
コロナを機に食のスタイルは変わった。会食の減少や在宅勤務の浸透で、自宅で食べる頻度が増えた。この結果、飲食店経営のカタチを大きく変えた。従前は1000万円以上の初期費用をかけ、返済をしながら人件費や家賃、食材費を払う。それでも訪日客効果もあり営業利益が10%弱ほど残っていた。この収益構造が完全に崩れた。
ゴーストレストランやクラウドキッチンは人件費と家賃にメスを入れる。宅配に特化すれば、都心の一等地に店を構える必要はない。シェアにより初期投資も抑えられる。
コロナを機に、カプリチョーザやダイヤモンドダイニング、デニーズなど大手飲食店チェーンが相次いでゴーストレストランに参入した。2月に東急リバブル(東京・渋谷)がクラウドキッチンを開くなど異業種の関心も高い。
とはいえ、成功までの障壁は高いのがこのビジネスの特徴でもある。最大の障壁はウーバーイーツや出前館など宅配プラットフォーマーに支払う手数料負担だ。自社で配送する場合にもデリバリー人材を常に配置しておかなければならず、リスクが大きい。
出典
2021/05/28 日経MJ(流通新聞) 3ページ
海外勢・異業種 外食に新風
宅配専門店や厨房シェア続々 人件費・家賃にメス、初期投資抑制
新型コロナの影響に伴う外出自粛や時短営業・休業要請等の影響により、飲食店の売上は大幅に減少しています。
これに加えて、これまでの飲食店は、
- 好立地に出店することが成功のポイントであったため、家賃負担が重たい
- 多額の初期投資を数年かけて回収していく事業構造であり、借入金返済負担が重たい
といった事業構造も重なり、非常に苦しい経営状況に追い込まれています。
一方、最近注目されている宅配に特化した「ゴーストレストラン」や「クラウドキッチン」の場合、
- コロナ禍においても一定の売上を確保できる
- 好立地である必要性がないため、家賃負担が軽い
- 初期投資を抑制できるため、借入金返済負担が軽い
など、従来型飲食店の抱える事業構造の課題を解消できる優位性があります。
ただし、これら事業を展開していく際、事業の根幹の一つである「宅配機能」を外部委託する場合には、そのリスクを認識しておく必要があります。
例えば、宅配機能の委託先が、サービスを停止した場合、当該事業の継続ができなくなることも考えられます。
実際、宅配の代表的なプラットフォーマーであるUber Eats(ウーバー・イーツ)は、いくつかの国ですでに撤退をしているのです。
特に、加盟店に対して成功する仕組みを提供するフランチャイズ本部としては、前述の事態が生じた場合、致命傷になりかねません。
ですから、これらのリスクに対して、予め対策を講じておく必要があるでしょう。
少なくとも加盟前に、加盟希望者に対してフランチャイズ事業の重大なリスクの1つとして十分な説明をすることが不可欠であると考えます。
フランチャイズ字事業のリスクをできる限り想定し、加盟希望者に正しく伝えるとともに、その対応策を予め用意しておくことは、フランチャイズ本部の役割であり、その責任があるものと考えるべきしょう。
なお、フランチャイズ展開の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。