フランチャイズ展開に限らず、1店舗目のお店が軌道に乗ってくると、2店舗目、3店舗目と多店舗展開(直営)を検討しはじめる経営者(オーナー)が多いです。
いくつも成功事例はあるのですが、それ以上に失敗事例も存在しています。
なぜフランチャイズ展開や多店舗展開が失敗してしまうのか。その原因と改善策を解説していきます。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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フランチャイズ展開が失敗する2つの理由と改善策
規模が大きくなれば別の失敗理由も出てくるのですが、初期段階におけるフランチャイズ展開が失敗してしまう理由は大きく分けて2つあります。
①加盟店が集まらない
そもそもの話になってしまいますが、加盟店の開拓ができなければフランチャイズ展開ができません。
多くの場合、加盟店を集めるために説明会を実施したり、展示会に出展したり、ポータルサイトに情報を載せたり、インターネットでリスティング広告を実施したり、サラリーマンからの独立者向けに電車の中吊り広告を張り出したりしていると思います。
しかし、なかなか加盟店候補者が見つからないケースも少なくありません。
加盟候補者が見つからなければ実績も作ることもできません。
この場合の原因は、加盟候補者すら集まらない場合には、マーケティング戦略に問題がある場合が多いです。
具体的にいいますと、広告であればコピーライティングのスキルや、興味が湧く内容になっていないなどです。
加盟候補者はそこそこ集まっているのに契約に至らないという場合であれば、自社またはフランチャイズのビジネスモデルに問題がある場合が多いです。
フランチャイズ加盟店を募集するということは、1つの商品を売るのと同じですから、その商品(ビジネスモデル)に魅力を感じなければそれが売れることはありません。
加盟候補者はそこそこ集まっているのに契約に至らないという場合には、コンセプトメイクを再度しっかりと行なってみましょう。
②加盟店が儲からない
フランチャイズ加盟店が儲からずにフランチャイズ本部とトラブルになる事例がとても増えています。
フランチャイズの場合、「儲かりそうだから」という理由で加盟店となるケースが多いことから、儲けが少なければそれだけトラブルになるリスクがあります。
フランチャイズ本部と加盟店による話し合いやサポートのブラッシュアップで済めば良いですが、脱退や訴訟になるケースもあります。
こういった出来事は、今の時代はインターネットで拡散されやすいので、ブランドイメージを傷つける恐れがあり、その結果、また加盟店が集まらないという負のループに突入します。
「儲かる」の基準には個人差があるのですが、加盟店の場合、契約の前の段階で「損益シミュレーション」を見て、ここから加盟するかどうかの判断材料にしています。
つまり、検討段階での損益シミュレーションから現状が大きくかけ離れている場合、「騙されたのではないか?」といった心理になりやすいです。
加盟店がなぜ儲かっていないのかは、様々な要因が考えられます。
たとえば飲食店の場合、新規客はある程度来ているにも関わらず、再訪(リピート率)が悪い場合には、味にバラつきがあったり、接客態度やお店の不衛生な部分などが影響したりしている可能性も考えられます。
この場合、フランチャイズ本部にも責任の一端があります。具体的には、研修や教育、サポートの質と量が不足しているのです。
また飲食店や美容院などは立地条件が客足を大きく左右すると言われていますが、フランチャイズ本部のリサーチ力が弱い場合には、そもそもの立地が良くなかったかもしれません。
フランチャイズ本部の売上は「加盟金」や「毎月のロイヤリティ」です。
ロイヤリティは毎月一定額の場合もありますが、多くは売上や利益の一定割合(売上の●%)で計算する形になっていますので、フランチャイズ加盟店が儲からなければ、本部も収入が減ってしまうということです。
本部の収入が減ることで、広告宣伝費を削ることになったり、加盟店のサポートするための人件費を削ることになったり、商品開発ができなくなったりといった悪循環が起きてしまいます。
多店舗展開の失敗する3つの理由
次に、自社で2店舗目や3店舗目を展開した際に失敗する理由について解説していきます。
新店舗を既存店舗とは離れた場所に出店する
多店舗展開における最大のメリットは「シナジー効果」を活用できることです。
シナジー効果とは「相乗効果」のことで、既存店舗と新店舗を物理的に近い距離に置くことで、どちらの店舗の売上も伸ばすという効果・戦略の1つです。
物理的に近い距離に既存店舗と新店舗を置くことで、人件費や仕入れ、物流、フォローなどで相乗効果を効かせやすくなるのですが、離れた地域に新店舗を出店してしまうことで、このシナジー効果が効かなくなってしまいます。
すると、新店舗の業務に追われ既存店舗がおざなりになってしまうこともあり、新店舗の売上が伸びないばかりか、既存店舗の売上まで落としてしまい、失敗に至るケースがよくあります。
新店舗を大きくしてしまう
既存店舗の売上が伸びてくると、「もう少し大きい店舗だったらもっと儲かるのでは?」といった勘違いをしてしまう経営者もいます。
また、そういった情報をどこかで耳にしたのかもしれません。
しかし、例えば飲食店の場合、既存店舗では15席のところ、新店舗では50席のお店を構えたとします。
人数だけ見れば、たくさんお客さんが入り、既存店舗と同様のオペレーションができれば確かに儲かるかもしれません。
ところが、15席と50席ではオペレーションの方法も変わってきますし、人件費、同時間帯で働くスタッフの数、仕入れの量など、すべてが変わってきます。
お客さんが満足のいくオペレーションが出来なければ客離れにも繋がりますし、収益と支出のバランスがうまく取れずに失敗するケースもよくあります。
既存店舗とは別のブランドで出店する
同じ地域に複数店舗を出店すると、少し離れたエリアに新店舗を置く可能性が高くなってきます。この時点で新しいエリアに挑戦するリスクが出てきます。
新しいエリアに競合店が多いことがわかると、既存店舗とは別のブランドで新店舗を立て上げてしまう経営者がいます。
別のブランドというのは、
・既存店舗 → ラーメン屋
・新店舗 → パン屋、カフェなど、または飲食業以外
こうなってしまうと、業態を変える(新たに参入する)リスクも加わってきますので、先程の「エリアのリスク」と「業態を変えるリスク」の2つが合わさってしまうのです。
2つのリスクを同時に抱えてしまうことで、当然失敗する可能性が高くなってしまい、撤退(廃業)せざるを得なくなってしまうケースもあります。
まとめ
フランチャイズ展開、そして直営での多店舗展開でよくある失敗とその改善策についてお話しました。
ここで挙げた失敗以外にも、「人材が集まらない」や「人材教育がうまくいかない」などの失敗理由もあります。
チャレンジには失敗がつきものではありますが、回避できるはずのリスクは回避するに越したことはありません。
しっかりとリスクの分析を行ない、フランチャイズ本部の立ち上げや多店舗展開を目指していきましょう。